緑復活
22話 緑復活
「愛さんの知り合いですか?」
「ええ、SRIの……八ツ墓村さん」
「SRI? ってなに? 獄門島ちゃん」
「気にしないで。この子は病院坂薫さんです。仕事を手伝ってくれてます」
「派手なファションの子ね」
「八ツ墓村さんこそ、そんなかっこうでナニしてるんです?」
「臨時探偵よ」
「なんでまた。秘書が……」
ホントに何を考えてるのか。ウチの社長は。
「誰かを捜してるとか?」
「うん、そう。この辺に住んでる子でね……」
「あの、探偵なら依頼内容をそう簡単に他人に話さないで下さい」
「他人じゃないでしょ獄門島ちゃんは」
わたしは、八ツ墓村さんの耳もとで。
「わたしは、いいけど。彼女には素性を明かしてないの」
「そう。で、SRIなのね」
八ツ墓村さん、わかりが早い。
「で、SRIってナニ?」
「そんなの理解しなくていいから。ココはわたしが。帰ってくれる。取り込み中なの……あ、八ツ墓村さんココへ来てから、この家から誰か外に出たの見た?」
「誰も」
そうか。と、いうコトは。
「あの二人、まだ。家の中に居るわ。捜しましょ」
病院坂薫は、家の中に入った。
わたしも戻ろとしたら。
「ねえ、私の仕事に協力して、私が捜してる娘が、この家に入ったのを見た人が」
「どんな娘?」
八ツ墓村さんは、リュックから資料ファイルを出し、写真を見せた。
制服の女のコが並んで写ってる。
「右の娘よ」
「え、このコは、体を取られた」
「知ってるの」
「今、捕まえようと。このコ、このコじゃないのよ」
「?」
「出ていないようだから、中に居るわ捜して!」
このさい、二人より三人ね。
「入って!」
彼女を入れてドアのカギをかけた。
「キャア! 誰よこいつ」
「あ、そいつはあのコをさらった共犯者よ」
何も知らないから八つ墓村さんが、ダバを見るなり驚くわね。
「あんたらココで、何してんの?」
応接間のドアを開けて薫が。
「奥に妙な部屋が」
応接間のダイニングと逆のドアの先には奇妙な部屋が。
暗い二十畳くらいの部屋に寝台が置かれ横に祭壇みたいなのが並べられてる。
道具は仏具とか、カトリックの物じゃなく、ドクロも有れば怪物の型どられた燭台とか、怪しげな品が。コレは。
「黒魔術の祭壇ね、ココで霊魂の入れ替えを」
「黒魔術、霊魂……なんなのよ。私の捜してる娘は何処?」
目を閉じて。あたりをうかっがてる薫が。
「愛さん、ソコのロッカーに気配が」
部屋の隅の黒いロッカーを開けると。仕用人のおばさんが。その後に縄ばしごが見えた。
「どいて、おばさん」
踏ん張ろうとしたおばさんの足を払いロッカーから出して、わたしは縄ばしごに登った。
「八つ墓村さん、そのおばさんを縛って!」」
上は物置? バタッと扉の開く音。
ここは、二階よね。
ドタドタと階段を降りる音が。
「ハイ、もう逃げられないわ」
物置から出て、二階の居間に。
そこから下に。
と、階段のトコにあのコが。
階段下には薫が居た。
縛り上げた三人を連れて祭壇のある部屋へ。
「彼女も、ココに居るわ」
縛ったままの見鳥川緑を寝台に寝かせた。
彼女の名前は八ツ墓村さんの持っていた資料で見た。
彼女の友人の依頼で見鳥川を調べていた八ツ墓村さんがココにたどり着いたわけだ。
スゴイわね八つ墓村さん。ちゃんと探偵してた。
「とりあえず、この体を彼女に返して。ところで、あなたの本当の体は何処に?」
「ソレは、兄さんが……」
「まあいいんじゃない。体から出して、出された人たちの気持ちを味わってちょうだい黒のっぺさん」
「黒のっぺ?」
「黒のっぺらぼうかい? あんたはわしらをそう呼んでんのかい」
仕用人のおばさんだ。このおばさんの体も誰かのものだったんだろう。
「魔道師さん、早くこの体から黒のっぺを追い出して」
「出したら警察には……。あんたらは警察ではないだろ」
「ええ、わたしたちは民間の調査員よ。警察とは違うわ、彼女もとに戻せばウチの仕事は終わりだから警察へは」
「本当だな……警察には」
わたしは魔道師ダバ・ダッタンの手足のバンドをほどいた。
意外におとなしくおじいちゃんは、祭壇の前にたった。
「では、いきますよ東部夏美!」
「待って、ダバ。兄さんが、帰ったら。私は自分の体に戻りたい」
「あんた、ナニを言ってるの。人の体から、さんざん魂を抜き取っておきながら!」
〘そうよ、早くあたしの体返してよ!〙
「と、その体の本来の持ち主が言ってるわよ」
「怖いの、この体から抜けた私は、自分の体が何処にあるのかわからない、私は何処へ」
〘知らないわよ、そんなこと。さっさとあたしを戻してよ〙
「と、彼女怒ってるわよ」
数十分後、ダバの術で見鳥川緑は自分の体に戻った。
わたしたちは兄、東部正治の帰りを待ち。
すべてを話した。
「だから言ったんだ……。妹の体……家のガレージの下の地下室に冷凍保存してある。こんな日がすぐに来ると思い」
「だってさ、夏美さん。解凍してから、入らないと入った途端死んじゃうよ」
「黒のっぺ……君は私達をそう呼ぶんだ」
「黒いのっぺらぼうの略よ」
「人によって私達を『闇の人』と呼ぶ、中にはエイリアンだ。我々もこの地球の人類なんだが……」
翌朝。
「モーニン! 栞」
あ、いつものミドリだ。
「おはよーミドリ」
「あんたさぁ、心霊研究家の娘のくせに霊とか存在しないと、言ったわよね。お父さんにあやまんなよ」
「え、ナニ?」
「あんた、ライブ会場近くのカフェであたしを見たわよね」
「え、やっぱアレは」
「あの時、あたし霊体であんたらに助けてもらおうと行ったんだから」
とミドリはわたしに抱きついた。
「ああ〜ん戻れて良かったぁ〜しおりぃ」
「泣かないでよミドリぃ。ナニがあったの……」
さすがに過去入れ替えた人間をどうするコトも出来ず。
東部正治は高名な僧侶を呼び、家の周りの霊魂たちの供養をし、後、姿を消した。
『黒のっぺの陰謀』の巻 おわり
つづく




