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私の親友①

こんにちは、薬師実です!

今回と次回で別の人物の視点から書いていこうと思います!どうぞご覧になってください!(^O^☆♪

 私ーー槙野美乃梨は、ちょっと寝坊をしがちで、ちょっとオシャレに興味があって、ちょっとSNSをしている普通の高校一年生だ。


 私の家族は比較的仲の良い家族だと思う。パパは天然パーマで加齢臭がするけど、いつも冗談で家族を笑わせてくれていた。ママは私が服を買いたいって言ったら、言うことを聞いてくれる優しいママだ。


 そして私のお兄ちゃんは、どうやら友達が少ないみたい。高校の時までは仲の良い人がいたみたいだけど、大学だとそれはもう一人で過ごしているらしい。


 お兄ちゃんは普通の大学生とは違うと思う。だってツイッターだと、大学生たちは飲み会とかサークルとかいろいろあるみたいだけど、お兄ちゃんはツイッターもサークルも飲み会もやらない。


 前にお兄ちゃんがオススメしてきたアニメを見たけど、何が面白いのか全く分からなかった。お兄ちゃん的には、架空の物語は現実を忘れられるから面白いみたい。現実にも面白いことは沢山あると思うよお兄ちゃん。


 そんなお兄ちゃんも中学生の頃は、それはもう問題児だった。先生からの電話なんてしょっちゅうだし、筋トレにハマったら筋トレしかしないし。お兄ちゃん的には、筋トレは謎の全能感を得られるらしい。ちょっと私には良く分からないけど。


 そんなぼっちで変わったお兄ちゃんが最近おかしいです。缶詰とペットボトルの水を買い込んできたのですから。私はお兄ちゃんの新しい厨二病が始まったと思いました。でも、今回は深刻な理由らしいのです。何でも日本中がゾンビで一杯になると言うのですから、私はにわかに信じられませんでした。


 でもその時のお兄ちゃんは、私が見たこと無いほど真剣な顔をしていたと思います。私は、すぐにツイッターでゾンビについて調べました。何でもアメリカで大変なことが起きているというのです。私はすぐにお兄ちゃんの言ってることは本当かもしれないと思いました。


 次の日、私は珍しく遅刻せずに登校したら、クラスのみんなに驚かれました。いつも寝坊しているとはいえ、それは失礼じゃないかな?


 同じクラスの子にお兄ちゃんが言ったことを話してみたけど、全然信じてもらえませんでした。相変わらず友達の話題は、誰がカッコイイとか、ドラマの話とか、好きなバンドの話だけでした。やっぱり最近の高校生は危機感が足りないよね、私もそうだけど。


 さて、こんな事を考えている私は何をしているかというと、大嫌いな数学の授業を聞かずに、スマホをいじっています。


 いつもの日課のトレンド入りしているタグを探しています。すると一番上に来ているのがゾンビ発生というタグでした。


 「これ⋯⋯、 お兄ちゃんが言ってたのと同じ⋯⋯? 」


 私は嫌な予感を感じながらも、詳細を見てみると、どうやら鳴田空港で人が人に噛み付いているらしいのです。


 私は親友の夏海(なつみ)にすぐに連絡を入れました。夏海は小学校の時からの友達で、よく家に遊びにいく間柄なのです。


 『今鳴田空港で大変なことが起きているみたい! そっちでも調べてみて!』


 しばらくすると夏海から返信が来ました。


 『逃げるよ、準備しなさい』


 私は夏海の返信にすぐ了解スタンプを送り、先生に調子が悪いから保健室に行きたいと言いました。先生はすぐに了解してくれます。


 教室の廊下を出ると、すぐに夏海を見つけることが出来ました。


 「夏海! 逃げるってどういうこと?」


 「このままここにいたら危険ってこと、安全な場所に逃げるよ!」


 夏海は私の手を引っ張って、階段を駆け下ります。 途中掃除用具のロッカーから箒の絵の部分だけを、足で器用に折っていました。


 「夏海? それ何に使うの?」


 「ツイッターであいつらが噛み付いてくるって話があってね、これは武器だよ」


 「ぶ、武器!?」


 夏海は昔から男勝りなところがありました。夏海は気が強くて、私がいじめられていたところを夏海が助けてくれたのが、仲良くなったきっかけです。そんな彼女はいつだって頼りになる自慢の親友なのです。


 すると、突然校内放送が始まります。


 『全校生徒に連絡します、校内に不審者が侵入しました。直ちに先生の指示に従って避難してくださいーー』


 すると、夏海はまた私の手を取ります。


 「奴らがやって来たかも、裏門から出るよ!」


 私たちが上履きのまま裏門近くへ向かっている時、校内からはたくさんの悲鳴や叫び声が聞こえてきました。私はこれからどうなってしまうのかという不安で一杯で、何も考えることが出来ません。そんな中、夏海は手を力強く握りしめてくれたのです。


 夏海は道守高校の裏門へ着くと、すぐにナンバー式の錠前を外してしまいます。


 「なんで番号知ってるの?」


 「校舎裏の掃除当番だった時に掃除の人が開けているのを見てたから、ほら早くあんたも来なさい」


 私は夏海に手を握られて、住宅街を走ります。住宅の角に迫ると、夏海が待ての合図をしたので走るのをやめました。


 「夏海どうしたの?」


 「あそこ見てみなよ、あれがゾンビって奴じゃないの?」


 私は夏海につられて奥を覗き込みます。すると、とても驚いてしまいました!私が覗いた先には腕が千切れかかっていて、どう見ても普通じゃない人が足を引きづりながらこちらにやって来ていたのです!


 「あの人⋯⋯、 どうしてあんなことに⋯⋯ 」


 「きっとゾンビに襲われたんでしょう、それで噛まれた人たちは漏れなくゾンビの仲間入りってことね」


 「そんなことって⋯⋯ 」


 すると住宅街に何人もの悲鳴が響き渡ります。どこから走って来たのか、何人かの人が走ってゾンビから必死に逃げています。


 私たちも走り出しました。あの追いかけてくるゾンビに捕まらないように。


 「グズグズしてる暇は無いよ! 早く警察署に行こう!」


 「え!? どうして警察署へ!?」


 「警察の人たちには銃があるし、鍛えてるから匿ってもらうの!」


 私たちが交差点に差し掛かった時のことです。私たちと前を走っていた人に車がぶつかっていきました!

人から鳴ってはいけない音が私の耳に届きます。


 「きゃあ!」


 「こっちだよ!」


 私たちは交差点の歩道を右に曲がります。後ろを振り向くと、数体のゾンビが私たちを追って来ていました。


 「振り向かないで! 今は走ることだけに集中するの!」


 すると、前方から一体のゾンビが迫ってきました。


 「夏海、前!」


 「美乃梨は私の後ろに!」


 夏海は迫ってきていたゾンビの足首を、箒の柄で叩き、ゾンビを転ばせてしまいます。


 私は夏海のかっこいい動きに、目が離せないでいるとすぐに声をかけられました。


 「ほらぼさっとしない! 後ろからも来てるよ!」


 私たちは再び走り出します。すると道路からパトカーが走ってきて私たちの近くに止まってくれます。ドアを開けてくれたのは警察官のお兄さんでした。


 「君たち! 早く車に乗るんだ!」


 私たちは警察官の方のご厚意に甘えることにしました。私たちを乗せたパトカーはすぐに走り出します。後ろを見れば追いかけてきていたゾンビたちが、遠ざかっていきました。


 「危なかったね、もう大丈夫だよ」


 「ありがとうございます⋯⋯、 あの今何が起きて居るんですか?」


 警察官のお兄さんはバックミラーを直して私たちに返事をしてくれました。


 「僕はまだ新人でね⋯⋯、 交番に配属されて数日なんだ、それで警察署へ向かうところで君たちが逃げているのを見つけて拾ったわけだけど、この状況は一本の通報が始まりだったんだよ、空港で人が噛まれたってね」


 「私たち警察署に行こうと思ってたんです、どうか匿ってくれませんか?」


 夏海が警察官のお兄さんへ交渉します。


 「そっか、それは賢明な判断だね、警察署には武器もあるし、何人もの優秀な警察官がいるはずだからね、このまま連れて行ってあげよう」


 「ありがとうございます」


 私は車の窓から外を見ていると、子どもや老人、主婦を中心にゾンビに襲われているのが見えます。


 「お兄ちゃんは大丈夫なのかな⋯⋯、 パパとママも⋯⋯ 」


 「私も家族にスマホでラインを送って見たけど既読がつかないね、多分回線が混み合ってるんだと思う」

 

 私はパパやママ、お兄ちゃんに電話をかけましたが一向に繋がりません。昨日お兄ちゃんが言っていた公衆電話なら繋がるのかもしれないけど、ゾンビに襲われる可能性が高くなります。


 パトカーはしばらく走っていると、道守警察署へ着きました。どうやらここまではゾンビは来ていないようです。


 「さあ、着いたよ、署内の受付の人に匿ってみるように交渉してあげるよ、今は非常事態だからおそらく大丈夫さ」


 私たちは警察官のお兄さんに連れられて、署内に入りました。そこでは警察官の方々がとても忙しいそうにホールを走り回っています。


 「この子たちは道守高校から逃げてきた生徒たちです、この子たちの保護をお願いしたいのですが」


 受付のお姉さんが対応してくれました。


 「はい、それなら署内の保護室に案内いたします、係の者をつけますので少々お待ちください」


 「じゃあ僕は任務の方に戻るからね」


 「あ、ありがとうございます!」


 私たちがホールの椅子に座って待っていると外が騒がしくなってきました。外から悲鳴や怒鳴り声が聞こえてきています。


 すると、警察官の方々が署内に入ってきて扉に鍵をかけ始めました。


 「早くバリケードになるものを持ってこい!! ソファーやテーブルでも何でもいい! 奴らが入ってこないようにするんだ!」


 警察官の方々は(せわ)しなく、ホールのものでバリケードを作っています。


 「君たちも手伝ってくれ!」


 私と夏海は警察官の方々に(なら)って、物を運ぶのを手伝います。


 私は警察官の方々の必死の顔を見て、ようやく取り返しのつかないことになっていると気付きます。今まではどこか映画のような世界に迷い込んだようだと思っていましたが、大きな現実感が私に襲いかかってきました。

 

 警察官の方々が慌ただしく動く中、ひどく静かに、重く、深い心の海の底へ沈んでいきました。


 それは決して太陽の光が届くことが無いほどに私を引きずり込んでいくのです。



今回も読んでくださりありがとうございます!!

次回でこの話は終わって、主人公視点に戻りますのでよろしくお願いします!!(^O^☆♪

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