M5K0 アフロディア19
今日は彼らはお休みのようでしたので、俺達も休むことにしました。俺はゆっくりと街中を見て回り雑貨屋さんや青果店などを買って時間を潰しました。
歌君は町にある貸し工房の一つでお菓子作りをしていました。実はこの世界には貸し工房というものがあり、そこでは料理や鍛冶、裁縫、木工などを自宅ではできなく工房も持っていない人が時間で使える施設で、まあまあお金がかかりますが便利です。
歌君はそこで俺が渡した果物を使ってお菓子を作っていました。どうやら精霊獣たちに食べてもらうお菓子を作ろうとしています。今回俺が渡したのはニンジンやリンゴに柑橘、イチゴなど。俺の持っているピュアランドの作物には麦やコメなどの主食などはありませんので、そこは町でそろえたものです。
〈歌海綺星〉
俺は今日久しぶりに本格的なお菓子作りをすることにした。町できいてみるとレンタル工房があるらしく、このレンタルキッチンは大きく分けると二つあり、一つ目は学校の調理室みたいな魔導コンロやシンクに魔導冷蔵庫、冷凍庫、魔導オーブン付きのテーブルが沢山あるタイプと、完全個室のタイプがある。
両方には一応利点があり、複数のタイプは安く一時間刻みで追加料金が発生する。欠点は他の人に見られる可能性が有り、貴族などは利用しない。
個室タイプは六畳から十畳ほどの広さがあり、好きな広さを選べます。中の設備は変わりませんが、机が沢山収納してあり冒険者たちが誰にも知られないようにミーティングをすることができたり、貴族たちがお忍びで料理をすることができます。料金は数時間纏めて払うことが可能です。
俺は一番広いタイプで日中丸々借りることにしました。
部屋に入ると十畳なのでかなり広く、壁沿いに魔導コンロや魔導冷蔵庫にコンロの下にはグリル、魔導オーブン。シンクに収納には絞り器(レモンを絞るアレ)やまな板に鍋とボウルにざるなどの基本的な調理器具、とそれにオプションで石窯を設置することができますので、一度使ってみたかったんですよね。
俺は早速ネックレスから精霊獣たちを出して一緒に戯れる。幸いなことにこの個室は石造りですし、精霊獣たちには爪が長い子はいないです。
少しの間戯れてからお菓子作りを始めます。俺は正義から借りたアイテムバッグからこの世界固有のケーキ粉とニンジンを取り出してキャロットケーキを作ります。
俺はボウルに卵黄とケーキ粉と牛乳に砂糖を入れて混ぜる。次にニンジンを刻みペースト状にして生地に混ぜ込み、生地の完成。魔導オーブンに予熱をして、急いでカップケーキ用の器を複数取り出し、中に半分くらい流し込む。余熱が完了したので、台に生地を入れたカップケーキを入れて余熱が完了した魔導オーブンの中に入れて、10分待つ。魔導オーブンには元の世界のオーブンにある〇〇用の設定などはありません。なので、自分での見極めが大切です。
俺は次にクッキーを作ることにしました。この世界の小麦粉は薄力粉のような仕上がりになります。うどんのような強力粉はパスタ粉と呼ばれています。なので、小麦粉を使ってクッキーの生地を作り、棒状にして、冷蔵庫で休ませます。
キャロットケーキが焼き上がり、鍋掴みを使い台を取り出して冷ます。冷ますときに精霊獣に頼み見ていてもらうことにしました。ケーキが冷めるまでに時間がかかるため、俺は一部のフルーツを使ってジャムとゼリーを作ることにしました。
ジャムのほうは簡単です。鍋に切った果物と砂糖と水を入れて弱火で火にかけるだけですから。俺は精霊獣の一匹にジャムが焦げないように見ていてほしいと頼み、ゼリーの用意を始めました。
ぜりーに使うゼラチンは、スライムゼリーです。スライムにも種類がありますが、中でもウォータースライムはきれいな水に棲むスライムで、食用で飼育されています。
ウォータースライムゼリーを鍋に入れて火にかけようとしましたが、ふと気になったので、精霊獣に頼みウォータースライムゼリーを浄化してもらいました。
俺はウォータースライムゼリーの入った鍋を火にかけて、どんどん水を追加していきました。ウォータースライムゼリーはその水をどんどんと吸収し、粘度がいい感じになったので砂糖を入れて、耐熱コップの中に果物を入れてゼリーを流し入れました。そしてパッドに水を張り、粗熱を取り、そのまま魔導冷蔵庫の中に入れる。するとキャロットケーキを見てくれていた精霊獣が鳴き声を上げて教えてくれたので、見に行きました。ケーキは中までしっかりと膨らんでいて、半分に割り、見てくれてた精霊獣に半分お礼に渡して、もう半分を食べました。表面はサクサクで、中身はフワフワ、正義が言っていましたがピュアベジットは生食用なので、火を通すのには向いていないと聞いていたが、あんまり気になりません。ニンジンの甘みも根菜特有の青臭さも全然気になりません。
するとジャムも出来上がったみたいで、俺はケーキをアイテムバッグに入れて、ジャムの味見をして、火を止めます。一部のジャムは使いますので置いといて、俺は冷蔵庫の中に入れていたクッキーの生地を取り出して切る。ちょうどいい大きさなので、一枚一枚を横に並べてスプーンでへこみを作ってジャムを乗せてオーブンに入れてジャムクッキーを作る。
そういえば聞いたのですが、元の世界では生乳に乳酸菌とレンネットという酵素を入れて発酵熟成して作ります。元の世界では物凄い種類のチーズがありますが、この世界では生乳にレニートという花の蜜を入れて作ります。ヨーグルトやバターなども同じように花の蜜を使って作ります。味は全く変わりません。
俺はクッキーを作っている間にジャムを浄化した瓶に入れて、アイテムバッグに入れる。それでも時間がありますのでカスタードクリームを作ります。
カスタードクリームも出来上がり、クッキーもできたので、しばらく見回っていると、卵白が大量に余ってしまいました。俺はとりあえずメレンゲを作ることにしました。
俺は少しの間考えてカップケーキを作ります。ただ、ノーマルなのをずっと作るのはつまらないのでイチゴや、リンゴなどいろんなケーキを作ることにしました。
すべて作り終えてアイテムバッグに収納し終えるとそろそろいい時間でしたので、精霊獣たちをネックレスに戻して、宝石の色が澄んできたことを確認して、部屋を出る。そして部屋の中を嗅ぐと甘ったるいにおいが漂ってきました。
俺は中に戻りネックレスに魔力を流すとモルガナイトとグリーンベリルとサファイアが光り、全身にピンク色と薄緑と青色の光がまとわりつき、魔力を開放すると浄化作用を持った霧が部屋中に広がり、部屋の甘ったるいにおいがすっかり消えました。
俺はやり切った顔をして、レンタルキッチンを出て受付にカギを返して追加料金を払って店を出ると、人だかりができていました。
俺は店に戻り受付に聞くと中から漂ってくる甘い香りにつられていつの間にか集まってきたみたい。っと俺は人だかりの中に見知った顔が見えました。よく見ると小栗実里でした。
実里は前の世界で俺のお菓子が大好きで、俺が持ってきていたらすぐにかぎつけてきます。その嗅覚は麻薬探知犬並みという噂があります。どこに隠し持っていても確実に見つけ出して食べてしまいます。しかも小柄な見た目に似合わず大食いで、下手をすればウェディングケーキも一人で食べきれるんじゃないかなと考えるくらいです。
俺はアイテムバッグに入れているから大丈夫と心の中で何度も言い聞かせて人だかりを横切ると小栗が
「スンスン、あれ?こっちのほうから歌海印のお菓子の匂いがする」
とこっちを向いてきました。俺は、無用心だったと思い反省して気づかれないことを祈りながら通り過ぎました。
「あれぇ?こっちから匂いがしたんだけれどなあ。もしかして勘違い?」
という声が聞こえて、俺はほっとした顔をして足早に去りました。しかし宿までは結構距離がありまだ油断はできません。俺は裏道を通って町中を匂いが漂うように、匂いが町中に散るように。
俺は遠回りして裏道にいるときに、ところどころで気休め程度ですが、『消えゆくパンの道しるべ』を使いかく乱して帰りました。
この日、町中で裏道に入ってしばらく出られない人が続出したそうです。初めてその町を訪れた人もその町で生まれ育った人も、全員迷った。のちにこの事件は『甘美な毒の大行進』と呼ばれて港町の未解決の現象になるのでした。
やれやれやっと帰ってこれた。と俺は自室に戻ると正義はベッドに座って本を読んでくつろいでいました。
「おう!(〃・ω・ノ)ノ オカエリー♪♪楽しかった?」
「ただいま('◇')ゞ、いや、やばかったよマジで」
「なにがあった?」
「お菓子を思う存分に作り終わって店を出ると人が匂いにつられてたくさんいた。んで、追いかけられた」
「ハハハハハ( ´艸`)マジで(; ・`д・´)?」
「実は前の世界でも似たようなことが・・・」
「へ?うっそ」
「今日みたいなのは初めてだけれどな」
と俺は疲れ果てて、ベッドにどっかりと座る。
「それで正義は?」
「ああ、社長への御土産が買えたよ」
「社長?まあいいや、何を買ったの?」
「英雄譚とか神話の本とかかな」
「へえそんなんを好むのか」
「まあ、多分歌君は元の世界に帰ってから会うことになるんじゃないのかな?」
「へ?なんで?」
「ん?言ってなかった?歌君は俺達の仲間になる資格を一つ有しているんだよ。後はこの世界から帰ってからかな」
「おい!どういうことだよ!説明しろ!」
「まあ、その辺はこれから行く無人島に着いてからかな。ここじゃあ誰が聞いているのかわからないからね」
と正義ははぐらかしてきました。仕方がない、これは我慢するか。
〈勇者サイド〉少し前
俺の名前は勇者取り巻きB!前回は小栗が疲労回復魔法を習得して俺達の訓練が苛酷になった。
しばらくしごかれて、俺は火魔法を習得した。他の数人もそれぞれ職業に合った技を習得した。これで次の町に行ける。俺はここを出ることを伝えると、兵士たちは労ってくれた!だが、金髪の女とおっさんはこちらを睨んできた。もしかしたら同類と思われていたのか、と考えると少しむかついた。
そんな視線を無視して俺達は乗合馬車には乗らずに歩いて次の町に行くことにした。町で準備をしている間に一つ嬉しい発見があった、コメを見つけたことだ。そして鍋も購入したので、これからいつでもご飯が食べられる。
町を出て一回目の野営の時、何やら懐かしい香りが漂ってきた。この匂いはソースと焼き肉かな?俺達はここで野営をすることにした。鍋でコメを炊き、匂いをおかずに白米を食べる。昔聞いたときはそんな馬鹿なと思っていたが、意外と美味いなこれ、と自分の気持ちをごまかしてその日は就寝した。
ケーキ粉は簡単に言うと液体と共に練って焼くと膨らむ粉です。他の粉と混ぜるとパンになったり色々便利な粉です。
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