雑用係の荷物運び
「ライル、いつまでそこで休んでいるんだ? いい加減その箱を運んでくれないか?」
「はーい、すんません今持ってきます〜!」
倉庫の奥から聞こえる少し急かすような声に、間の抜けた返事をし、目の前の荷物を持ち上げる。
「ふぃ〜これで運ぶ荷物全部ですかね?」
「お前は無駄口を叩かないと死ぬのか?」
「やだな〜、口癖みたいなものだから気にしないでくださいって言ってるじゃないですか〜。」
荷物を降ろし、顔を上げると、初老くらいの風貌に燕尾服を着た男が呆れ顔でこちらを見ていた。
アルフレート・ラインブルグ。彼はこの屋敷の執事長だ。この屋敷の使用人は全員彼の指示の元に仕事をしている。俺もその一人だ。
「それにしてもこの箱やけに重いですけど、中身何なんです?」
すると、執事長は訝しげな顔をして、答えたくない事を聞かれたような素振りをし、渋々と言った様子で答えた。
「……魔剣だ、その箱にはこの屋敷に代々伝わる魔剣が封印されてある。」
「何の魔剣なんです?」
「……持ち主に絶対的な力を与える魔剣だ、同時に持ち主の魂を喰らう曰く付きのな。」
「随分物騒ですね…。あー、それはそうと執事長、お一つ質問宜しいですかな?」
「何だ?」
「そんな大層な代物を下っ端の俺なんかに運ばせちゃっていいんですかね?」
そう聞くと、忘れていた事を思い出したような顔をし、答えた。
「他の使用人にも運ばせようとしたんだが、誰にやらせても『変な声が聞こえる』『不気味だ』と運びたがらなくてな、魔女の面倒を見てるお前なら気にならないと思った。それだけだ。」
「いや、あの子はそんなんじゃ無いと思いますよ?」
そう答えると執事長は顔を曇らせた。
「無駄話が長くなってしまったな、早くそれを運んでお前は魔女の面倒を見て来い。」
「はーい」
少し気怠げに返事をし、箱を持ち上げると、何処かからか、声が聞こえて来た。
「なぁお前、力が欲しくねえか?」




