衛星ブホテルの死闘 3
「あの男喰われたんじゃが大丈夫なのか!?」
『大丈夫なわけないじゃないですかー!キャプテーン!』
OBFは慌てふためいた。しかし解決策が見つからず回路がショートし頭から煙が出始める。
「ああイカン!潜るぞ!」
そしてキャプテン・コンドルを飲み込んだ触手モンスターは地響きを起こしながら地面へと潜っていく。
『キャプテーン!』
どうすることも出来ず呆然とその光景を見つめる一人と一体だったが、だがその時、突然モンスターの動きが止まった。
『え?』
急に苦しそうにのたうちまわりながらそのまま倒れ、動かなくなってしまった。
倒れた触手モンスターに近づいていくと、口の中から全裸のキャプテン・コンドルが姿を現した。
「いやー焦った」
『生きてるぅ!?』
「じゃ、じゃがなぜじゃ!?」
「コイツはミルサンドワーム。昔パパンの書斎の図鑑で見たことがある。砂漠の星によくいるタイプのやつで、コイツらの弱点は硫黄だ。ちょうどタイミングよく催したのでな」
触手プレイは楽しめなかったが、口内プレイは楽しめた。今度巨人族の星のえっちなお店でお願いしよう。
また新たな扉を開いてしまった……。
「うわなんじゃコイツの口臭ションベン臭!」
『そういやアンタ無駄に英才教育受けてましたね……』
どんなピンチもチャンスに変える。そう、なぜなら俺はキャプテン・コンドル。不死鳥の中のフェニックス。俺の辞書に不可能という文字はない。
『カッコつけてないで早く服着ろよ』
「いやしかしこれでまた水がとれるぞ!アンタは村の英雄じゃ!それより早く服着てくれんかの」
ヤガン殿は瞳に涙を浮かべながら感謝を述べる。どうやらわかってくれたようだ。触手プレイは見せられなかったが、素晴らしさが伝わればそれで十分だ。
「いや違うから」
照れることなどない。これからは同じ趣を持つ同士になるのだ。握手しようではないか友よ。
「まあ握手なら、感謝してるのは事実じゃし……ってめっちゃ手ぬるぬるしてる!」
『それより早く服着てくれない?』
獣人族の居住区で住民達に感謝されまくった俺たちはお礼にと宇宙船を貰い、新たな世界の扉を開くため、衛星ブホテルを後にした。
『いやー良かったですねキャプテン。船貰えて。つーかなんでまだ全裸なの?』
去り際に村の若者が一冊の本をくれた……。触手プレイを広めてくれたお礼にと言われては断り辛い。それにこの本の内容も中々興味深い。
『いや触手プレイ布教したことじゃなくて、モンスター倒してくれたことだから感謝されてるの。あとそろそろパンツくらい履いてお願い』
衛星ブホテル。何もない星だったが。学ぶことは多かった。しかも英雄と称賛される気分も悪くない。あの星でもそのうち触手プレイが流行するだろう。
『しねーよ』
そして俺は貰った本を眺める。そこに載っているのは恐らく獣人のオスたちが大興奮するであろう、エロいポーズの獣人のメスたち。
うむ、良い感じにムラムラしてきた。
『いやアンタ貰ったのエロ本かい!』
「よし俺は抜いてくる、操舵は任せたぞ」
オナニーしようと席を立ち上がった瞬間、船内にアラームが響き渡った。
『あのーキャプテン。帝国軍の船です……ロックオンされました』
一難去ってまた一難。
どうやら宇宙は俺の活躍を待ち望んでいるようだ。
せいぜい期待に応えるとしよう。
『いや活躍って、アンタ触手モンスターと触手プレイしようとして喰われて、モンスターの体内でオシッコしただけですから。って撃ってきたぁ!』
船体が大きく揺れた、またエンジンがやられたらしい。このまま不時着するとなると一番近いのは惑星ベッ・ドィーンのようだ。
またあの惑星に行くことになるとはな。これもまた運命。
「着いたら呼んでくれ。スッキリしてくる」
『あー……もういいやー……脱出ポッドに行こう。着いたらちゃんとパンツ履けよ』
戦うことを諦める。それもまた人生では大切なことだ。だがいつかは勝利する。帝国軍には決して屈しない。俺のオナニータイムを邪魔した罪は重い。
なぜなら俺はキャプテン・コンドル。フェニックスの中のケモナー。何度やられようと蘇りつづける。
覚悟しろ帝国軍、次はお前たちのオナニータイムが邪魔される時だ。
「触手も最高だが、メスケモもまた一興」
そして絶頂に達すると同時に船もまた絶頂を迎え、惑星ベッ・ドィーン上空で爆発四散した。
「ヤガンさん。ホントにこれでいいんですか?」
「ああ、きっと彼もこう望むじゃろう」
居住区の中心にひとつの石像が建てられた。それは村を救った英雄、キャプテン・コンドルが触手に巻きつかれながら高らかにポーズを決めているモノであった。
その石像を眺めながらヤガンは満足そうに頷いた。
そしてその手には『ぬるぬめクトゥルー美女コレクション45ヶ月号』というタイトルの本が握られていた。
「メスケモも最高じゃが、触手もまた一興」