ミス・テリ子3
321話 ミス・テリ子3
わたしは、会社にもどり。
「あ、みかんを連れてきちゃた……」
「獄門島おねえさん、ここはドコ? クリームソーダは?」
「蔵中さん、すみません。この子をわたしのデスクに」
「あ、獄門島さん。お帰りなさい。誰?」
「あ、金田一さん、悪い。わたしのデスクのあの子にクリームソーダを」
「あら、久しぶり椎名美香ちゃんだっけ」
「ピンポン! 金田一コオおねえさんだ」
「待っててね、今クリームソーダ持ってくるから」
とりあえず、みかんは金田一にまかせよう。
社長室のドアをノックすると。
「は〜いどうぞ。獄門島ちゃん」
最近、社長室のドアの前にカメラを付けた。
ドアの前の人間はドアを開けなくても中からわかる。
「久しぶりだな、獄門島ちゃん」
あら、オーナーが来てたのね。今日は杖を。
「お久しぶりです。お元気そうでオーナー」
「ナニかな? 獄門島ちゃん」
「あの、社長ぉ『ミス・テリ子』のサイトをやめてもらえます」
「ほお、獄門島ちゃんも見てるのか、あのサイト」
「オーナーもですか。わたしは、見てませんけど妙なトコで評判に」
「妙なとこ?」
「そうです。まあ小学生とかが楽しんで見るぶんはいいんですけど。大人が、本気で……。前に話した大瓦興信所の縦溝まさし覚えてます?」
「ああ、獄門島ちゃんをストーカーしてた奴だろ」
「ナニ、そんなヤツが、いるのか、けしからん。すぐにそいつを社会的に抹殺してやるか」
「ま、オーナー。そこまでしなくても」
この人なら出来そうで怖い。
「ヤツがテリ子のファンで、そのサイトの主をあばいてやると。そしたらバレちゃうじゃないですか、このサイトの仕事がホントだとか、テリ子はわたしだとか」
「やっぱり、そうなんだ。テリ子は獄門島ちゃんか。琴吹くんが、なかなか教えてくれなくてね。ご想像にお任せしますなんて」
「そうなんですか、オーナー。でも会社関係者が見れば、コレはわたしですよ。まえに言いましたよね、社長。あの男にはわたしが探偵だとバレてないと。とりあえず、某保険会社の調査員の極道リンネと」
「ヒハハハハ、極道リンネ。笑える名前だね」
二人して、腹抱えて笑わなくても。
好きでそんな名前を。
コレは雅さんが勝手に。
「いや、笑ってすまん。しかし、青沼くんに仇討ちしそうな名前だなクククッ」
「そんなコトはどうでもいいです。サイトやめてください」
「しかし、大瓦の探偵もバカだね、いい大人があのサイトをマジで楽しんでるの? 僕はね、マニアな小学生のためにやってるんだよ」
と、社長は立ち上がるとバソコンデスクに座りパソコンを操作して大きなデスクパネルにテリ子のサイトを出した。
「ホラ、最後のところに。『この仕事を信じようと信じまいと、ソレはあなたの自由』と入ってるでしょ。まあ、こう書いとくとたいがいマユツバだと思うんだよね。まあさすがにフィクションですとは書けないけど。それじゃつまらないでしょ。子供向けのお化け話なんかには、あきらかにウソだとわかる話が結構載ってるよ。で、「実話」とか書いてある。ソレに比べれば良心的だ。それにいくら探偵でもサイト元などわからないようにしてるからね。心配はいらないよ獄門島ちゃん」
「そんなに心配なら、大瓦の縦溝だな……」
オーナーなら何か出来るかも?
「あ、あわてて連れてきちゃたそのサイトのファンの小学生がオフィスに。まあここ、探偵社と書いてありませんから一応わたしの保険会社にしておきます。ちなみに彼女はわたしの知人です」
さすがに社長やオーナーもオフィスに子供が居たら驚くので、言っといた。
翌朝、大瓦興信所。
「あ、縦溝。仕事の進みが悪いぞ、また女のケツでも追っかけてんのか?」
「所長、おはようございます」
「たしか、亀蟻での浮気調査は、今日締切だったな。どうだ、イイ写真取れたか?」
「すみません、ちょっと闇の探偵社について調べてまして、まだ」
「おまえまた、そんな仕事外の事を。闇の探偵社? そんなの調べてる暇があったら、ちゃんと仕事してこい! 亀蟻の件、おくれたらクビだぞ」
「はい!」
「あ、待て闇の探偵社ってミス・テリ子か?」
「所長もご存知で?」
「ああ、娘が好きでな。しかしありゃ漫画だ。フェイクに決まってる。そんなの調べてどうする、一文の得にもならん。そんな事してたらクビにするからな……。覚えておけ」
「所長……。そしたらボクは闇の探偵社へ入社します」
「バカか、おまえは。あんなもの子供だましだ。闇の探偵社などあるか!」
『ミス・テリ子のサイト』の巻 おわり
つづく




