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場違いな依頼

15話 場違いな依頼


「こんな事を探偵さんにお願いするのは変なんですけど……」


「何でも頼んで下さい。ウチは奥様方の味方ですから」


 朝一番の客は高そうな装飾品を身に付けた金持ちそうな品の良さそうな中年の女性三人組。


「最近丁内にとある議員の人が越して来まして。この頃、深夜にその家へ人が沢山集まるのです」


「深夜に。それで騒音でも?」


「それは……。ないです。はじめはナニかの団体かと、でも深夜はへんですよね。目撃した人の話ではぞろぞろと家に入るわりに皆静かで。それは、それで薄気味悪いのですが……。あの、コレは最近集めた、この家の印象なんですけど」


 と、一枚の紙を社長に手渡した。


「家の印象ね……家の周りに白いもやみたいのが、かかっているのが見える18人。ぼーっとした人が立ってるのを見たことがある5人。何やら白い物体が家の周りを飛んでいるのを見た3人。お化け屋敷の感想みたいですね」 


「今では、夜はその家の前を通らないと、いう人も多くて」


「社長、ソレはホント。ウチの仕事じゃないですね」


「はあ、実はココに来る前に心霊関係の事務所に2、3お願いしたのですが……手におえなくなり」


「専門家が、お手上げの事件をなんで探偵社に? おばさんたち、おかしいわよ」

「八ツ墓くん、お客様に失礼だよ。で、何処でココを?」


「この方が」


 と、リーダーかくのおばさんが名刺をだして。


「この『土門心霊研究所』の方がココへ言ってみなさいと」


「土門くんかぁ……」

「社長。知り合い?」

「まあ古い友人だよ。最近よくテレビとかにも出てるだろ知らない? 土門健(どもんたける)

「どもん……たけるねぇ。聞いたコトあるかも。でも、知らない」



 出勤するなり、社長室に呼ばれた。

 オフィスの田守くんの前を通ると。


「獄門島さん、おはようございます。今日の朝食はゆで卵一個ですか? 朝はちゃんと食べた方がいいですよ」


 当たり。

 昨日の夜、ゆでた二つの残りを朝に食べた。

 そんなコト当てたから、なんなの田守くん。

 わたしに朝ご飯をしっかりとれというの。

 食べてるけどな。

 たまたま今日はゆで卵一個だっただけよ。


 社長室の前に来ると。


「もう、朝から。スゴイのね。あっ、そこ、イイ」


 相変わらずね。

 防音室にでもしたらいいのに。


 わたしは、ノックして。


「獄門島です!」


 すぐには返事もなく。

 少ししてドアが開いた。


「いや、悪いね。獄門島ちゃん。コレ、今回の仕事の資料ね」


 と、いつもの封筒に入ったファイルを受取った。


「社長……ズボン履いて下さい」


 社長は、あわててドアを締めた。

 ボクサーブリーフ派か、社長は。


 自分のデスクに着きファイルを見た。


「なにコレ?」



 調査と書かれた家を見に背田谷の住宅街に行けと。

 背田谷ねぇ。わたしにはあまり縁のないとこだ。


 電車で向かう。

 学生たちが大勢乗ってきた。なんだろう下校時間にはまだ早い。

 学生で、なくなると学校行事にも、うとくなる。

 試験シーズン?


「栞、見たよ昨日の『ナンでもギロン!』栞のお父さんでしょ土門健って。本では写真見たけどテレビ映りの方がイイわね。あたし好みのオジ様よ」

「やめてよ、あんなケチケチオヤジ。あんた趣味悪いわねぇ」

「そうかなぁ。『あんたが見てないだけで霊は存在する!』って、あのおカタいナンタラとかいう大学教授にくってかかるとこ何回も再生しちゃた」

「あんた、あんな番組録画して見たの」

「栞は、お父さんが出たのに録画しなかったの?」

「あんなバカオヤジの顔なんて見慣れてるんだからわざわざ録画なんかしないわよ。あのね、ミドリ。霊とか存在しないの」

「そうなの、でもお父さんが」


 ああ、あの番組わたしも録画したわ。まだ見てないけど。


 目的地に着いた。


 さっき話をしてた高校生のふたりも降りた。


「あ、愛さんだ」


 向かいの車輌から日傘をさして降りて来たのは。


「あんた、電車の中でも日傘さしてるの乗客の迷惑よ」


「ガラガラだから大丈夫よ」


 改札を出ると行く方向が、一緒なのか同じ道を行く。


「愛さん、何処へ行くの?」

「ちょっとね、仕事」


 わたしはスマホにメモった目的地の住所を確認して、電柱の現在地を見た。

 このあたりだ。

 どこかな。


「うわぁナニアレ」


「どうしたの薫さん?」


「あの家、変」


 あの家とは、わたしが目指してた家だった。


「なに、どうしたの何が変なの?」


「家の周りに沢山の魂の群れが……」


               つづく

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