閑話 M4K1ハウィック 回想聖勇者の世界1
〈10年前某所〉
「はぁーーーまたダメだったかー面接。絶対あの反応は笑われたぞ」
俺は街中を歩きながらそうぼやいた。その時はバイトの面接の帰りだった。
「しっかしなんで親もこんな名前にしたんだろうな」
といつもの恨み言をつぶやきながら、電車に揺られていった。周囲を見るとサラリーマンにOL、子連れの親などがいたけど座れる程度には空いていた。
席に座りしばらく揺られていると、眠たくなってきた。しばらくの間眠気と格闘していたがついに抗いきれなくなって眠ったんだよ。
「---------」
うるさいなあさっきの子供が騒いでるのか?
「ーいーきーーーーー」
んなんだ?冷たい?
「おい!おきろ、不届きものめ!」
という音ともにガツッ!!と衝撃が響いて頭を何か硬いもので殴られたと知り、片目を開けると石畳だった。
そのまま両目を開こうとしたときに、何かぬるっとしたものが伝う感触があった。手を這わせると手が真っ赤に染まっていた。ああ、さっき殴られたのか血が出たんだな。と自分の状態を確認していると
「おい!貴様!立てといっているさっさと立て!」
と槍を持った男がグイッと腕を引いてきた。俺はフラフラになりながらも立ち上がり、小突かれるので、歩いていくと、血がぽたぽたと垂れていった。
俺は傷口を手で押さえて歩き、小さい扉に着いた。そして横にいた兵士が扉を開けるとそこは何もない武骨な部屋があり、中には電車の中で見た幾人かと金髪のきれいな女性が微笑んで立っていた。
俺は兵士にやりの石突で、思いっきりどつかれてたたらを踏んで前のめりで倒れました。兵士はそれを見てニヤニヤした顔を隠そうともせずに俺を罵倒して部屋の扉を閉めて出ていった。
俺が血を流している頭を押さえていると金髪の女性が慌てて歩いてきて、
「大丈夫ですか?ひどいことをしますわね。ちょっと待っててくださいね。痛いの痛いの飛んでいけー。はい、これで大丈夫ですよ」
と子供をあやすように俺の傷口を撫でてそうつぶやくと、俺の頭の傷がきれい消えました。
「これは?」
と俺が不思議そうに眺めると女性は口元に人差し指をあてて、シーっと内緒にしてというポーズをとります。この女性が現在ここにいる伊澄日向先輩です。
とりあえず俺もここにいる全員が事情が分からず周囲をきょろきょろとしていると、扉が開き、中に兵士がたくさん入ってきた。
「全員!こっちにこい!こなれば痛い目を見させるぞ!我々は子供でも容赦せんぞ!」
といってたので全員が怯えていましたが、熱血教師みたいなやつが、急にリーダーシップを取り出した。
「みんな!ここは一度この人たちに従おう!ここがどこかなぜこんなことをしたのか!知るがある必要がある!!」
と背中から炎でも燃え盛ってそうなくらい熱くなっていた。
そして一人また一人と扉を出ていった。俺の出ていくことにした。そして扉を出た時に兵士の一人が俺を見て目を丸くしていた。どうやらさっき俺をどついた兵士のようです。
「あの。もしかして先程あなたを殴った兵士ですの?」
といって金髪の女性が耳打ちをしてきた。お俺は多分そうかと思うというと、しばらく考え込んで、
「もしかしてさっきの部屋に着くまでの間血が垂れてました?」
「え?そうですけど。それがどうしたんでしょうか?」
「いえ、もしかしたらさっきわたくしたちが召喚された部屋に行けるかなと思いましてですね」
「おれ、一度通った道は完全に覚えるので、目隠しされたとしても元の部屋に戻れますよ」
というと金髪の女性が目を見開き私の両手を握り上目遣いで、
「よろしければ後で案内をしていただけませんでしょうか!」
と叫んだが、歩みを止めてしまったので、兵士がつかつかとやってきて、また殴って言うことを聞かせようとしてきたが、その瞬間に不自然に槍の軌道が逸れた。まるでそこに丸い壁があるかのように。
「あら?おいたはいけませんわね」
とふわっと笑っていたが逆にそれが不気味だった。
「ですが今は従いましょうか。では行きましょうか?聖勇者くん」
え?俺自分の名前言ったっけ?と思いながらも俺は女性の跡について走っていく。
〈現在、ハウィックにて〉
「まあこれが俺と伊澄先輩の初めての出会いだったってわけ」
「懐かしいですわね。ですがわたくしもまだまだ未熟でしたわ。あんなふうにばらしかけるなんて」
コロコロと笑う先輩。苦笑いをする俺。後輩ふたりは興味津々に見ていると、
「あら?懐かしい話をしていますね。勇君私も混ぜてくれないかしら?」
とヒヤッとした声に後ろを見ると、目には疲労がたまってる清水さんがいた。
「おーお疲れ様です。清水さん、大丈夫ですか?」
「うんちょっとね、もう疲れたわよ。見かねた社長が休んで来いっていってここに押し込められたの」
という声と共に、すぐに動いた歌君が椅子と紅茶とクッキーを淹れた。早っ!
「清水先輩どうぞ、紅茶とクッキーです。疲れが取れますよ」
というと清水さんは倒れるように椅子に座り、紅茶を飲み、すさんだ心を癒すかのようにクッキーを食べて幸せそうな表情をしていた。
しばらくして落ち着いた様子の清水さんが俺たちを見て、
「それで、今は何の話をしていたのかしら?」
「いま俺が召喚された世界での話をしてたんだよ」
「ああ、プゼルンのことね。じゃあ私も話に参加しようかしら?」
「今は王都の謁見の前段階の話だよ」
「あーあれね。全くあの時はびっくりしたわよ。扉が開いたかと思ったら制服を着た君が倒れてきて頭から血を流しているんだから」
と笑っていた。
「じゃあ話を再開しようか?」
〈再び十年前プゼルン〉
俺と金髪の女性が小走りで前の人に追いつくと丁度大きい扉の前にみんなが止まっていた。そしてゴゴゴゴゴという音が響いて開いた。
俺たちは兵士たちに小突かれるまま、中に入るとまず感じられたのはおれたちを値踏みする視線と、軽蔑の視線と実験体を見つけたというちょっと身の危険を感じる視線があった。
俺たちはレッドカーペットを歩いていき、止まったところで前を見ると、そこには服に着られているという表現がぴったりの子供がいた。そしてその横には年老いたお爺さんがいて、その場違いすぎる少年に何かを耳打ちしていた。そして少年は、自信満々に。
「よくぞ来た。異世界から来た戦士たちよ。我々はそなたらを歓迎する!でいいのかな?」
「王よ、ここではそれは言わなくていいですぞ。それでは次は、、、」
あーこれ例に見るくらい完璧な傀儡だなー。
「じつはな、この国は今滅亡の危機に瀕しておる。え?本当なのか?『王よ!』ああ、そこで神の啓示に従いそなたらに来てもらった?でいいのか?ぜひその力を我が国のために存分に振るってほしい!どうどう!?」
うーんブレブレだな。お?熱血漢がなんか言ってるぞ?
「ほう!そうか!しかし我々は元の世界に帰していただけるのでしょうか」
意外に冷静だな。と思いながら話をつづけた。
「それに我々にはそのように世界を変える力などはないですが」
「ええ!?そうなのか?それはすまなかったな『王よ!次はこれを』ふむふむ。わかったぞ。安心しろ戦士たちよそなたらを元の世界に返すことは必ず我が約束しよう。それに能力は既にあるはずだ!ステータスオープンと唱えてみよ!」
といって半信半疑で唱えると空中に大きなウィンドウが出てきて、おそらくその熱血漢のものと思われるータスが表示されていた。
「ほう。そなたは『たいいくきょうし』とやらか。しかも武器や体術に対するスキルが高いの」
というとともに次々にステータスオープンと唱えだしたが、数人は違和感を覚えたようでしり込みしていた。俺もその一人だったが後ろから、金髪の女性がそっと
「オープンを唱える必要はありませんよ。あと改ざんした方がいいかもですわ」
というので俺は小さくステータスと唱えることに。
そうすると、言語理解と、器用貧乏、魔力操作マイナス、アイテムボックスとでていた。これはどうなんだろうか。というかやばい感じがする。
「んん?どうしたそこの男に女子!貴様らも自らのステータスを開示せよ」
としびれを切らしたので、どうしようかと考えていると、
「ちょっと失礼」
といって金髪の女性が軽く俺のステータスをいじってくれた。その結果、
伊藤正義 魔力使い、魔力操作補正、言語理解、空間魔法というステータスに変えてくれた。何でこの人はそんなことができるんだろうと考えながら怪しまれないように開示することにした。
「ん?魔力使い?なんだそれは?宰相分かるか?」
「いえいえ。わたしめには見当もつきません。ですのでむやみに追放させるのはいささか早計かと愚考します」
「よかったですわなね。これでこの城にいられますわ」
といいながら金髪の女性も開示し、あとはもう一人俺と同い年くらいの女性だった。
〈現在、ハウィックにて〉
「それでその女性は私ってわけね。ちなみにその時の私はかなり情緒不安定だったわねお恥ずかしい」
「確かにそうでしたわね。あの部屋に入ってきたとき一番取り乱していましたもの」
「ちょ!日向先輩!それはやめてくださいよ」
「へぇーそうだったんですか。それで清水先輩のステータスはどうだったんですか?」
「それはですねぇ、清水彩ちゃん?いっていいかしら?」
「いいですよ。もう昔のことですから」
「えっと確か『発狂戦士』でしたっけ?スキルは確か、、、」
という言葉に飲みかけていたお茶を吹き出す二人。
「あーっと、あ、思い出した。発狂強化と精神安定でしたっけ?」
というと顔を真っ赤にさせていた。
「そうでしたわね。しかも聖勇者さんの時よりざわめいていましたわね」
「そうそう(笑)確かそうでしたね」
「それでどうなったんですか?」
「幸いなことに外れといわれる人がいませんでしたので、全員城に滞在することが認められたのですわ」
ほぼ本編です。今回は閑話として出しましたが、次からは本編として出します。




