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始まりの町

ログインして最初に見えるのは、

明るく活気にあふれた最初の町でも、

同じくログインしたばかりのプレイヤーでもなく、

薄暗い地下室だった。


マネキンの頭は、

ゴーレムやパペットなどに分類されるから、

こういう地下室スタートだけど、

犬の頭とか、ゴブリンの頭だと、森の中、

人の頭は町の入り口と、

キャラメイクによって変わる


それより、キャラクターの体がよく見えない


さっさと地下室から出よう

そう思い、

事前に調べておいた出口の鍵のある場所に手を伸ばす

しかし…


「あれ?あれ?」


現実の手の感覚で動かそうとするが、

石の腕は動きが鈍く、

手はゴツゴツしていて掴めない


「あ、そうだ!」


ならばとタコの足を動かして、

絡め取ろうとする


現実リアルに無い器官だが、

吸盤にはりつけられれば持てるはず!


ビタンビタンッ!と足を押し付けて、

持ち上げることに成功した


この間10分

ただ鍵を持ち上げるのに10分もかけてしまった


「よし!これで出られる!」


そうして、暗さに目が慣れ、

扉の下は向かい…


石の腕で押したら

バコンッと音を立てて開いてしまった

いや、吹き飛んでるし、

壊してしまったの方が正しいか


いずれにせよ

先ほどの苦労は無意味になった


「ふ、ふふ、、、ふふふふふふ」


もはや笑えてくるわ


あのクソ情報を書き込んだやつがいたら、

たとえ町中だろうとぶっ殺してやる


外は廃墟の町、

私と同じく休眠ポットから抜け出したが

自我を失っているキメラ...

つまりエネミーが闊歩している戦闘エリア


そして、町の南にある門、

そこには人間NPCがいて、

無事に辿り着き、その人から危険性なし

そう判断されないと、戦闘になって町から出られない


まあ、いきなり殴り込んだりしなければ危険性なし判定

徘徊しているエネミーもプレイヤーとスペック差があるからまず負けない


さて、

じゃあ、今この町にいるのは、

門番さんを除いて敵なわけで...


「どけどけぇえーー!

あはっ!あはははっ!!」


すごいすごい

石の腕をブンブンするだけで

どんどん敵が倒れて、経験値が貯まっていく

経験値は成長するタイプの部位をもっていたら

それが大きくなる、もしくは増える


そして、レベルが上がればスキルを覚えられる

スキルを覚えれば、

現実でできない動き、現実に無い器官を動かす感覚

それらを補助してくれる


「ふふっ、いい身体持ってるじゃない」

ぶちぶちぶちッ


部位破壊はもちろんその部位がドロップする確率が上げることができる


よしよし、タコ足も増えてる


レベルが上がり、触手スキルを獲得

レベルが上がり、緩衝材スキルを獲得

レベルが上がり、粘液スキルを獲得

レベルが上がり、重量スキルを獲得

レベルが上がり、軽量スキルを獲得

重量スキルと軽量スキルが融合

重力魔法スキルを獲得


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ふぅ〜ー、スウゥーとしたわ」


レベルは15個上がって、

スキルが5個手に入り、その内の2個が融合

スキルの熟練度は使えば使うほど上がって、

その補正も上がるからほっとくとして


「重力魔法、魔法ね〜...

魔法じゃない方がよかったんだけどな」


6本に増えた触手をペタペタさせながら愚痴る


このゲームをやっている先人たちは意地悪だ

みーんな、全然!

融合の組み合わせとか、イベントの発生条件とか

共有しない


魔法スキルは、“詠唱”が必要なのだ


「えーと、対象が自身なら“我”、

物体には“卑物”、他のキャラには“其の者”、

方向指定に“天”、“地”、“日の出”、“正午”、“日没”、“夜”

で、上、下、東、南、西、北を使う。

“罰”が加重、“赦し”が減重...」


他にもいろいろ、厨二的“呪文”が設定されている


「...これを人前で?

〜ーー〜〜っ!恥ずかしすぎでしょ?!」


もちろん、スキルは融合した方が強力にはなる

でも、それが必ずしも良いスキルになるとは限らない


「...ごほんっ、『“我”“天”に“赦し”をこい、“中空”を駆ける“申”になる』」

“中空”はどれぐらいの減量か、

“申”は効果時間


これで、40分間体重が半分になり、

移動速度が上がる


下半身は幽霊なので、私はぷかぷか浮いている

そして、

タコ足で壁を蹴り、加速していく


「イヤッホーッッ!!」


ビュンビュンと風切り音が聞こえる

エネミーたちを置き去りに、戦闘も起こらないので...

あっ、という間に南門にたどり着いた


「止まれ!質問に答えよ」


「はい」


「よし、では質問だ。貴様はヒトか?」


「はい」


「うむ、貴様は人間を殺すか?」


「襲われたらそうですね」


「うむ、いいだろう。受け答えがしっかりできている。

知性があり、正気であることを認めよう。」


「ありがとうございます」


「これが無ければ襲われるからな、

ちゃんと首にかけておけよ」


門番の質問に答え、

首から下げられる十字架を、渡される

これは魔道具で、犯罪を犯したら壊れるらしい


門をくぐり、この世界に足を踏み入れた


さて、何をしてみようか

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