たおせ、ダバ・ダッタン
21話 たおせ、ダバ・ダッタン
わたしと薫は傘を剣のように持ち、並んで構えた。
「そんな、長い包丁なんて怖くないわよ」
「ゴメン、薫。変なコトに巻き込んで」
「気にしない、気にしない。あたし、こういうの大好きだから」
「ふん、小娘ども思い知れ!」
魔道師ダバ・ダッタンが、長くした包丁で斬りかかってきた。
この家、玄関が広いので幸いした。わたしたちは二手に分かれダバの攻撃をかわした。ヤツの横から同時に傘を突いた。
傘とはいえ、先で突っつくと効く。
ヤツは左利きだった。薫の傘の先が肩にヒットして、その後の二手目が、手の甲に。
ダバは包丁を落とした。
薫ってば、傘技を使い慣れてる。
わたしの傘先は、ヤツの横腹に。
わたしは、素早く傘で包丁を弾いて玄関の隅に飛ばした。
そしてアゴに一蹴りいれたら倒れて失神した。
「あ、逃げた!」
女のコとおばさんが、ドアを開け家の奥に。
肩と横腹を抑えてこんでるダバに傘の先を突きつけて。
「アレレお仲間の人たち逃げちゃたよ。愛さん凄いですね。あいつらどうします?」
わたしはバッグから、接束バンドを出しダバの手の親指を後手にと、彼のズボンのベルトで足首を縛った。
魔術師だが手足を封じれば何も出来まい。
初老のヤセ男のダバ。格闘なれは、してないようだ。
最初の包丁の構えでわかったけど。
「やっぱり、大きな家だから裏口とかあるよね」
「とりあえず、中に」
左手と右手に廊下が、そして真ん中にドア。
二人はドアを開けて中に。廊下の先には逃げ道が無いのかしら。
ドアを開けると応接間だ。
正面には70インチはあるだろう大きなテレビが。
「でっかいテレビねぇ〜」
二人は居ない。左側にドアが。
開けると、ダイニング。奥にキッチンが見えた。
左側に廊下。玄関の廊下はココにつながってるのか。
逃げる先もなさそうだ。
「愛さん、こっちのドアに廊下が、部屋もあるよ」
「逃げたのならそっちね」
キンポーン
誰か来た。
「どうします?」
「無視しよ」
すると。
キンポーン キンポーン キンポーン
連打し始めた。この家の人?
あ、ドアホンのモニターがダイニングにあった。
モニターで、客を見た。
「何者かしら、こいつ。議員の家の人間には見えないよね」
「ハンチング帽に黒いサングラスにスカジャンって……。なんか、怪しい奴ね」
「薫さん、開けて見て。わたし、横に隠れるから」
「ハイハ〜イ。どちら様ですか?」
わたしが玄関に行く前に、薫がドアホンで。
「あ、あの宅配です」
「あなた、丸見えですよ。あきらかに宅配人じゃないですよねぇ」
「あ、カメラが……そうです。すみません。実は人を捜してまして。近所の方が、この家に入ったのを見たと言うので……」
明らかに女の低音だ。
この家に入ったって、わたしらか、ダバとあの女のコだ。
「あれ、この女」
モニターに映る人物はあっちこっちあたりを気にしていて、いろんな角度で顔が見れた。
「愛さん、知ってる人ですか?」
わたしは玄関に行きドアを開けた。
「あら、獄門島ちゃん。なんでココに?」
「ソレは、こっちが聞きたいわ。八ツ墓村さん」
つづく




