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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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とあるパーティーにて恋に落ちた私は婚約者がいるため身動きできず困っていたのですが……?

 とあるパーティーにて、私は恋に落ちた。


 恋の幕開けはいつだって唐突だ。

 けれどもそれは圧倒的なもの。

 一度落ちてしまえばもう戻れない、一度芽生えた感情は決して消えはしない――それが恋というものである。


 グリッセンド、彼に惚れた私だが、問題があった。それは、私に婚約者がいたことだ。エールという名の人物なのだが、婚約者がいるため、惚れた相手であるグリッセンドのところへ行くことはできない。私には恋の流れに乗ることが許される道などなかったのだ。


 ――だがその数日後奇跡が起きた。


「お前との婚約だが、破棄とすることにした」


 エールがそんなことを言ってきたのである。


 彼のことは元よりあまり好きではなかった。なぜって、たびたび高圧的な態度を取ってくる人だからである。一緒にいてもあまり楽しくない。


「俺はお前よりずっと愛おしいと思える人と巡り会ったんだ。だからお前との関係はここでおしまいにする。これは決定事項だ。だからお前に何を言われようとも変える気はない」


 もしかしてこれはチャンス!? なんて思いつつ、話を聞く。


「そうですか」

「ん? 何だか嬉しげだな」

「そうでしょうか……」

「まぁいい。分かってもらえるのであればそれが一番ありがたい。話が早いに越したことはないからな」


 こうして私は婚約破棄された。


 しかしそれはある意味幸運であった。

 なんせこれで自由になれるのだ。


「じゃ、永遠にばいばい」

「今までありがとうございました。……さようなら」


 その後私はグリッセンドのところへ行って想いを伝えた。すると意外にも彼も私に興味を持ってくれていたようで。私とグリッセンドの関係はそこから一気に進展、婚約、そして結婚にまであっとう間に進んだ。


 欲していたものは驚きの早さで手に入れることができた。



 ◆



 あれから二年ほどが経ったけれど。


「グリッセンド! これ、貰ったの。一緒に食べましょう?」

「ああそうだね、いいよ、食べよう」


 私たちは今もとても仲良しでいられている。


「甘いもの、嫌いじゃない?」

「そこそこ好きだよ」

「良かった」

「でもいいの? 君が貰った物なのに。僕も食べて大丈夫?」

「ええ、だって美味しいものほど大事な人と一緒に楽しみたいもの。あ、じゃあお茶淹れてくるわね」


 夫婦になったところがゴールではない。むしろそこはスタート地点。そこから二人で行く人生が始まるのだ。


 今のところ、すべて順調。


 彼と過ごす日々はとても楽しい。

 優しい空気に包まれて生きていられるという幸福を強く感じられる。


 そういえば。

 私を急に捨てたエールだが、結婚したいと思っていた女性とは結婚できなかったようだ。

 何でもいざその話になると向こうの親に反対されてしまったそうで。

 二人で必死に説明するも許しはもらえず、結局、二人は離れる道を選ぶしかないということとなってしまったのだそうだ。


 その後エールは体調を崩し、もうずっと実家に引きこもっている状態だそう。


 彼にはもう、健全な未来はないだろう。



◆終わり◆

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