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「ほら、そろそろ寝る時間だぞ」


「はーい」


 赤髪を揺らした父親の声に、幼い子供は素直にベッドへ潜り込む。


「ママ、北のお城には魔物の王が住んでいるんでしょう?」


 クリクリした瞳を輝かせ、布団を口元までひっぱりあげながら、幼子は母親を見上げた。


「そうよ、瘴気が濃いから普通の人間はそこでは生きていけないわ」


 母親が美しい白銀の髪を揺らして子供の頭を撫でる。


「ねえ、ママ、魔王様のお話をして」


「あら、また?」


 母親は少しあきれたように笑う。それはありふれた、穏やかな日常だった。







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