アイスは溶けるぜベイベー 1
惑星ベッ・ドィーンのスラム街。
惑星特有のねばねばの雨が俺の体を濡らす。
俺は目の前のアイスクリーム(チョコミント味)の頭をしたアイチュクリン星人に銃口を向けている。
そしてスーツを着たアイスクリーム(チョコミント味)も俺の眉間に銃口を突きつけている。
状況は圧倒的に不利。
だが俺はキャプテン・コンドル。好きなアイスはふわくもレインボーフレーバー味。どんな死地もくぐり抜けてきた不死身の男。
「なぜだアイスクリーム(チョコミント味)……こんなことをして何になる」
「黙れキャプテン。俺は所詮はチョコミント味……歯みがき粉みたいにジャリジャリした人生しか送れない……」
そう吐き捨てるとアイスクリーム(チョコミント味)は引き金に指をかける。
なぜこんなことになったのか……それは数時間前の回想では全てを伝えられない。
具体的に言うと、数年前。
そう、あれは俺がまだキャプテンと呼ばれるにはほど遠い……いや元から名前はキャプテンだが……そういう意味ではない。
「さっきからぶつぶつうるせぇぞこのアイスクリーム(チョコミント味)野郎!」
回想に入ろうとした瞬間いきなり、背後から黄色い熊のホームレスがビール瓶でアイスクリーム(チョコミント味)の後頭部を殴りつけた。
そして後頭部からアイスクリーム(チョコミント味)吹き出しながらアイスクリーム(チョコミント味)は倒れた。
「二度と騒ぐんじゃねえぞ歯みがき粉野郎!」
そう黄色い熊のホームレスは吐き捨てるとどこかへいってしまった。
俺は急いでアイスクリーム(チョコミント味)の元へ駆け寄る。
「おい。アイスクリーム(チョコミント味)しっかりしろ!チョコミント服にこびりついたからクリーニング代よこせ!」
アイスクリーム(チョコミント味)は口からアイスクリーム(チョコミント味)を垂れ流しながら、おぼろげな意識で語った。
「やはり所詮はチョコミント……ろくな人生じゃなかったなぁ……」
「意識をしっかり保て!お前サイフどこにしまった!?見当たらないぞ!」
スーツのポケットを探りまくる俺の手をとり、アイスクリーム(チョコミント味)が握りしめる。ベタベタしたチョコミントが手に付着した。慰謝料も請求しなければ。
「あぁ……生まれ変われたら……ポテトサラダになりてぇなぁ……」
そう言い残し、アイスクリーム(チョコミント味)は生き絶えた。
俺は仕方なくアイスクリーム(チョコミント味)の頭に手を突っ込んだ。そしてやはりサイフは頭にあった。
アイチュクリン星人は大事なモノは頭の中にしまう習性がある。
「ちっ……少ねぇな………」
俺はサイフから金だけ抜いてその場に捨てた。その時、サイフから一枚の写真が出てきた。
そこに写っていたのは若き日のアイスクリーム(チョコミント味)。そしてアイスクリーム(バニラ味)とアイスクリーム(ストロベリー味)も写っていた。そしてその隣には若き日の俺の姿もあった。
「まだ持っていたのか……」
俺はその写真だけアイスクリーム(チョコミント味)の頭の中に戻した。顔面にはすでにアリがたかっている。マジできたねぇ。
俺は思い返していた、あの頃の出来事を。
なぜなら俺はキャプテン・コンドル。好きなアイスはやっぱりカラフルポッピングコットンフレーバー味。回想も俺の仕事のうちだ。




