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尾行2

196話 尾行2


 一週間に5日のバイト。

 こないだは、カオルのマンションの部屋へ。でも、そこへはひと月にニ、三度現れると。なら、他の日はドコにバイト? 


 今戸優の家を張り込む。


「愛さん、」


 振り向くと星柄の白い長袖のニットワンピ。黒のスウェットパンツに白のスニーカー。赤いキャップ。黒いサングラス。

 一見地味に見えたのはカオルだからだ。


「愛さん、おともします」


「ナニ、そのカッコ? ロリータじゃないのね。初めて見た。薫のその姿、アレ髪切った?」


「ロリータのときはウィッグです。なんでも合うようにショートなんです……ホントは。思ったより冷えますね。風が冷たい」


 と、リュックから赤いブルゾンを出して着た。


 八ツ墓村コーデの金田一よりはマシだけど。


「その赤いブルゾンと黒いサングラスは、目立つわよ」


 薫はサングラスをとってキャップにかけた。

 なんだか、赤いのキャップがよけいに目立った。


 目のメイクは、ロリータのままでパッチリでまつ毛長い。

 あ、でもまつ毛は自毛と言ってたな。

 やっぱり美少女だから何着ても目立つのよねカオルは。


 二人で電柱の影は目立つ。


「カオルは、向こうの塀のトコに」


「ヘイヘイ」


 シャレのつもりかしら? でも彼女らしくない。


 あ、出てきた今戸優。

 って、自転車!


 反則よ。


 今日は自転車に乗り、駅とは反対の方向へ。


 まいったな、走って追いかけるわけには。

 目立つし。


「愛さん、乗って」

「その自転車は?」

「塀の家の人に借りたの、早く!」


 荷台には、子供用の椅子が……お尻が大きくないからかろうじて座れたけど、


「二人乗りは不味くない?」

「気にしない、気にしない! 仕事だから」


 意外と体力があるカオル。

 でも、二人乗りで追って目立たない?


 今日の出で立ちといい、テマリ以上に不思議ちゃんだわカオル。


 住宅街をぬけて畑地帯。人気が少ないけど、かえって目立たないか、わたしたち。


 今度は一軒家に。


 あの人形の家のおっさんを思い出す。

 けど、女性だし人形は、ないだろう。


 家を通り過ぎて自転車を置き、家に近づいた。


 家の雨戸は閉まってる。

 女は、インターフォンを押して入ってる。中に人が入るのだろう。

 

 あの清楚な今戸が複数の男と浮気かしら。

 まあ人は見た目じゃわからない。 


「ねえカオル、中で何してるのか見えない?」

「愛さん、私はエスパーじゃありませんから透視は出来ません」


「出来ると思ったのに……」

「出来ません」


「中の音は聞こえない?」

「ん〜あ……。階段上がってません?」


 これは、ラブドールのパターンか?

 二階を覗かないとわからない。


「ねえ二階に登れる?」

「無理です……」


 この家、ほぼ畑地帯の真ん中で塀も何もない。今、こうして人の家の縁台で雨戸にはりついてるのも目立つし見られたらヤバい。


 二階に登ってたら、通報されかねない。


「あの愛さん、良い方法が……」

「なに?」

「彼女の家に戻って帰りを待ちましょう」

「それで?」

「あたしが、何気なく彼女に接触して記憶を見ます」


 その手が。やはり、カオルはウチの会社に欲しい。と、いうか相棒に。

 金田一や八ツ墓村さんよりは役に立つし。

 社長が会うたびにくどくのは、わかる。


 今戸家に戻り、隣の家に自転車を返して今戸優の家近くで帰りを待つと、夕暮れに自転車に乗り帰ってきた。


「今よ」

「えっ!」


「あぶない!」


「ふうっ……ひかれるとこだったわ」


「大丈夫……薄暗くなってきたから……」

「あっこっちこそ、よそ見していたから……ごめんなさい」

「なに、わたしの顔にナニか付いてます?」

「あの……磯野さん?」

「いえ、違いますけど」

「そうですか、知りあいの方に似てたものだから」


「それじゃ、気をつけてね」


 と、今戸は自転車を降りて家へ。


「おかえり、何処に行ってたの?」


「友達のトコよ。夕飯のしたくするわね」


「もう僕が、おでん買ってきた」



 カオルは電柱の横に居るわたしの所に。


「見えた?」

「ええ、ソレが……目かくしされた中年の裸の男が」

「また、裸の男」


               つづく

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