錬金術師の師匠
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その日、1人の老人がウィンザー領都の正門をくぐった。白い長い顎鬚を生やし、片手には長い杖を持っている。服装は魔導士の様だが少し異なる。門番は老人の身分証をみて一瞬驚いたが、特に何も言わずに街への入場を許可した。
「おおぅ、長旅じゃった。この街で教える子供達が最後かもしれないな。目的の子供達であれば良いが。まあ、これもめぐりあわせじゃし」
老人は独り言を言い終わると街の中心に向かって歩いて行った。
エミリーとエドガーは7歳になっていた。2人共に図書室で見つけた錬金術の本の内容は全て理解し、高品質ポーションならいくらでも作れるくらい成長していた。また、ポーション以外の物を錬成しようとしたが、錬金術の本にはポーション以外のレシピが載っていなかった為、作る事が出来ていなかった。
当然、エドガーが前世のゲーム知識を総動員して色々試してみたが、どうしてもうまく行かなかった。
どうしても、独学では先に進めないと思ったので、家庭教師をお父様に頼もうかと相談をしていた。そんなある日、2人は珍しく昼食後に執務室に呼び出される。
「お父様、エミリーです」「エドガーです」
メイドのアンに連れられ、2人は父親の執務室の大きな扉の前で名乗り入室の許可を待つ。しばらくすると「どうぞ」と言う言葉と共に扉が開かれた。
執務室の中には、見知らぬ老人がいた。老人は入ってきた2人を見て笑顔になり、何を感じたのか嬉しそうにうなずいていた。
「エミリー、エドガー。お前達に紹介したい人物がいる、早く入りなさい」
2人が入り口で入室を躊躇していると、アインが手招きをして入室を促す。2人は「「はい」」と返事をして老人の対面に座る父親の隣に立った。
「この方は、ファブル=ランダース老師だ。遠い東の国のトタン国より来られたお前たちの先生だ。そう、ランダース老師は錬金術師だ」
アインがランダース老師を2人に紹介する。そして自己紹介するように2人を促す。
「初めまして、ランダース老師。私はエミリー=ウィンザーです」「初めまして、僕は、エドガー=ウィンザーです」エミリー、エドガーの順で自己紹介をする。
「ふむふむ、利発そうなお子達じゃ。どの位の長さになるか分からんが、よろしくなのじゃ」
ランダース老師はそう言うと座っていたソファーから立ち上がり、2人に握手を求める。2人も警戒しつつも握手をする。ランダース老師の手は、老人の手とは思えない程がっしりしていて力強く2人の手を握った。
「そうそう、錬金術の授業は儂の部屋で今後行う。儂の部屋以外での錬金術の使用は禁止じゃ、まずはその事を守って欲しい。ウィンザー卿も万が一子供達が儂の部屋もしくは、儂が傍にいない時に錬金術を使用した時は、注意をして欲しい。とても大事なので」
2人には、優しい目でアインには真剣な眼差しでお願いをする。
「さてさて、エドガーが待ちきれない目をしているから早速儂の部屋に移動して、少しだけじゃが授業を行おうかの」
そう言うと、アインに挨拶をして2人を伴って与えられた部屋に移動した。ランダース老師は、部屋に入るとお供のアンも部屋の外に出した。理由は錬金術の知識は「門外不出」だと説明をし、渋るアンを何とか説得した。
「さてさて、早速じゃがエミリーとエドガーのステータスを見せて貰おうかのぉ」
ランダース老師はどこからか、四角いレンズの眼鏡を取り出しかける。
「えっ、でもランダース老師。ステータスは家族であっても見せないと教わりましたが…?」
エドガーが吃驚した表情でランダース老師に質問をする。
「エドガー、発言をする時は挙手をする様に。それに儂の事は老師とだけ呼ぶと良い、儂らは師弟となるのじゃステータスの共有していないと教えるのに手間じゃ」
ランダース老師が”どうするのじゃ?”と言う表情で2人を交互に見る。
「エド、老師の言う通りよ。ステータスなんて見せても問題ないでしょ?ほら早く」
エミリーはそう言うと「ステータスオープン」と言い自分のステータスボードをランダース老師にみせた。エドガーもかなり悩んでいたが、結局ステータスボードを公開した。
「おおっ、おぬしら何者じゃ?その年で【錬成】だけではなく、【分解】、【合成】、【抽出】まで習得しているとは。こりゃおどろいたわい」
ランダース老師は、目をこれでもかと見開き吃驚していた。そして、2人のステータスボードの下にある【双子神の加護】の文字をみて「そうか、そうか。お主達」と小さく呟いた。
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