那智のマンションへ
56話 那智のマンションへ
刑事物のドラマみたいにベテラン探偵の青沼さんには情報屋みたいのが居るのだろ。
那智あけみ似の女が住んでるというマンションへ青沼さんが先に行った。
那智あけみを捜すのが彼女の仕事だし、情報を得たのも彼女だ。
マンション近くの公園で待ってると青沼さんが戻った。
「どうでした?」
「違う他人の空似だと、那智であることを認めなかった。が、私はあの女は那智だと思う。依頼人に報告したら、あとは連中の問題だ……」
すぐに行くのもなんなので、わたしは彼女が出かけないか見張り、夜行くことにした。
午後七時夕飯時かな。コレより遅いと悪印象だろう。
「すみません、わたしある人を捜してまして。聞き込みをしてたらコチラに似てる人が居ると」
「なに、あなた。昼間来た探偵の仲間?」
「は?」
とりあえず、とぼけた。
「探偵……。あ、プロの方ですね。あのあなた確かに捜してる人に似てます。ホラ」
と、あの似顔絵を見せた。
「わたし、こんなに可愛くないわよ」
「これ、捜してる人が描いた似顔絵です。この名刺の方、知りませんか」
わたしは、資料に入っていた依頼人の名刺を見せた。
「○○社 人事課課長 ☓山△雄。誰かしら。知らないわ。こんな人」
名刺を返された。
「あの、この似顔絵、タレントさんに似てません?」
「う〜ん言われてみれば。那智あけみかしら」
おお、すぐに出た。やはり本人か。
「那智……あけみ。って、女優さんか、なんかですか」
知らないふり。
「あ、ほら少しまえにカップ麺のCMに出てた」
「と、言われましてもカップ麺多いですよね?」
「はじめは、人間で宇宙人になって『UFOに持って帰ろう』と、言うやつよ」
やはり本人? 詳しい。
「そうなんですね。わたし、あまりテレビ見ないもので……」
「そうなんだ。ああ、悪いけど夕飯の仕度途中なの、多分あなたが捜してるのは私じゃないわ。そろそろ旦那も帰る頃だし、じゃあね」
ドアがしまった。
部屋のドアから、離れて数歩歩いた時、エレベーターから男が降りてきた。
黒いサングラスに黒いスーツに黒いカバン。帽子も黒い。帽子とカバンがなければ葬儀の帰りとも思うが、礼服のように見えないスーツだ。
男は、わたしの横を通り、那智あけみの部屋の前で止まってインターフォンを押した。
すぐにドアが開いて男は中に。
那智あけみの旦那はMIB?
マンションの那智あけみは、ウソをついているのか?
わたしはあれば彼女だと。
あれは、那智あけみとして。
依頼人の彼女の宇宙人は那智あけみなのかは、どうなんだろう。
「地球に来た異星人が、はじめに見た印象的な人間になるパターンでしょうか」
「そういえば、あのCMが、かかってた頃は街中に大きな看板やポスターがあったね」
「中にはUFOに乗ってたのもありましたね。そーゆーの見て、宇宙人は」
「宇宙人は任務に失敗して、依頼人に会えなくなったのよね。もしかしたら地球に居ないのでは」
「そーですね。別人かどうかは、わからないけど老婆が告げに来たわけだし。あの人は……那智なのは、ありえますね。そしたら、地球にいないのは……」
「いくら、優秀な探偵でも、地球に居ないのでは捜せないわ」
と、わたしたちは依頼人の捜し人は宇宙人と断定して話してる。
名前は面屋栄子。
この名前は多分偽名ね。
顔は芸能界から失踪した那智あけみ似。
中肉中背で身長160センチくらい。
自称宇宙人で、老婆の知り合いあり。
「獄門島さんは、どう思います。老婆は別人か、それとも本人か?」
「本人だとしたら、変装してたってコトに。でも、依頼人は彼氏なんだから変装ならわかるわよねぇ……。多分」
「やはり本当に宇宙人なんですかね」
「依頼人は、彼女が告白するまでわからなかったというし」
「獄門島さん、依頼人に会えないですかね」
「社長に聞いてみようか」
つづく




