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10−1 国内情勢

 南部の王国に対する海賊の襲来は続かなかった。だから、本隊の目的は北部の王国であると思われた。エルフワルド王は北部の王国に使者を立てたが、返って来た答えは以下であった。

「国内問題につき、手出し無用」

先王が後継者を指名せずに亡くなった為、大陸の縁者が後継者を自称して乗り込んで来た、と言うのが真相だった。


 国土防衛の為だからと実質的な出兵をさせられたメンバーを呼んで、第三王子エドウィンがこれらを説明した。クライブとしてはだれが後継となるかに依るが、気になる点を述べた。

「とは言え、侵攻が行われた訳ですから、何らかの外交交渉が必用なのではないでしょうか?」

エドウィンの答えは簡潔だった。

「誰が後継者になるか次第だよ。ノルマン公以外が後継者になれば当然2か国でノルマン公に抗議、賠償を求める。ノルマン公が後継者になるなら、何らかの形で借りを返して貰う事になるだろう」

「現在の情勢はどうなんですか?」

「北からも別の外国勢力が上陸した様だ。そちらに対応している隙に西から上陸したと言う訳だね」

「大陸からの二者は連携しているのですか?」

「後継者争いだよ。連携する訳が無い。ただ、戦力を注ぎ込む機会を狙っていたとは思うね」

「まあ、漁夫の利と言う訳ですね」

「そういう訳で、あちらの海軍が約定を理由にこちらの軍船の運用を制限してきたのは、つまりノルマン公の影響力が既に彼の国で大きいと思われる」

「成程、こちらも哨戒していれば、早期にお互い通報して対応出来た筈ですからね」

「まあ、そういう訳で、こちらもノルマン公に対して敵対しない方針でいる。彼が覇者になる可能性も少なくない。双方、いらぬ敵を作るのは最終的な権力の継続に係わるからね」


 風塵の魔女の里には王家とボーフォート候からの物資および金一封が送られた

「一度きりとは思わなかったけど、いずれにせよ北の国の支配者争いをしている中で武威を示せたのは良かったと思っとこうかね」

里長はそう言うが、里の人間の中にはやり足りない人間もいた。殺り足りない人間が。

「これなら船も全滅させてやった方が良かったねぇ」

「まあそう言うな。確かにあいつらの本拠地に攻め入るなら皆殺しも良いだろうが、こういう時は恨みを買わずに恐がられる条件付き皆殺しの方が良いんだよ」

「まあ、また攻めてくるなら皆殺しで良いか」

「そういう事だね」

平和的解決方法も考えて頂きたいです里長。


 王都では、東海岸は風塵の魔女達が、ドーバーの西は王家が派遣した兵が侵略者を押し返したという事になっていた。第三王子エドウィンが上陸部隊を撃退出来る戦力を指揮していると思われるのはよろしくないと考えた王の考えに基づく。因みに第一王子オズワルドも第二王子エゼルベルトも侵略者に立ち向かう気概は無い。ノルマン公が北部を統一するなら、こちらの王国としては臣従の意思を伝えて領地の安堵をしてもらえば良い、そういう者達であった。


「北の国からの侵略者は北部貴族が協力して迎え撃っているらしい」

「ノルマン公はその間に地場を固めている訳だが、我が国としてはどうするつもりかね」

「北部を統一されたら規模が違う、降りるしかないだろう」

「連中は海賊あがりだから、船の扱いも乱闘も得意だろうし、南海岸を荒らされたら対処出来ないだろう」

「北に兵力を向けている隙に上陸されたらどうしようもないからな」

そういう訳で、貴族達も必用以上に反抗する意思は無かった。


 そんな時にエドウィン王子から呼び出しがかかった。

「まあ、皆の働きに対して慰労をしようと思い、北に花見に行く事にした。週末は開けておく様に」

慰労と言いながら強制か、と一部は思ったが、北部の花に興味のある者もいた。クリスティンはだから口を開いた。

「花は何が見頃なんですか?」

「王家の別荘近くに農家がブルーベルを保護・整備している。これがそろそろ見ごろだ」

花にあまり興味のないカーラが口を開いた。

「ブルーベルは実家の近くではあまり群生していないが、そこら中に生えてるだろう?態々見に行く程のものか?」

「まあ、慰労の近距離旅行と言う事だ」


「クロちゃんはブルーベルの群生地は見た事はある?」

クリスティンの言葉にクロちゃんは首を振った。

「群れは森の奥の村をいくつか移動していたから、群生地は見た事は無いな。ぽつぽつ咲いているのは見ているが」

「花壇も広いと壮観だから、群生地となると綺麗でしょうね」

にこにこ笑うクリスティンの方がクロちゃんにとっては綺麗だった。

「君が喜んでくれるなら、俺も喜んで付き合うよ」

「ふふふ、ありがとう。でもそれって女たらしっぽい言い方ね」

「他の女と仲良くした事はないんだ」

クリスティンは顎に人差し指を当てて喋った。

「多くの人と仲良くした方が良いけど、私としてはそれも嬉しいかな」

「まあ、あまり尻尾を振る方じゃないから、そういう点では安心してくれ」

「ふふふふ」

 まだ構成迷い中…明日はキアラの更新です。こちらの次の更新は日曜日です。

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