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被害者の会

平民の家に産まれ、普通の人生になる筈だった彼女は、そういう生き方に嫌気がさしたみたい。


私の夫であるスリムトとの贅沢な暮らしに飽き足らず、他の貴族とも関係を持っているそうだ。


「調査し始めて三日も経ってないのに、よく相手の事が分かったわね」


「最近、別の貴族からも似たような話が自分の所に舞い込んで来たからな。まぁ、あれだけ派手に浮気すれば、見つからずに続けられる訳ないよ」


「……貴方が仕事に困る日はなさそうね。それで、ミカナルはどうやって懲らしめようかしら?」


「まずは屋敷に呼び寄せて、それから話をつける。あの女をこの屋敷に入れたくないなら、別の場所で話をつけるがな」


「それなら大丈夫よ。私の家庭の問題だし、私の家でけりをつけるわ。それより……問題は子供よね」


結婚して一年、共に夫婦として暮らしてきたのに愛し合わずに外で子供をつくられた。


実際の事実がどうであれ、周りからはそう見られる可能性がある。


それを隠して離縁しようにも、浮気相手であるミカナルが黙ってはいないだろう。


「そう暗い顔をするなって、子供の事も既に調査済みだから安心してくれ。君はただ、何にも知らない振りをして話をすればいい」


「……そこまで自信があるのなら秘策があるのよね、信じているわよ」


悩み事は一先ず解決し、これで離縁の準備が整った。


後はハルスが浮気相手のミカナルを屋敷に呼び寄せ、私が夫のスリムトを屋敷に居させるだけ。


「ねぇ、明日は仕事を休んで家に居てくれないかしら? 大事な話があるの」


「それは急な話だな。悪いが無理だ、勝手に仕事を休む事は出来ん」


「勝手に仕事を休めないなんて……そんなにミカナルの事が大事なの!?」


冷静に言った筈なのに、自分でも驚く位に悲し気な大声が出た。


「なっ!? ……そういう事か、分かった」


スリムトはそう言った後、観念した様に黙り切ってしまった。


そんなスリムトの様子を見て私は自分の部屋に行きながら、これまでの事をふと、考えていた。


夫であるスリムトと結婚してから一年、隠していた借金の事が分かってからも、彼の為に頑張ってきた。


返し終わりさえすれば、きっと私へ振り向く余裕も出てくる筈だと思いながら。


けれど、それさえも嘘だというのなら、スリムトにはこれまでの事を償ってもらうしかない。



だって……借金の時も浮気の時も、ごめんと言って貰えなかったのだから。

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