南極
何故こんなに寒い思いをしなくてはならないんだ。
足先は冷えて、手の指の感覚も太くなったような感覚が続いている。
一寸先が見えない程の吹雪で、クレバスに落ちないように、足元を確認しながらの走行も大変だ。
せっかくの犬ゾリも役にたたない。
犬ゾリを引いているのは、ブラックとダークだ。
あいつらも吹雪の中に入ってから、一言も話して来ない。
それに俺の炎の障壁が無ければ、絶対に凍死していたはずだ。
なんでも南極の異変は、1週間前からだと聞いている。
温度が急激に変わることが、始めに報告されていた。
そして南極に棲むアザラシやペンギンを見かけ無くなっていた。
それなのに、何処からか獣の鳴き声が聞こえてくるらしい。
それはものさびしい声だと、聞いた者は必ず証言していた。
そして3日前から、南極の基地からの連絡が途絶えた。
1つの基地なら故障だと考えられるが、全ての基地の通信が途絶えた。
まさに異常事態だ。
そして、向かっている先は、ドームふじ基地だ。
そこで事情を聞いてから、事を起こす予定だった。
その予定が、始めから崩れてしまった。
今の時期は、夏季だと聞いたのに、来て1日目でこんな目にあっている。
もう吹雪になって2日目だ。
腕時計は、すでに21時を過ぎている。
白夜だとうっかり忘れていた。
「ブラックとダーク、もうここで寝るぞ。こっちに来い」
『主、魔石に戻してくれ』
『そうだ、戻してほしい。お願いだ』
「俺1人で寝ろと言うのか? この薄情者が」
『それなら、ドラ丸を召喚すればいい。奴はドラゴンだけに熱い奴だから・・・』
「成る程な、それはいい考えだ」
魔石を取り出して、召喚!
『なんか涼しいな・・・あ!主殿、なにかあり申したかな・・・』
「今から寝るから、見張り番をしてくれ」
『分かり申した』
そう言うと翼を広げて包み込んでくれた。
あ、なんだか温かい。
『ああ、気持ちいい温かさだ』
『これなら寝るのも苦にならないぞ』
こいつらは現金な奴らだ。
俺もなんだか眠たくなってきた・・・・・・
目覚めると、吹雪が嘘のようにやんでいる。
『主殿お目覚めかな、あっちの方から不穏な気配がします』
「案内できるか?」
『もちろん』
「ブラックとダーク!おきろ、出発するぞ」
『魔石をもう1つください』
「ブラック!なに寝ぼけてるんだ。おきろ」
俺たちは、ドラ丸の背に乗って飛び立った。
高い位置で、ようやく俺ら進んだ距離が見えた。
チェ!あまりにも進んでいない。あの苦労はなんなんだ。
ああ、アプリの表示だと南極点に向かっている。
なんだか探検家になった気分だ。
『あれです』
え!なんと、1つの胴体に頭が8つも生えたヒドラタイプがいた。
頭が8つ・・・それなら、ヤマタノオロチにそっくりだ。
どうも奴もこっちに気付いた。
「ドラ丸、後は任せた」
そう言って、俺らは飛び降りた。
風魔法を使ってゆっくりと降下。
ブラックとダークは慣れているので、すでに氷の上に着地していた。
ドラ丸がヤマタノオロチにおおい被さった。
近距離からブレスを仕掛けた。
なんと一息で4つの頭を燃やし尽くした。
そのまま残りの頭に向いて燃やし尽くした。
なんとドラ丸は強い奴だ。ヤマタノオロチが弱くみえてしまう。
『なんだ、もう終わったのか・・・つまらん』
『参加も出来なかったぞ。けしからん』
もうこいつらは、勝手な事を言っている。
「せっかくだから、南極点はどこだ。こっちか・・・ばんざーい、ばんざーい、南極点だーー」
なにやらしらけた目で見ている奴がいる。
「お前らには、分からないんだ。この感動が」
『全然分かりません』
口にださなくていいのに・・・
とりあえず、今回の任務は終わった。
『主殿、魔石です』
「ドラ丸、凄い活躍だったぞ。今後も頼むぞ」
なんだか感動したように、仰ぎ見ている。
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