45本目:邪神眠る、だが物語は進む
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大騒動に終わった初配信の数時間後、ダンジョンを脱出した流々等三人は入り口で待っていた丹波に連れられ、神戸市にある兵庫探索者協会に来ていた。
日本において探索者協会は警察と連動して動くことが多く、関連施設も警察署と共に建てられていることが多い。
従って各都道府県にある本部も県庁所在地にあり、三人が連れてこられたのはそんな建物の一室であった。
部屋には流々、護、クトー、丹波の四名に加え、強面の60代くらいの男、そして同じ年頃の物腰が柔らかい印象を受ける女性の計六名が机を挟んで顔を合わせている。
「疲れているところお呼び立てして申し訳ない。私は日本探索者協会会長、六車という」
「兵庫探協の部長、新開地よ。宜しくね、お嬢さん達」
探索者協会の組織図をよく理解していない護にとっては、「とりあえず偉い人なんだな」程度の認識である。
「貴女方の事は存じておりますが、一応初対面ですし自己紹介をお願いしても宜しいですかな?」
「探索者協会明石支部所属のAランクダイバー、虚柄 護です。この子はBランクダイバーの九冬 流々、アタシの妹です。そしてこちらが妹の義理の親、クトーさんです」
「わ、私は、明石支部職員で彼女達の担当、丹波 薫です!」
「うむ、宜しく」
低く重い声、だが口調は丁寧で柔らかく、流々達と敵対しようなどという意思は見られなかった。
何より──。
「・・・・・・」
「おや、虚柄ダイバーは気付かれましたか? そう、私も隣の彼女も魔力を持っていません。私達はダイバーではないのです、驚かれましたか?」
「はい、てっきり適性があったから協会を立ち上げたのかと・・・」
「私と彼女は元警察官でしてね、探協の前身となった組織は元々警察の一部署だったのですよ」
「わ、私も協会に勤めてそれなりに経ちますが、初めて聞きました」
人にも組織にも歴史ありという事なのだろう。
そもそもダンジョンが出現して約100年、魔力を持った人間が出始めたのは初めてダンジョンが確認されてから暫く経った頃だった。それから世代を追う毎に魔力の量も持った人間も増えている、逆に言えば現在60歳以上の世代は魔力を持っていない人間も多い。六車がダイバーでないのも納得である。
「私達非ダイバーが護衛も付けず個室でお会いする事、それをどうか貴女方への信頼と受け取って頂きたい」
「分かりました」
本当に何かする気は無いのだろう。六車の態度からそう確信した護は、ソファーにもたれ掛かり警戒を解いた。
「すみませんでした」
「いえ、大切なご家族を守ろうとなされているのです、警戒するのも当然の事。ところで、その子はいつ頃起きられますか?」
六車達の視線は護の膝で眠る流々に向いた。
流々は部屋に到着した際まだ起きていたのだが、早起きしていた影響もあり六車達を待っている間に眠ってしまったのだった。
「すみません。この子、今日の配信の為に2時間ほど早起きしていまして・・・多分起きないかと」
「此方も無理を言ったのです、仕方ありません」
「流々さんに答えられるような事は大凡私共でお答えできるかと思います。ですので、宜しければお話をお伺い致します」
「私共・・・という事は、そちらの方にも色々お伺い出来るのですかな?」
六車が視線を護の頭の上に移すと、そこには今までひと言も話さず本物の人形の様にジッとしているクトーの姿があった。
六車の強い視線を受けても身動ぎひとつしない、クトーは姿は変われど流石の威厳を保っていた。
『・・・・・・』
「ちょっと、クトーさん。起きて」
『・・・おぉ、話し合いは終わったのか?』
否、ただ居眠りしてるだけであった。
『すまぬ、こうも何もせずに居るとウトウトしてしまってな』
「そのお気持ちは私にもよく分かります。歳をとるとどうにも・・・」
「本当にねぇ、おちおち考え事もしていられないわぁ」
年寄り同士、何か通じるものがあるようだ。
『さて話であったな、我としては知っている事の全てを話しても構わぬ。この子達の生活を脅かさぬ限り友好的であると誓おう、何が知りたい?』
「全てを。貴方が何者なのか、そして今世界に起こっている事の全てを、貴方の知る限り教えて頂きたい」
そう口にした六車を見てクトーは少し思案する。
六車は強い眼をしている、絶対に成し遂げると誓った者の眼である。
相手はただの人間であるにも関わらず、クトーは僅かに押される様な感覚を得た。
『我等を知るという事は、世界の深淵を覗くことと同義だぞ。貴様にその覚悟はあるのか?』
「愚問ですな。日本の、ひいては世界の若き芽を救うのです。身を滅ぼす覚悟など、とうに出来ております」
『・・・傑物だな。良かろう、ならば我の知る限りを教えよう。今貴様等人間に起こっている変化とその理由、モンスターやダンジョンの正体、そして──』
『──ダンジョンを作った者の正体をな』
《予想》ダンジョンは、日曜大工が趣味の高橋さんが作った
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