1/79
0
「ほら、そろそろ寝る時間だぞ」
「はーい」
赤髪を揺らした父親の声に、幼い子供は素直にベッドへ潜り込む。
「ママ、北のお城には魔物の王が住んでいるんでしょう?」
クリクリした瞳を輝かせ、布団を口元までひっぱりあげながら、幼子は母親を見上げた。
「そうよ、瘴気が濃いから普通の人間はそこでは生きていけないわ」
母親が美しい白銀の髪を揺らして子供の頭を撫でる。
「ねえ、ママ、魔王様のお話をして」
「あら、また?」
母親は少しあきれたように笑う。それはありふれた、穏やかな日常だった。
以前書いたものをリライトして投稿
しばらくまめに更新します




