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さくっと読める? 異世界恋愛系短編集 3 (2023.1~12)  作者: 四季


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可憐な容姿の持ち主である妹から執拗な虐めを受けていたのですが……意外な一つの出会いからすべてが前向きに動き始めました!

 可憐な容姿の持ち主である妹から執拗な虐めを受けていた私は、ずっと、こんな世界で生きていくくらいなら死んだ方がましだと思っていた。


 だってどうせ日常に光はないから。

 かといって何者かに助けだしてもらえるわけでもないし。


 ただ普通に生きているだけで、息をしているだけで、私の心はどんどん傷つけられてゆく。


 気に入ったドレスを手に入れれば裂かれ。

 婚約者ができれば陰で嘘を吹き込まれて捨てられるよう仕向けられ。


 そんな風な人生を歩み続けるのはもうこれ以上は嫌。


 だからもうさっさと死んで消えてなくなってしまいたい――そう思っていた、のに。


「実は、ずっと前から気になっていたんです」


 ある日突然私の目の前に現れた太陽のような人は。


「好きです! どうか、付き合ってください!」


 急にそんなことを言ってきて。


「え、えと、その……私、で良いのですか? 本当に……私で?」

「貴女のことが好きなんです!」

「でも私地味ですよ」

「地味!? そんな! とてもお美しいではないですか!!」


 彼はエリーゼットと名乗った。


「では、よろしくお願いします」

「良かった……! 本当に、本当にっ……嬉しいですありがとうございます! よろしくお願いします!」


 私は差し出されている彼の手を取ることにした。


 ――期待なんてしないけれど。



 ◆



 あれから色々あった。


 知り合ってからしばらく一緒にいろんなことをして、私とエリーゼットはやがて婚約するにまで至った。


 けれどもその頃から妹による妨害行動が始まった。

 彼女はやはり私が幸せになることを許してはくれなかったのだ。


 妹はたびたびこっそりとエリーゼットに近づいては私の悪口を言ったり自分と親しい関係になるよう迫ったりしていたようだ。ただ、こちらが前もってエリーゼットに妹のことを伝えていたため、エリーゼットが誘惑やら何やらに流されることはなかった。むしろエリーゼットは凛として都度妹を追い払ってくれていた。


 そしてついに、私たちは夫婦となる。


「お姉さまが結婚だなんて。でもどーせ、ろくでもないことにしかなりませんわよ。泣いて帰ってきても手遅れですわ。ま、せいぜい苦しんで生活なさって? うふふ、痛い目に遭いなさい」


 実家を出る日、妹はそんな負け惜しみを言ってきた。


 でもその時の私の胸の内は晴れわたっていた。


 怖いもの? そんなもの、存在するはずがない。だって今は希望を見つめられている、だから大丈夫。未来への不安? それはぜろということはないだろう、誰しもそうだ。でも今はその不安よりもずっと大きい希望が、私の目の前に広がっている。強い光、希望の前では、日々の些細な不安などくすんでしまう。



 ◆



 あれから数年、私とエリーゼットの間には第一子も誕生し、今は家族三人で仲良く暮らしている。


 エリーゼットは家のことにも協力的な人だ。

 なので家事育児に関しても孤独感を覚えることなく取り組めている。


「洗っておいたよ、タオル」

「え! 本当!? 助かったわ、ありがとう」

「手分けしてやっていけば大丈夫だよ、きっと順調に進むから」

「いつも本当にありがとう!」


 世の旦那たちはわりと家のことはしないものだと聞いている。

 でもエリーゼットはそうじゃない。

 エリーゼットは自ら文句も言わずに力を貸してくれる柔軟で広い心の持ち主だ。


 そんな素晴らしい人と巡り会えた運命に感謝しなくては。


 エリーゼットありがとう、私に生きる希望を与えてくれて。


 日々そう言っている。

 そしてそれは決して大袈裟な言葉ではない。


 発する言葉、特にこの言葉に関しては、心の底からのものなのだ。


 ――ちなみに。


 妹はというと、あの後セレブ系男性と結婚したそうだが、今は成金男にこき使われる日々だそうだ。


 金はあるが、人間性はあまり良くない。


 妹の夫となった彼はどうやらそういう人だったようだ。


 でもそれで良かったのかもしれない。そういう者同士くっつけば。性格が良くない者二人で夫婦になれば。似た者同士であれこれしてみれば、きっと、妹だって人間性を欠いている者の相手をしなくてはならない日々の苦しみに少しくらいは気づくだろう。


 それで病もうがどうなろうが知ったこっちゃない。


 ずっと私を傷つけてきた妹だ、どんな目に遭ったとしても自業自得である。



◆終わり◆

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