目覚め
本日2話目の投稿になります。今日はもう1話を投稿します。
~ウィンザー公爵家の食堂~
40畳程の広さの食堂の中央に、真っ白いテーブルクロスの掛けられた20人は同時に食事が出来る長テーブルが置かれている。テーブルの上には前菜とパンが一人づつに配膳されており、高さを低く抑えられた花が飾られていた。
テーブルには男女合わせて8人が着席している。
「全員揃った様だな、食前の拝礼を行うぞ」
一同がテーブルの上で両手を組み、目を閉じて少し頭を下げる。
「天空に住まいし我らが創造神ダイナロス様、そしてウィンザー家に加護を与えし武神ローエンバル様。今日も我らに生きる糧をお与えいただき感謝いたします」
上座に座っている50代の男性が、神への感謝の祈りを述べると最後の文を全員で復唱する。
「「「「今日も我らに生きる糧をお与えいただき感謝いたします」」」
復唱が終わるとそれぞれが食事を始める。食事の開始と共に静かだった食堂がにぎやかになる。
「今日の食前酒は、旨いな。ラルフ、食前酒はどのワインだ?」
上座の男性が後ろに控えていた、執事服を着た男性に質問をした。
「はい、旦那様。本日の食前酒は先日ダナン商会が献上してきたワインになります」
ラルフと呼ばれた執事服の男性が、手帳を取り出し返答をする。
「そういえば、面会の時に新しいワイナリーを見つけたと言っていたな。今度同じものを2,3樽確保しておいてくれ。今度の夜会の時に使いたい」
ラルフが「畏まりました」と礼と共に返答した。
「エミリー様、今度はこちらのスープはいかがですか?」
エミリー付きのメイドがエミリーの前にスープが入ったボウルを置く。
「さっ、エドガー様もスープを飲みましょう」
エドガーの前にもスープのボウルが置かれた。
エミリーとエドガーは、スプーンを逆手に持ちながらスープを口に運ぶ。そして口に入れると”ブー”っと吐き出した。
「「なんじゃこりゃーーー!」」
エミリーとエドガーが揃って大きな声を出す。
「エミリー様、いかがしました?」
「エドガー様、大丈夫ですか?」
メイド達が慌ててそれぞれに確認をする。
「きゃー、エミリー、エドガー大丈夫?何か、変な。もしかして毒とか?!」
上座に座っている女性が、慌てて立ち上がりながらラルフに確認をする。
「いえ、毒見は3人で行っておりますのでそんな事はありません」
ラルフが冷静に回答をする。
「「えっ?ここは? なんで(だ)この小さな体は?」」
エミリーとエドガーが、キョロキョロと周りを見たり自分の手を見たり、顔を触ったりして騒いでいる。そして、頭を両手で抑えながらうめき声を発し始める。次に突然椅子の上に立ち上がり、糸が切れた操り人形かと思う様に椅子から崩れ落ちる。
メイド達が床に落ちる寸前で2人をキャッチし頭からの落下を防ぐ。しかし、その時すでにエミリーもエドガーも意識を失っていた。
~~エミリーside~~
拝礼の直後
『うーん、あれ?さっき私は、攻撃を受けて死んだはずじゃ? 眩しい!? あれ?さっきまで夜だったはず?ここは何処だ?』
エミリーは、さっきまでの場所と異なる場所にいる事を認識してパニックを起こす。
『うん?何か口の中に、うぇ、何だこの苦いのは!!』
「なんじゃこりゃーーー!」
エミリーはブーっと口の中に入っている物を反射的に吐き出す。隣で同じ事を言っている子供が視界に入ったがそれ所ではなかった。
『なんで、えっ? 何だこの小さな手は? 何だこの小さな肉体は?』
必死に状況の確認と気持ちを落ち着かせようとするが全くコントロールが出来ない。
「えっ?ここは? なんで、この小さな体は?」
またも、隣の子とハモる。
『うぅ、ああああああああ』
いきなり大量の情報が頭に流れてくる。
『やめて、これ以上は…壊れちゃう、壊れちゃう、壊れちゃう』
今迄に経験のした事が無い程の、大量の情報とエネルギーが無理やり脳に詰め込まれてくる。反射的に頭を抱えたエミリーはそこで意識を手放した。
エミリーが次に気付くとベッドの上だった。
『さっき迄のは、夢か?でも此処も知らない場所だ…こんな時はなんて言えば良いのだっけ?』
「「知らない天井だ」」
隣から同じ言葉が聞こえてきた。
「え?」声の方向を見ると先ほど隣に座っていた男の子が、隣で同じように目を覚ましてびっくりしていた。
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