婚約者である王子と親しい元侍女の女は罪をでっちあげて私を終わらせようとしてきましたが――意外な人が護ってくれました!?
元侍女で王子フィーガスと男女として親しい関係に発展していた女性アルフィエラは悪女であった。
彼女は自分にとって不愉快な存在を消すことに関して容赦は一切しない。相手が誰であろうとも消したければ消す、それが彼女の生き方であり美学。まさに悪女として生まれ悪女として生きているような女だ。彼女の中には、己が邪魔者と感じる者への最低限の敬意や情けなどは一切ないのである。
そんな彼女の牙は、フィーガスの婚約者であった私へも向けられた。
彼女はある時フィーガスの妹である王女が使っている器に毒を盛った――そしてそれを私がやったかのように仕立て上げたのだ。
「最低だな貴様! 婚約は破棄だ!」
怒ったフィーガスは私との婚約を破棄した。
「待ってください、私は何もしていません!」
「うるさい黙れ!!」
「え――」
「貴様の主張など聞くわけがないだろう! 人殺しの言葉など! 貴様は我が妹を殺そうとしたのだぞ!?」
フィーガスはアルフィエラの話を完全に信じきってしまっていて。
「城から出ていけ! また、罰として、北の収容所へ送る!」
真実など聞く気は一切ないようであった。
こうしてアルフィエラの嘘により強制的に罪人にされてしまった私は北の地獄へ送られかけたのだが――それを止めてくれる者が現れる――それは、驚いたことに、殺されかけた張本人であるフィーガスの妹、王女その人であった。
「お兄様、恐らくですが、アルフィエラの言葉は嘘です」
「はぁ!? 何を言い出すんだ!? 毒にやられたか、あるいは、金でも積まれたか……」
「いいえ! 違います! 私は聞いたのです、アルフィエラがこの作戦を立てているところを」
王女はすべてを知っていた。
「馬鹿な! お前はあの悪女の味方をするのか! 殺されかけたのに!?」
「お兄様、いい加減、あの女を妄信するのはおやめください。本当にまっとうに生きているのは誰なのか、そこを考えるべきです」
「アルフィエラが正しい!!」
「……洗脳でもされているのですか?」
「それはお前のほうだろう!」
「冷静に考えてくださいお兄様、貴方の婚約者である彼女が私を殺す理由などないではないですか」
王女は私の名誉のためにフィーガスにあれこれ言ってくれたけれど、それでもフィーガスはアルフィエラのことだけを信じていた。
そうか結局妹さえもどうでもいい存在なのか。
彼は、私の言葉だけでなく、実妹の言葉すら聞かないのか。
「うるさい黙れ! 黙れ! くそ妹め! アルフィエラの名誉を穢すな!」
真実に目を向けようとしない兄に腹を立てた王女はそこから動き出す。彼女は私を一旦保護し、アルフィエラの悪行を世に出すべく調査を開始した。そしてその調査の結果、王女暗殺未遂に使われた毒物と同じ毒物をアルフィエラが秘密裏に取引していたデータがあがってきて。
それにより、アルフィエラの悪行が明るみに出ることとなった。
アルフィエラは拘束され、北の収容所へと送られる。そしてそこで強制労働させられることとなった。早朝から夜遅くまで働かされ、また、食事は腐りかけの固いパンしか与えられない――アルフィエラはそんな生活を強いられることとなった。
また、嘘を信じ込んでしまい負の意味で派手な行動をとってしまっていたフィーガスは、王子の位を返還させられることとなる。
そこには王女の意向があり、また、冤罪事件に対して激怒していた父である国王の意思も含まれていた。
こうして、一度偽りの主張によって私の名誉を傷つけた二人は身を亡ぼすこととなったのであった。
その後私は王女より様々な形で支援を受け、経済的余裕を得られたし、良き縁を得ることもでき結婚もできた。
また、色々あった中で王女としたしくなっていたこともあり、彼女との関わりは冤罪事件解決後も続いていくこととなった。
王女はとても良い人。
高貴だけれど変な飾り気はない、貴さを体現したような女性。
それでも気さくに話してくれるので、一緒にいるととても楽しい。
◆終わり◆




