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その6

◇◇◇◇◇◇ その6


「ガチャン。」

 扉が閉まると同時に

「どんつく」も「ぎしぎし」も聞こえなくなった。涼子と健一ははっとして我に返り、


「純一!」

「純ちゃん!」

 名前を呼びながら外へ二人が飛び出ると純一も長持行列も煙のように消えていた。


「純一!」

 健一は叫びながら家の周辺を必死になって探し回った。涼子も声を枯らしながら探している。しかし、純一は見つからなかった。神隠しにあったように純一は消えてしまったのである。


 朝になっても純一の姿は見つからなかった。健一は警察に捜索願いを出しに行った。担当の警察官は小沢という若い警官である。健一は純一の消えた時の様子を小沢に話しながら


「とても信じてはもらえないだろう。」

 と思っていた。一気に話し終えると健一の口から

「ふーっ」

と深いためいきがもれた。


「実はですね、六年前の御柱の時も純一君くらいの子供さんが、行方不明になっているのです。残念ですが、その子はまだ見つかっておらんのです。」

 純一のことを考えると目の前が真っ暗になる思いの健一であった。


「これは何か秘密がある。」

 健一は直感した。


 家に帰ると健一と涼子はまず近所の聞き取りを始めた。健一は地区の公民館に出かけ当日の長持ちの練習スケジュールを調べた。驚いた事に長持保存会の練習スケジュールによれば事件のあった当日は市で主催の合同発表会に参加するためにいつものグループは健一の家の前を通っていないのである。


「なぜ私の家の前でいつも休憩を取っていたのですか。」


 健一の言葉に、

「あなたの家の前まで行くと長持ちの音が一段と大きくなるんですよ。家の壁で反射しているんだと思いますが。それでなんとなく休みたくなるんです。」


 保存会の責任者は言われて初めて長持ちの音が大きくなったのに気がついたようであった。健一のあせる気持ちとは裏腹に七年振りの御柱は刻々と近づいてくる。




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