恋はオイルの味 1
宇宙のどこかにある、宇宙大海原……そこには宇宙クジラという超大型のクジラがおり、その背にあらゆるお店を乗せている。そしてその中には、俺が行きつけの宇宙キャバクラ、“セクシィー・シンボル”もあった。
「━━せーの!記念すべきセクシィー・シンボル、開店10万年目、おめでとー!」
俺の乾杯の音頭と共に、店内中にグラスを叩き割る音が響き渡る。
今日はこのセクシィー・シンボルが開店して10万年目。ありとあらゆる伝説の男たちが通い続けたこの店で、伝説が生まれた瞬間に立ち会えた。俺もいつか、この店に名を刻みたいと思っている。
なぜなら俺はキャプテン・コンドル。触手フェチのナイスガイ。ぬるぬめタイプがベストだぜ!
「さあお前ら!今日は俺のおごりだ!俺以外誰も飲むんじゃねぇ!」
男たち全員からブーイングが巻き起こる。俺は女の子以外に金は出さん。男なら、自分の金は自分で払え。
『しかしキャプテンも普通の女の子に興味あるんですね。安心しましたよ~。エロ本が恋人とか言い出しそうな勢いで毎日エロ本と共に過ごしてますし……』
「バカ野郎!俺はこの店の常連だぜ!?まあ普通の女の子に興味があるわけじゃないがな!」
『えぇ……。あ、でも通い詰めるってことはお目当ての娘でもいるんですか?』
「応とも。あんなカワイイ娘は他にいない!あのぬるぬめの触手がまた堪らねぇ……お!いたいた。おーい、ナイアーラトホテップちゃ~ん」
『え?ナイアーラトホテップちゃ……ファッ!?うーん……』
ナイアーラトホテップちゃんの姿を見た瞬間、OBFの回路がショートし、煙が噴き出す。
無理もない。彼女のかわいさは誰も直視することは出来ないほどだ。あの触手だけで構成されたナイスボデー!あぁ、たまらねぇぜ!
「あ!キャプテンまた来てくれたの~。今日もカックイ~」
「当たり前さ……ナイアーラトホテップちゃんのためなら、例え外宇宙に居ようとすっ飛んでくるぜ……」
隣に座った彼女が俺に触手を絡ませてくる。
うらやましいのか周りの男たちは次々と気を失っていく。それとなぜか女の子たちも。
「ねーねーキャプテーン。今日は~いつものお礼に~。キャプテンだ・け・に、いいことしてあげよっか~?」
なまめかしい彼女の触手が俺の体を完全に包み込んだ。触手の締め付ける力はどんどん強くなり、全身の骨が悲鳴をあげ始める。
「うん!しゅるしゅるー」
「じゃ~あ、奥の部屋、行こっか」
俺は彼女に抱きつかれたまま奥の部屋でお楽しみタイムです。
誰であろうとこのキャプテン・コンドルの邪魔はさせねぇ!
二人が去ってから数分後、OBFの自動修理機能によりシステムが再起動し、OBFの意識が戻る。
『うぅ……あんな神話生物がキャバ嬢やってるなんて……キャプテンはなぜ平気なんだ?』
周りで気絶していた人たちも次々と意識を取り戻していく。そしてキャバ嬢たちは何事もなかったかのように業務を再開する。
OBFの周りにもキャバ嬢が集まりオイルを勧めてくる。
「ねーねーOBFくんって、どんなタイプの娘が好みなのー?」
『え?いやーまぁロボットですし……やっぱり好きなタイプもロボットの子ですかねー』
「あ、それなら新人の子に、良いロボ娘いるよ~。おーい、KRG114514号ちゃ~ん」
『KRG114514号ちゃん?』
青い肌の怪物のキャバ嬢が手を振って呼んだ娘を見た瞬間、OBFのシステムはフリーズし、目の表示がハートマークに変わった。
『ご、ご指名ありがとうございます。KRG114514号です。精一杯ガンバリマス』
おぼつかない様子で彼女は自己紹介をしたが、OBFはフリーズしたままだ。
無理もない。そう、なぜならOBFは、自身のロボ生で製造されてから初めての、恋をしたのであった……。
『━━素直に、射精です……』




