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本日より1話ずつの更新になります。
すみません、投稿時間を間違えてしまいました。21日分になります。
ラファーリアとラフェーリアの姿が消えて、円柱に手を付いた状態で意識が戻る。顔を上げると神殿長が少し不安そうな顔をしながら2人を見ていた。
神殿長は女神様達が持っていたタブレットの様な板を持って、父親のアインの方へ進み板の内容を説明した。それを聞いたアインは、表情を硬くしエイミーとエドガーを見た後、「戻る」と一言発し入ってきた入口より出て行った。
後に残された、メアリーと残された子供達は、慌ててアインの後を追った。帰りの馬車では、誰もしゃべらず石畳を走る馬車の音だけが響いていた。
館に戻ると家族が、食堂に集まる様に言われた。他にも、家令と執事、メイド長などウィンザー家に長く務めている者だけ参加していた。食堂の雰囲気はとても重苦しく、ここでも誰も声を発せなかった。しばらくすると、少しづつアインがしゃべり始めた。
「皆に集まって貰ったの言うまでもなく、本日の洗礼式の結果を伝える為だ。エミリーとエドガーは、双子神の姉神ラファーリアと妹神ラフェーリア様より【錬金術師】の職業を授かった」
アインが低く重い声で伝えた。
アインの説明を受けると、家族を始め口々に【錬金術師】とはなとザワザワし始める。メアリーなどは、ハンカチで目を覆っていた。兄弟達は明らかにエミリーとエドガーに哀れみの目を向けていた。そんな家族の態度をみて2人は困惑する。
《エド?【錬金術師】ってそんなにヤバい職業なのかしら?》
エミリーが家族達に気付かれない様に念話で話しかけてきた。
《いや、そんな事は無いと思うけど。やっぱり公爵家の子供が戦闘職や魔法職でないのがまずいのかな?》
エドガーもこんな事は予想外だと言う感情を乗せて返事をした。
「エミリー、エドガーお前達の職業が【錬金術師】でも私は、お前達を成人までこの家での生活を保障する。そして、必要であれば【錬金術師】の家庭教師を雇い教育も施す」
アインはテーブルに両肘をつき祈るような格好で、重い言葉を紡ぎ出す。
「あなた!」「「「お父様」」」とそれを聞いた家族が一斉にアインを呼ぶ。その声に吃驚したエミリーとエドガーはビクッと跳ねた。
「なぜ、エミリーとエドガーは成人までしか家にいられないのですか?あなた!」
メアリーが立ち上がりながら抗議をする。それに続き、兄弟達も「「「そうです」」」と続く。
「皆、落ち着け。最後まで話を聞くのだ」
アインが少し大きな声で家族を制する。アインの制止を受け立ち上がったメアリーはゆっくりと席に座った。
「良い機会だから、皆にもエミリーとエドガーの話をしておく。知っての通り、2人の母親のケイトは、隣国のドネリー国からの我が家に来た。言葉を飾っても仕方がないので言うが、所謂”人質”だ。残念ながら、ケイトは双子神様の元に戻ってしまった」
アインは小さくため息を付き続ける。
「だが、2人がこのウィンザー領都にいる限り、我が国もドネリー国も20年は互いに攻めないという不戦協定を結んだ。その協定の中に2人をこのウィンザー領より外に出さないと条文がある」
それを聞いた兄弟達は、口々に「なんて事だ」とか、「ひどい」など呟いていた。食堂の雰囲気がどんどん重たくなっていく。食堂は、誰も口を開かずシーンとなった。
《エド、何とかしなさいよ。重苦しくて辛いんだけど、ねぇ》
エミリーが良く分からないと言う表情をしながら、エドに無茶ぶりをする。
”グー”この静けさの中で、誰かが空腹でお腹を鳴らした。心当たりがある何人かが、お腹を押さえた。
「えへへ、ごめんなさい。お父様、お母様、エドガーはお腹が空いてしまいました」
エドガーが顔を赤くしながら言う。
「ぷっ」「ふふふっ」「あ、あははは」と誰かが笑い始めたのをきっかけに家族全員が笑い始める。そのおかげで、重苦しい雰囲気が吹き飛ぶ。
「ごめんなさい。お腹が勝手になっちゃいました。大事なお話し中、ごめんなさい」
エドガーが恥ずかしそうに、消え入る声で謝罪をした。
「エドガー。すまんな、良しまず食事だ。腹を膨らませてから続きを話そう」
アインが執事たちに昼食の用意を命じた。
昼食はエミリーとエドガーのお祝いを兼ねていたらしく、お昼からかなり豪華なメニューだった。鳥の丸焼きやミートパイ、スープにサラダといつもの1.5倍くらいの量と種類が並べられた。家族全員で双子神に食前のお祈りをし、夢中になってごちそうを食べる。
エミリーとエドガーを心配してか、普段は叱られるが兄弟達が色々な食べ物をエミリーとエドガーのお皿に盛ってくる。みんな食べ物をお皿に入れては、2人の頭を撫でたり、「おめでとう」とか一言いって席に戻って行く。
デザートも食べ終わり、全員お腹を満たしたところで、アインが咳ばらいをした。また、再び食堂が静かになる。
「さて、先ほどの続きだが。エミリーとエドガーの事は、戦争終了時の国家間の不戦協定で決められた事で、苦しいが変更は出来ない。当時は何も問題は無いと考えいた。しかし、2人が成長するにつれこの協定を破棄しようと色々考えたが、出来なかった」
アインは、家族の顔をゆっくり一周見回し話の続きをする。
「私は陛下より、公爵位を授かっている身。国家の為に家族と言えど厳しい対応をしなくてはならない。お前達も生涯貴族として生きて行くのだから、よく覚えておくと良い」
アインは乾いた喉を潤す為、お茶を一気に飲み干す。
「協定の内容だが、エミリーとエドガーは1.このウィンザー領を後20年は出れない。2.ウィンザー家の家督を継がない。3.国家間の戦闘には参加しない。この協定がある為、エミリー達は貴族学院にも通えないし、騎士団等の国軍を始め領軍に入る事も出来ない」
アインが家族に協定内容を説明した。
「お父様、質問があります」
次男のベクターがアインに発言を求める。アインは頷いて許可を出す。
「なぜ、幼いエミリーとエドガーが、その様な協定の要になっているのでしょうか?」
ベクターが2人を見ながら質問をする。
ベクターには、この国では5歳の洗礼式を受けないと貴族でも家族と認めない、幼い子供を協定の要にしているのが不思議で仕方がなかった。
「それは、本来なら協定の要の役割は、2人の母親のケイトが担っていたのだ。しかし、ケイトが亡くなった時に協定の要が2人に移ってしまったのだ…」
アインの説明でメアリーと兄弟達は納得したのだった。
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