第39話 基礎弓術
ちょっと、順番間違えてしまいました。
ここは、トプラントいう街の孤児院で、東の魔の森に近く、山奥にダンジョンが有るのではと噂されている。
マーブル教団が運営するここの孤児院は、ほとんどが魔の森で亡くなった冒険者の子どもだ。
リースはこの親がいなくなった子供を保護し、資金援助も陰で手配をしていた。
いつしかこの孤児院に溶け込み、街の子供が遊びに来ている風を装い、くつろいでいた。
「おい!リース、お前いつもどこから来るんだよ?」
ちょっと肌の色が黒い少年が悪態をつく。
「ふふん。オレ様は、さる森の奥から出て来た狩人だ!だから森の方だ‼」
「はいはい、そーですか?この前は剣士だっただろ?それで今日はなんだ?」
「オレ様ほどの弓使いはこの世界に居ない!お昼のおかず一品かけて勝負するか?」
「えー!ずるい!リースちゃんに勝てるわけないよ!」
おさげの似合うメイという少女が不平を言う。
「よし!今度はオレがやる!」
自ら宣言した肌黒い少年は、バドといい、この少年院の旗振り役でもある。
「さすがはバド、じゃあハンデをやるよ?オレは毎日弓を使っているからな?
オレ三本、バド十本で勝負しようぜ?」
リースは、わざわざ用意した弓と矢を配っていく。
バドは、リースから受け取った弓と矢を持って的に向かう。
「わかった‼じゃあ行くぞ!」
リースは、集まってきた孤児院のみんなに注意を促す。
「その前にみんな!
弓の練習をする時は、周りに注意して、人に向けないようにね!
良いかい?」
「「「「はーい!」」」」
「うん、じゃあ安全確認をして、良いよ!」
「行くぜ‼」
ギギ、ギリギリギリギリ…
矢をいっぱいに引き弓がしなる。
「1本目」 パシュッ、大きく外れ。
「2本目」 パスッ、大きく外れ。
「3本目」 ポスッ、届かず。
「待て。 バド。」
「なんだ⁉リース」
「弓の扱いがなって無い。左腕は真っ直ぐ伸ばせ、で、固定しろ。肩を入れる感じだ。弦は、右手で弾くな、背中で弾け。」
「む、むー、クッ、結構キツイ!」
「慣れろ!
そうだ、背中だ!
やってみろ。」
「3本目」 バシュッ!
「凄い!バド兄!真っ直ぐ飛んだよ‼」
「おお〜!良しやるぜ‼」
「4本目」 バシュッ
「5本目」 バシュッ
「6本目」 バシュッ
「惜しいけど、当たらないなぁー?」
「バド。いいか?今の4本は、左腕の固定が上手くいって無いのと、右手の離すタイミングがあって無いからだ。だがこれは、毎日身体を鍛えたら解消する。問題は考えて打っているかどうかだ?」
「…? 考えて?」
「そう。まず、矢は的に対して、真っ直ぐ進まない。」
「え? 真っ直ぐ進まない?」
「そう、思い出してみろ。的に対して弓は、こう山なりに飛ぶ。そして、風が吹けば、風下に流れる。」
「確かに…でも風は見えないからわからないだろっ⁈」
「いや、的を見ろ?周りの木々の動きを見ろ。
その動きを見て、矢を放つんだ!
今まで放った矢を思い出して、放て!」
「むー?わかった。やってみる!」
「7本目」 バシュッ
「オー!もう少し⁉」「おしい!」「ああ~」
「8本目」 バシュッ!
「カスった!惜しい‼」「あっ!」「わー!」
「9本目」 バシュッ
「当たった!」「オー!」「オー‼」
「10本目」 バシュッ‼
「また当たった!凄い‼」
「バド、やるじゃないか!」
「は、はっ、はぁっ、はっ! 結構疲れるな?」
「ああ、だから体をちゃんと鍛えろよ!」
「じゃあ今度は俺だな。
良く見とけよ?」
「1本目」 バシュッ‼‼
「当たった!」
「2本目」 バシュッ‼
「また、当たった‼」
「3本目」 バシュッ‼ バキッ‼
「ウォー凄い‼」「また、当たった‼」「的が壊れた‼」
「…。どうしたら、リースみたいに出来る?」
「それは、練習するしかないな?多分今までに五千回くらい、弓を打っている。練習と実戦だ!」
「…っ! わかった!俺、頑張ってみるよ!リース!教えてくれな?」
「…ああ、わかった!」
「…忘れるなよ!」
「ああ、おかずの件も忘れてないぞ!」
「なんだよ!それは忘れてくれよ!」
「ハッハッハッハッハッ」
◇◇◇
リースは、ちゃっかり昼ご飯を食べて、小さな子たちを遊びに誘う。
「よし、昼飯うまかったな!みんな、食後のゲームしようか?」
「リース兄ちゃん、今日は何するの〜」
「カードゲームだよー!」
「こちらの記号と、数を当てるゲーム!」
「おもしろそー!」「なにそれ?」「やってみたーい!」
リースは言葉巧みにゲーム系形式で、勉強をさせることにした。
◇◇◇
2時間後
「よーしみんな、数と記号はわかったなー!」
「うん、簡単だよー。」
「じゃあ、次はクイズをするよ!正解者には頭撫で撫でがあるよー。」
「え~?」「なでなで~?」「やった!」「そんな簡単になつかないんだから!」
「ふふふ、ではまず例題1+1=?
わかるひと?」
「ハイハイハイ!」
「はい、ジルド君。」
「2です!」
「正解!じゃあ、ジルドクンにはこちょこちょだ‼」
「ぎゃ~!」「「「あははは!」」」「くっそー、油断も隙もないぜ!」
「じゃあ1人づつ問題出すから、10問正解したら、今日は飴さんプレゼントします!」
「「「「「わーい‼」」」」」
いつの間にかリースのペースに持っていかれる子供たちであった。
「おっと!ぬか喜びはそこまでだ‼10問正解したらだぞ!」
「「「「「はーい。」」」」」
「良し。じゃあ始めます!」
◇◇◇
「お~凄い!全員正解したねぇ!
おっ、そろそろ帰らないといけないなー!また来週も来るからな?」
「おー⁉」「またね~!」「バイバイ!」
リースは、修道女がいる台所に向かった。
◇◇◇
「おい、リース。」
「なんだい、フィーヴァ。」
「あの弓矢、我が強くしてやろうか?」
「いや、まだ早いよ!
世間の常識を知って、自分の限界を知って、はじめて良い武器を手にした方が、上達する。
技を磨くことによって心と体が鍛えられるんだ。
だから、その準備が整ってからでいいよ。」
「ふむ。そうか…。(人の考えることは、我の理解を越えるな…。だが、それが面白い‼フハハハハ。)」
◇◇◇
修道女のエルフィーが、尋ねる。
「リース様、今日も有難うございました!おかげで皆楽しかったと思います。」
「いえ、コレは僕にとって必要な事ですから、気にしないでくださいね!」
「いえ、あの子達が大きくなった時に必要な事なんですよね?」
「ふふ、僕達が大きくなった時、この世界がどうなっているか分かりません。
ですが、未来のために、
今1番伸びるこの時期にしておかないといけないのです。特に小さな子供達は。
僕は、この領を豊かにしたいのです。」
「そうですよね。スミマセン。本来なら私の仕事なのですが。」
「いえ、司祭さんが倒れている状況で、教会堂と孤児院の両方の面倒は大変です。資金面では問題ないとの事ですが、ほかに困ったことがありましたら、お知らせください。それと、くれぐれも僕の事は秘密にしていてください。一人の平民扱いでお願いいたします。」
「はい。わかりました!ありがとうございます。」
(今度カーズ兄に来てもらって、剣術を教え、腕を上げてもらおう⁉)
「それでですね。一応この孤児院の子達は、王都の学校を卒業出来るくらいにさせて頂きます!」
「…ええっ!そんなに?」
修道女のエルフィーは驚愕した。孤児院出身の学園生は聞いたことがないからだ。
「はい!これ、先ほどの続きの問題集です。来週までこれで時間をつぶしてください。」
「ふふふ!わかりました!来週までに出来るようになっていると思います!」
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字脱字言い回しのアドバイスお待ちしています。
7月の末までに表現が荒いところと、説明が足らないところの修正を入れると思います。
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