表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SAN値偽装の邪神ちゃん ~TS少年は人間界に戻りたい~  作者: 草食丸
2章:邪神ちゃんの春は爆炎に吹かれる
48/66

43目 邪神の初配信【56階層】

作品に興味を持って下さり、ありがとう御座います!

どうぞ最後までお楽しみ下さいm(_ _)m

【配信準備中】

《遂にこの日が来た!!!》

《待って待って待ち侘びた》

《タコさん、あれから元気にしてるかな?》

《ネネコちゃんが配信で、元気だって言ってたぞ》

《ポテ子ちゃんも言ってたw》


 その日、とあるチャンネルが賑わいを見せていた。

 まだ配信前にも関わらず、何万という人がそれが始まるのを今か今かと待ち侘びている。


《そういや、あの子の名前って流々ちゃんって言うらしい》

《名前かわいいなw》

《早く始まれー》

《待ち遠しい》

《お、噂をすれば》


『えっと・・・もう喋っても良いの、お姉ちゃん?』


《お、映った!》

《流々ちゃああああああんっっっ!!》

《近っw》

《ちかっww》

《どアップww》


 漸く映し出された映像には、スマホの使い方がまだよく分かっていないのだろう、流々の丸い瞳が大きく映し出されていた。


『え、もっと離れるの? うんと、九冬 流々です! 今から始める、ますっ!』


 こうして、幼き邪神の新たな1ページが刻まれた。



 ◆◆



 胡愛と一緒に登校するという一大イベントを終えた週末の土曜日、流々は護と共にダンジョン《邪神の呼び声》に潜っていた。

 今日は丹波 薫と約束していた配信の日である。


「ここで始めるの?」

「そうね、普通はこんな階層から始めることなんて無いけど流々とアタシなら平気だし、インパクトが欲しいって丹波さんも言っていたわ」

「分かった!」

「じゃあ始めるわよ、『探索開始』!」


 護の指示を認識したダイバーフォンが自律飛行を始め、レンズの縁部分ではリング状のLEDが赤く点灯しくるくると回っている。


 探索者達が使用するスマホは通称『探索スマホ』『ダイバーフォン』と呼ばれるもので、非ダイバー達の使用するものと外見こそ似ているが中身は全くの別物である。


 電波の届かないダンジョンでも通話や動画投稿を可能とし、高排熱処理機構を搭載したことで24時間の連続使用を実現。

 またその排熱機構を利用し自律飛行すらする、最早スマホと言っても良いのか悩む物体となっている。

 つまるところダイバーフォンは世界最先端をいく現代技術の結晶であり、現代機器にほとんど触れてこなかった流々にとっては持て余すものであった。


「えっと・・・もう喋っても良いの、お姉ちゃん?」


 これで何がどう変化するのか想像も出来ていない流々は、ダイバーフォンに近付きレンズを覗き込む。

 その目はレンズの縁を回るLEDライトを追ってくるくると回り、その様子を見て護はクスリと笑う。


「ふふっ、目が悪くなるから止めなさい。ほら、沢山の人が見てるみたいよ」


 護は手に持ったタブレットを流々に見せる、するとそこには視聴者であろう者達のコメントが津波のように下から上へ流れていた。


《お、映った!》

《流々ちゃああああああんっっっ!!》

《近っw》

《ちかっww》

《どアップww》


「ほら、やっぱり近いって。少し離れて挨拶するのよ」

「え、もっと離れるの? うんと、九冬 流々です! 今から始める、ますっ!」


《YHAAAAAAA!!!!》

《おぉ、本当に日本語喋ってる》

《一応、元人間というか元日本人らしいぞ》

《マジか!?》

《可愛いからどっちでも良いw》

《そういえば、ダンジョンに居るってことは許可証出たの?》


「うん、許可っていうの貰ったよ。ほらっ!」


 流々は首から下げた紐を引っ張り、見せる。

 そこには探索許可証の入ったカードホルダーともう一つ、二つ折りにされたカードのような物が付いていた。


《おめええ!》

《おめでとう!》

《Bランクだすげぇ!!!》

《Bランクすごっ、でもまぁ納得。Aでも良いくらい》

《でも、『要保護者同伴』って書いてあるww》

《もう一つのは何?》


「こっちはね、担当になってくれた薫お姉ちゃんがくれたの。探索頑張ったらハンコ押してくれて、溜まったら好きな物買ってくれるんだよ!」


《ただのポイントカードww》

《それ、ラジオ体操のあれじゃんw》

《職員さん優しい》


 一秒あたり何十通と投稿されてくるコメントの流れる速さは最早常人が目で追える速さでは無かったが、流々はこれを安々と追い更に視聴者を驚かせるのだった。


「あ、そろそろ自己紹介・・・うんと、お名前は言ったから、12歳です。学校通ってます。あと、好きな物はお菓子とか、友達のみんなです。大好きなのはお姉ちゃんです!」 


《大好きな姉←不動の一位w》

《ってか、お姉ちゃん居るのか》

《居るぞ》

《流々ちゃんはあの虚柄 護ダイバーの妹様ぞ?》

《うえええええええ!?》

《まじかああああ!!》

《あれ? 意外と知られてないのか》

《探協のHPにも載ってるぞ》

《流々ちゃん、護様は今そこ居るの?》


「お姉ちゃん? 居るよ!」

「居るわ、でも今日は流々の探索配信だから出ないわよ」

「今日は一緒に来てくれてありがとう、お姉ちゃん!」

「ふふっ。流々の為だもの、来るに決まってるじゃない」


 普段見られない護の慈愛溢れる様子に、視聴者が驚きを見せる。

 それもその筈、護の優しさは全て流々にしか向けられないのだ。


《てぇてぇw》

《てぇてぇ》

《流々ちゃん、ほんとにお姉ちゃんっ子だな》

《ところで今日は何するの?》


「んと、今日は初めてなので、僕の居たダンジョンを案内しようと思い、ます!」


《流々ちゃんの初めて、いただきました!》

《キモい》

《普通にキモい》


「殺すわよ?」


《ヒエッ!?》

《ひぃ!!》

《が、画面越しに殺気が・・・》

《ところで見覚えの無い水晶が見えるのだが》

《邪神の呼び声に、そんな場所あったか?》

《20階層辺りから、チラホラあったりはするが・・・》

《流々ちゃん、そこ何階?》


「えっと、ここは地下55階層です!」


《はぁっ!?》

《はああああっっっ!?》

《最深部じゃんwww》

《そんなとこで和んでたのかっ!?》

《危ないから周り見て!?》

《奏 寧々子:流々ちゃんっ、何でそんな危ない所行くのぉっ!?》

《ネネコちゃん乱入だあああああっ!!》


「あ、寧々子お姉ちゃんだ!」


《工藤 炎樹:私も見てるわよぉ、随分深く潜ったわねぇ》

《なるほど☆ポテ子:ウチも見てるっすよー!》

《奏 寧々子:初探索頑張って! でも危ない所行かないでぇええ!》

《丹波 薫:私もちゃんと見ています。護さん、流々さん、後で探協に来てください。お説教です》

《流々ちゃん、いきなり呼び出しw》

《たぶん申告してなかったんでしょ》

《いや、いきなり最深部行くとか誰も思わんて・・・》


 探協職員や有名ダイバーの登場にざわつくコメント欄だが、本当の混乱はこれからだった。


「じゃ、じゃあ、これから下に降りる、ます!」


《え、下?》

《下ってどこ? そこ最下層でしょ?》


「え、あっちから降りれるよ?」


 そう言って、流々はクリスタルが乱立する奥を指差す。

 そこには少し分かり辛いが、大きな亀裂があるのが確認できた。


《え、まさか・・・まだ下あんの!?》

《ウソだろっ、これ未確認情報なんじゃねぇの!?》


「じゃ、行きます。お姉ちゃん、どうする?」

「うーん・・・高さも分からないし、抱っこして貰おうかしら」

「うんっ、任せて!」


 護を抱き上げた流々は亀裂に入る。だがそのまま飛び降りる様なことはせず、ペタペタと壁に張り付いて降りていった。


「えへへ。いつもと逆だね、お姉ちゃん!」

「ふふ、そうね。でも悪くない気分だわ」


 二人が降りていくこと数分、出口だろう先からは青白い光が差し込んでいた。

 護はその光に目を細める。そして暫くして慣れてきた為目を開くと、信じられない光景が飛び込んできた。


「これは・・・綺麗ね」

「でしょ? これ全部キラキラした石なんだよ」


 そこにある川が、森が、地面が、そこにある全てが輝き、光を放っている。

 信じられない事に、その階層にあるもの全てが、様々な色のクリスタルで構成されていた。


 クリスタルの大自然。

 自然の織り成す芸術の極致とも言える光景に、暫しコメントの流れが止まる。

 しかしこれはダンジョンだけが魅せる光景であり、自然界では決して見ることの出来ないものであった。


《すげぇ・・・》

《言葉が出ない、これ本当にダンジョンか?》

《いや、逆にダンジョン以外あり得ない光景》

《工藤 炎樹:あらぁ〜♪》

《奏 寧々子:なにこれぇ!?》

《丹波 薫:そんな、まだ下の階層があっただなんて・・・それに何て・・・》


「あるよ、きれいでしょ?」


《奏 寧々子:うん、きれいだねー! じゃなくって、ここ何っ!?》

《丹波 薫:ちょっ、流々さん。何でそんな場所知ってるんですか!?》


「だって、お家帰る時にここ通らないと駄目だし・・・」


《丹波 薫:もっと下に住んでたんですか!?》


「うんとね、あと10回くらい降りるよ?」

「そんなに下に居たのね、アタシも知らなかったわ。流々はここの階層をどの程度知ってるの?」

「あんまり知らない。だって、ここから下はあんまりお肉が取れないもん」


《お肉? お肉ってドロップのこと?》

《まぁ、確かに肉は採れなさそうではある》


 ダイバーフォンに映る景色に、生物らしい雰囲気は一切無かった。


「じゃあここにモンスターは居ないのかしら?」

「ううん居るよ。いっぱい居るんだけど、カニさんしか居ないの」

「蟹・・・見渡した感じ居るようには見えないわね、隠れているのかしら?」


 人並外れた視力を持つ護から見ても、何かが居るようには見えない。

 流々の言葉が嘘などと思うはずもないが、それでも護には生物らしい気配が感じられず首を傾げた。


「えっとね、あれ全部カニさん」

「あれ?」


 流々が指差す先を護と視聴者が見る。


《・・・居るか?》

《見えん》

《流々ちゃんを疑う気は無いけど、居るか?》


「正直アタシにも見えないわね、気配も全くないし。流々、どの辺りに居るとか分かるかしら?」


 隠れているものを探したくなるのは人の性。

 護は何処に居るのかと質問したが、返ってきた答えは驚くべきものだった。


「うんとね・・・どこって言うか、あのキラキラしたの全部カニさんだよ」


《えっ》

《えっ?》

《え?》

《キラキラって、どのクリスタルが?》


「えっと、あの緑のも。あっちの青色のも。浮いてるあれも、全部! 土以外全部だよ」

「・・・言葉通りならすごい数ね」


 言われたら分かるとはよく言うが、流々が指差したそれら全ては護の感覚を持ってしても『言われても判別出来ない』という他無かった。


《だめだ、全然分からんし想像できん》

《綺麗な水晶にしか見えない》

《丹波 薫:護さん、危険が無ければ石を投げてみて頂けませんか?》

《奏 寧々子:え、大丈夫なの?》


「流々、どう?」

「大丈夫だよ!」


《流々ちゃんのお墨付き出ました!》

《というわけで、先生お願いします!》

《やっておしまい》

《わくわく》


「いくわよ──ふっ!!」


 腕の力のみで投げたとはいえスキル全開で投げられた石は、音速を超えて飛び着弾。爆撃のような轟音を響かせる。


《やばすぎ》

《怖っ!》

《もはや人間兵器だろ、これ》

《これ蟹が居たとしても死んだんじゃね?》


「あははは、そんなわけ無いよっ!」


《え?》

《お、おい、下ヤベェぞ!》


 ダイバーフォンが下に向き直ると、そこには信じられない光景が広がっていた。


 ──ガサガサガサガサガサガサ


 ──ガサガサガサガサガサガサ


 ──ガサガサガサガサガサガサ


《ぎゃああああああああっっっ!?》

《うわあああああああああ!?!?》

《気持ちわるっ! 気持ちわるううう!?》


 生物らしい気配が一切無かった場所に、突如として大量の気配が生まれた。

 目に映る全てのクリスタルに甲殻類特有の足が生え、地面を動き回る。その様子はまるでアレだった。


「まるでゴ◯ブリね、投げて少しだけ後悔したわ」

「ね、いっぱい居るでしょ?」


 護すら顔を青くする光景を流々は「困った」という様子で見ているが、コメント欄は阿鼻叫喚していた。


《奏 寧々子:いやあああああああああああ◯✕☆△!?!?!?!?》

《ネネコちゃんがご乱心だ!?》

《いや、これは誰でも・・・》

《工藤 炎樹:       》

《丹波 薫:        》

《死傷者多数っ、メデイイイイィック!!》

《いきなりのSAN値チェックは、止めて欲しい。ウップ・・・》


 自分で言ったのに・・・と流々は思ったが、炎樹達も心配な為さっさと次の階層へと移った。

 なお、コメントこそ流れなかったが、ポテ子はその様子を腹を抱えながら笑って見ていたらしい。

ポテ子「あははははははwwぷぎゃーーーwww」

寧々子「(#^ω^)ピキピキ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!

また次の更新も宜しくお願い致しますm(_ _)m


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
気持ち悪っ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ