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株式会社エデン、異世界対策課  作者: 虎川 悟
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M0K5 地球侵略行為15 魔界10

 伊澄先輩の精神の中に入るとそこは真っ暗闇だった。歩いているとザリザリという足音がして私は下を見ると、そこにはガラスではない何かが大量にばらまかれていた。まるでガラスの天井を砕いたような凄惨さだ。

ガラスの破片を一つ拾ってみてみると私と伊澄さんが映っていた。


「ヒッ!こ、これは伊澄先輩の、記憶?もしかして、これすべて?」


と見渡しよく見るとすべての記憶には先輩の人生の記憶があった。

 私は先輩の記憶のかけらを踏まないように気を付けながら、歩いていくと小さな柱があった。柱もボロボロでいまにも折れかかっていた。

 こんなにひどいものは見たことがない。と私が起算差を見て呆然としていると、更にあり得ないものが出て来た。


『ほう。かような場所に来るものがいたとはな』


慌てて振り返ると先程牢屋の外で見た魔王が少し老けたような姿で佇んでいた。


「なぜここにあなたがいるの?ここには私の後輩が探知をごまかす仕掛けを施していたはず。まさかそれを解いたの!?」


「ふん!そんなもの簡単に解けるわい。といいたいところだがな、特別に答えてやるわい。簡単だ、最初からここにいただけのことじゃ」


と鼻を鳴らして馬鹿にしたような表情をしてこちらを見ていた。


「それで今一度問う。貴様はなぜここに来た。どうやってきた?」


「さあ?私に勝てたら教えてあげるかもしれないわ。だけどね、私がすることにはあなたは邪魔なのよ。だから排除させていただきます」


といってファイティングポーズをとり、構えているとその魔王(老)は高らかに笑って。


「フハハハハハ面白い冗談だ!しかしいいのか?ワシがここから消えるとこ奴の本体の女は死ぬぞ?」


「ええ、知っているわよ。だけどね私はそれでも彼女を助けないといけないの。それに私の仲間の力を馬鹿にしないで」


というと、


「面白い冗談だ。ではそれを証明して見せろ」


といいながら私に向かって巨大な火の柱や氷の柱、岩などを浮かべて私に向かって放ち、反応が消えました。

 私は避けようとしましたが、後ろに柱があることに気づいて慌てて腕をクロスし防御をする。

 次々に魔法が命中し、記憶のかけらが宙に浮かび周囲に散乱し、煙が広がった。煙が晴れるとそこにはさっきと全く同じ体勢で服に汚れが付いているくらいの被害しかありません。というか弱いなこいつ。

 魔王(老)はまともに受けた私を見て死んだと思い込みつまらないものを見たとばかりにすぐに興味を失なったような表情をしていた。

 煙が晴れると無傷の私がいたのを面喰らっているのを見てさらにこいつには戦闘経験がないことがわかり、私は地面を軽く蹴って魔王(老)に向かって回し蹴りをかましました。

 魔王は意識を失いかけましたが、地面すれすれで何とか体勢を整えて、私がいた場所を睨みつけましたが私は既にそこにはいない。

 私は地面に既にいて魔王(老)に向かってまた回し蹴りをかまし、空中に打ち上げる。これ以上先輩の記憶や精神を破壊させるわけにはいきません。ですので私は反撃の隙を与えることなく魔王(老)を始末することにした。

 回し蹴りに踵落とし、ラッシュを食わてボロ雑巾になった魔王(老)を見て、最後にとどめを刺そうと私は、足に魔力を集中させてある魔法を仕込み、魔王(老)に向かってライダーキックをして心臓の位置に向かって放つ。


「『メンタルキル』」


と唱えると魔王(老)の胸から体が崩壊していき、悲鳴を上げる間もなく跡形もなく消えてしまった。

 私はほかに魔法や仕掛けなどがないかどうか調べて、本当に何もないことを確認してから先輩の精神力と記憶の回復を開始する。

 私は懐から指揮棒を取り出して軽く振るうと柱の周囲の破片たちが移動していき精神の柱の周りに空間が開きました。

 次に踏まないように気を付けながら一つ一つの破片を見ながら分けていく。

 仕分けが完了するとパズルのように破片を一つずつつなぎ合わせて私の魔力を周囲に満ちる魔力に近づけて補強していく。ここの作業は針に糸を刺すようなというかそれだけ繊細な作業で補強し、記憶のパネルを完成させていく。

 ある程度パネルができた時に、精神力の柱の破片が見つかり、補強してパネルよりも繊細な作業で補強をしようとしていると不意に頭の中に声が響いてきた。


『彩ちゃん。彩ちゃん。良ければ私も手伝うわよ』


という声でした。絹代さんです。昔社長に聞いたのですが絹代さんは私と同じ精神の回復や回復に特化していて、聖女として召喚されたが、そこの国の王子に年寄りだと馬鹿にされて追放されたのだとか。それと時空魔法といって転移魔法にも造詣が深く、当然今回のようなことにも対応ができるらしいです。


『助かります。ですが気を付けてください彼女はかなり精神がボロボロで、記憶も失いかけています!』


『そうなのね。欠損していなければ私も手伝えるわよ。少し待っていて頂戴ね、今そっちに行くわ』


といって数分と立たずに杖を突いたお婆さんがやってきました。


「お待たせ。ああ、これはひどい状態ね。こんな状態は前に一度見たきりね。その時はひどい状態でねぇ。それで、私は何をすればいいのかしら?」


「そうですね、それでは私はこの記憶のパネルを組み立てます。絹代さんはそのパネルを元通りに天井に張り付けてください。順番はわかりますよね」


「ええ、大丈夫よわかったわ。任せてね。それと私は記憶の補修ができるの。だからそういうことがあれば任せてね」


といって絹代さんは自身の魔力を伊澄先輩と同じ魔力の波長にして、糸と針を取り出してパネルを吟味し始める。

 私はそちらを無視して伊澄先輩の記憶の修復作業を再開する。私と出会ったときの記憶に子供の時の記憶、ランドセルを背負った子供や、ブレザーを着てはしゃぐ姿。そして彼女が異世界に転移した姿、彼女が捕まった姿、凌辱されて心を閉ざす記憶、就活の練習をしている記憶、苦い記憶、甘い記憶、忘れたい過去、黒歴史、華々しい記憶、思い出したくない過去、トラウマ、楽しかった記憶、うれしかった思い出、悲しかった思い出、そのパネルには彼女の人生そのものだった。

 私はその記憶を必然的に見て自然と涙がこぼれてきて、泣き出してしまった。絹代さんはそんな私を優しく見つめて、背中をさすってくれた。


「うう、先輩、先輩。ううぇーーぁ」


とひとしきり泣いた後作業を再開する。まだ目は腫れていて充血しているのだろうか。頬には涙が伝ったと熱がまだ残っていた。

 

「ごめんなさい絹代さん。ご迷惑をおかけしました。私、これだけ壮絶なことは初めてで」


といって指揮棒を握りなおして作業を再開する。


「あなた、強いのね。それにとっても優しい、頑張りましょう」


といって作業を再開して記憶のパネルを組みなおす。

 絹代さんは私が組み立てた記憶を見て、補修するところを糸で補修し、柱を中心に円を描くようにパネルを天井に貼っていく。一歳の記憶、二歳の記憶に幼稚園の記憶、遠足の記憶、色々な初めの記憶、小学校の記憶、中学校の記憶、お友達と一緒に遊びに行く記憶などを張っていくとステンドグラスの天井みたいに輝き、中の絵が動き出します。


「はっ!!!あの絹代さん、この記憶はどうしましょう。この記憶、、、」


それは、魔王につかまっていろいろ拷問されていたり、強姦されている記憶でした。

 通常人間の記憶は忘れたい過去は灰色で、大切な思い出は明るく輝いていたりしていますが、その記憶はドロドロとした赤黒い記憶だった。


「どれかしら、、、うっ!!これはひどいわね。」


「この記憶って他の破片に混ぜられるように混ざっていたんです。修復に苦労するように。封印したい記憶というものですかね」


というなり絹代さんは深く考えてから顔を上げて、


「この記憶は消して真っ黒なパネルにしておきましょう。さすがにこの記憶をそのまま修復するのはかわいそうよ」


といって絹代さんは黒い布を取り出して私が集めたパネルに包んでしまいました。

 これで彼女はこの記憶を思い出すことも、悪夢として出てくることもないはずといってから、絹代さんは修復を再開します。

 私はいいのかなぁと考えながら、作業を再開しました。そして作業中、ある記憶が目に入りました。その記憶はおおよそ八年前の会話でした。その会話が耳に入り私はあの世界のことがわかりました。


「え!?これって、嘘でしょ?」


それはあの世界は神が見捨てた世界で、あの魔王は元は神で、一人で暴走して地に堕とされ、怨嗟で魔王と名乗り、あの世界を魔界と呼称することに至ったということだ。

 これでは勇君たちでは魔王を倒すことができない。そう思った私は絹代さんを呼び、その記憶を見せると、絹代さんは私に一言謝ってお年寄りとは思えないくらいの速度で走って伊澄さんの精神から出ていきました。恐らくはこの本社の中にいる神に会いに行ったんでしょう。

 私は修復作業を再開する。


〈綿貫 絹代〉

 

 私は彩ちゃんに見せてもらった記憶を見て本当に冷や汗が止まらなかったわ。何でかって?これからすることは”神殺し”になるのだからね。

 私は急いで社長室に向かい、隠し通路から神様がくつろいでいる場所に移動する。神様は息を切らせた私を見て目を丸くしていた。


「綿貫か、息を切らせてどうした?お前も人間では老齢なんだから無理したら私たちのところにポックリ逝くかもしれないじゃないか?」


「そ、んなことはーっ!いって、はひーー、いる場合じゃふーっ!ないわよ!あなたたちにとっても緊急事態よ!ぜーぜー」


「なに?どういうことだ?」


「えっとね、今伊澄さんの記憶と精神を回復させているところなのだけど、今回侵攻してきたやつら親玉の正体は元神よ!!!」


というと神々はカッと目を見開きちゃぶ台をバンと叩き立ち上がりました。


「それはまことか!?何か証明できるものはあるか?!」


「先程記憶を見てきたところです!あと、向こうの世界は神が見捨てた世界だとも記憶で言っていました」


「なるほどではその世界に案内してくれ」


「わかったわ。こっちよ」


といって私は神の空間から出ていく。神は小動物に変身し、私の肩に乗りました。

 私は転移魔法をを使い、森のゲートに転移した。そして、ゲートに近づくと、神はスーッとゲートの中に入っていきました。


「あれ?確か、綿貫絹代様でしたっけ?どうしたのでしょうか?」


とゲートのすぐ向こうには大きいきつねに乗った可愛らしい女の子がいた。月姫ちゃんだったかしら?


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