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異次元ホテルへようこそ!  作者: 終乃スェーシャ(N号)
三章:パーティが終わるまでに
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機械仕掛けと世紀末潜入捜査員 その八 解答

 ぼふんと軽快な音と共に煙があると全員の変身の効果を解く。予想は当たっていた。空飛ぶ菌類は危険な瞳を持った白髭白髪の男へ、妖艶な女性は艶やかな褐色肌の少女に戻る。


「悪いな。気が変わったんだ。生憎ホテルマンの仕事もする主義になったんでな」


 ビッグファーザーの命令のみを優先すべきだが、機械ごとき……いや、カノンに舐められたままでいるのは名誉に関わる。治安維持隊長として彼女に認めさせて……、いや、もう認めてくれた。じゃあなんで? ……わからない。ただいいところを見せたい。


「けどあんた達もおかしな人だ。無駄に手の込んだことをするわりに人質を取ったりはしない。強盗かと思ったが違うのか?」


「怪盗だからな」


「怪盗だもの。いつだって気品を纏って華麗にお目当てのものを盗むのよ?」


 享楽目的の盗みの自白。たまにいるんだ。殺人に関してもなんらかのマイルールを持って殺したり、殺したやつからボタンとかを貰って記念品にしたり。死体の血でメッセージを毎回残す奴とか。


 ……違うな。どちらかといえばアンドロイドと駆け落ちした反逆者だ。俺もか? 違う。俺はあくまで、この感情は少なくても恋愛の類じゃないはずだ。


「バロン、話は拘束してからにしましょう」


「待ちたまえ。せっかく探偵が我々を暴いたのだ。次のためにどうやって我々を見抜いたか説明したまえ。皆も気になるところだろう?」


 シュトラフが大袈裟に腕を振り仰いでくるりと回る。無視してとっとと捕まえるべきだが、彼に賛同してかコクコクと頷く者や翼や触角が反応する者がいた。見世物として処理しようとした以上、説明すべきだろう。


 金銀の煌びやかなスポットライトが気づけば怪盗バカップルをも照らしている。自動操作か? 手動ならこんなのんきなことしてないでとっとと応援に駆けつけてほしい。


「二人とも俺のことを警戒して表情を読まれないような存在に変身しました。けど特徴が出すぎた。シュトラフ様、あなたは出来る限り自分からかけ離れた存在へ。けど立ち振る舞いを装えるように自身の世界にいる種族へなろうとしたと予測しました」


「うぐっ……」


 図星なのかシュトラフは年齢に見合わない大袈裟なふるまいで呻いた。それとも皆に見られているから熱が入っているのか。彼も少女も目立ちたがり屋な節がある。


「ユリシス様のほうが予測するのは簡単でした。あなたの場合はコンプレックスの出すぎです。シュトラフ様を見上げなくてもいい程度に高い身長。色白の肌。穏やかで気品のある立ち振る舞い。服装。女性的な胸。……ピョンピョンと跳ねてアピールしているときから疑問でしたが、あなたは彼に恋していますが、適当にあしらわれていますね? 俺が来たときに変な声を出してくれましたが……演技なのでは?」


(変なこ……ッ!?)


 俺の推理を耳にしてカノンが勝手にフリーズする。けどユリシスはそれ以上にダメージを受けてくれた。口を結んで涙目になるくらい見開いて、褐色の頬を真っ赤に染めて肢体を隠す。


 ……ハハハ! ハハハハハハハハハハ! そうしていれば可愛いものを。ざまぁみろ。あのとき本当に恥ずかしかったんだ。破廉恥な真似で俺とカノンを攻撃した罰だ。


(バロン、とても邪悪な顔をしております)


(あれは堪えたからな)


「そういうわけでございます。怪盗お二方。では、大人しくお縄に付いてもらえますかね? あなた方が爆弾を使うタイプじゃないのはわかりますが、だからこそあの予告状について詳しく事情聴取しないといけないので」


「ああ、あれか! あれを考えるのに何度徹夜したことか! 気に入ったのならもっとくれてやろう」


 パシュンと音を立ててカードが投げられる。咄嗟に義手で受け取った。金属腐敗や酸の類はない。火薬の臭いもない。黒一色のカードに、切り取った文字できた文章があった。


 ――――予告。    


 我々罪人は今宵の宴にて、


 光が失せ、魔が破裂せし時に狂気の石を


 頂きに参上します。


「おかしいと思ったんだ。彼らは爆破予告犯とは関係ないのか……?」


「内容が掠ってもいないではありませんか! ドヤ顔であんな推理しておいて!」


 カノンが俺の胸倉を掴み上げようとして、けどすぐに我に返るとホテルマンとしての態度を取り繕う。怪盗二人は俺達を嘲りながら黒く輝く宝玉を懐から掲げた。あれは……展示してあった宝石だ。あんな石ころ盗むためにこんな茶番をしているのか?


「さぁさぁこれが我々の求めていたルナティックストーンなる宝石よ! 奇術師怪盗。怪人N面相。年齢差カップル! 数多の窮地を乗り越え無敗! これよりこの空間から脱出してみせましょう!」


 何もない空間から紙の擦れる音と共に何枚ものトランプが舞う。手品? 魔法? カードは宙を舞って手元に収まると琥珀の瞳が爛々と輝いていた。敵が仕掛けにくる。絶対に逃しはしない。


「カノン! 絶対に逃がすな!」


「わかっております! ワタシ達の息が彼ら以上にピッタリなことを見せつけてやりましょう」


 お前息してないし、それじゃ俺達がバカップルみたいじゃないか。突き向ける銃の狙いがさっそく妨げられた。

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