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キスの真相

198話 キスの真相


 夕方から、二度目の外出。いつものトートバッグだ。


「ナニか、買い物の忘れ物かしら?」


 いや、今度はそのまま駅に。

 乗ったのは、まえのカオルのマンションとは逆方面。


 三十分程して着いた駅を降りた。


 徒歩十分程の場所にあるマンションに来た。


 十階は、ある大きなマンションだ。

 カオルのアパート・マンションとは違う。

 中には入れない。


「薫、二度目だけど……」

「そうですね……。でも、あれから一週間もたってないで同じ人間が前に現れたら……」


「あの短時間だよ、薄暗かったし憶えてないよ。ファッションも違うし大丈夫よ……多分」


 そう願いたい。


 寒い中、マンションの出入り口が見える場所で二時間ほど待つ。


「カオルぅ。寒いから、角を曲がったトコにコンビニあったからナニか温かい物買ってくるから見張ってて」


 と、わたしはコンビニでコーヒーと肉まんを買って戻ってみると。


 カオルと今戸優がマンションの前で向き合っていた。


 どうしようか。出ていくわけには。


「愛さーん!」


 カオルがわたしを呼んだ。


「尾行、バレてました」


 なんだって。

 わたしは二人のトコへ行くと。


「事務所の人かと思ったけど、確認したら尾行はしてないと。あなたたちは……」


「わたしたちは谷川さんに頼まれちゃてぇ〜。尾行してました」


 とりあえずバレたときは会社の名は出さず依頼人の名を。時と場合によるけど。

 って、カオルには後で言った。


「谷川さんが……。やはり気づいてたのね」


「谷川のお兄さんがぁ、尾行してドコへ行ってるか探ってこいとぉ……お小遣いもらってぇ……。わたしらお兄さんのぉ〜親戚の人間でぇ」


 少し頭悪そうな言葉づかいを。


「そう……。バイトの内容は言わないけど、やましいことはしてないと谷川さんへ」


 と、今戸優は駅の方へ足早に去って行った。


「愛さん、話せたから女の頭の中じっくり見ました」

「そう。で、女は中で何を?」


「ソレが……また、男は裸で」


 カオルが赤くなった。


「やっぱり浮気してたのね」

「そうじゃなくて、女はムチでたたいたり、赤いろうそくをたらしたり、ソレに恥ずかしくて言えないことを沢山してます……。アレはSFですか」


「カオル、ソレはSMじゃないかしら。SFは、サイエンス・フィクションとか、スペース・ファンタジーよ。あんたの話だとサドマゾの方ね。今戸はSMの女王様のバイトしてたんじゃない」


「あの女、やましいことはしてないと……。とってもやましいですよね」


 十代のカオルには刺激が強かったようね。よっぽどスゴいものを見たのね、あんなコトやこんなコトを。


「やましいかどうかは依頼人が決めることだからカオル。ご苦労さま。社長に言って報酬は出すよう言っとくわ」

「あたしは愛さんのために……。だから、報酬はいりまさん。そのかわり、テマリにしたようにキスを……」


「テマリとキス。誰に聞いたの、そんなコト。キスなんてしてないわよ」

「テマリさんが……見ました、あたし」


「アレはキスじゃないの……わたしの記憶見えるのよね? まだ、消えてないと思うから。テマリが、口で」


「愛さんが、モニターから! さ、」

「サダコじゃないわよ……」


「あ、でもやっぱり唇と唇が……愛さん、あたしも」

「こら、やめなさいカオルッ! コーヒー持ってるんだからぁこぼれるよ」



 三日後の夕方、帰ろうとしたとき。


「獄門島さん。社長が」


 と、蔵中さんのトコに社内電話が入り。

 社長室へ。


「そんなコトに……」


 例の仕事の結末だが。

 依頼人の谷川という男は、M男だった。


 調査の結果に大喜びで。今戸優との関係がより深まったそうだ。


 谷川もM男というのを隠して付き合っていたらしく今はお互いオープンに付き合ってると。

 今戸もバイトはやめたそうだ。


 調査はいい方に転がったというコトに。


 そのあと、カオルのコトを考えた。

 あの子、けっこうまえの記憶とか見えるのよね。もしかして、もっと前から今戸がSなコトをしてたのを知ってたんじゃ。


 今、考えると男の裸の記憶しか見えなかったのは、おかしい。


『彼女のバイト』の巻 おわり


               つづく

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