その50
◇◇◇◇◇◇ その50
「影武者の伝説も有名だしね。信玄はどういうわけかこの装置の秘密を握ったんだよ。女神様が関わっている可能性はとっても高いと思うね。パラボラ部分が壊れてしまったんだから作られた時程のハイパワーは望めないにしても数人を瞬間転移させる位の力は十分に残っていたってちっとも不思議じゃない。
ただエネルギーを安定して供給するためには柱を時々交換する必要があったんだろう。それが御柱祭りというわけさ。目標達成を目前にして信玄が死んだのはシステムの使い過ぎで人間としての寿命を著しく縮めたんじゃないかな。」
「でも純一のいなくなった日、どんつくが来たでしょう。あれは幻だったのかしら。」
「あの日に俺達は行列そのものを自分の目で見て見て確認したわけじゃないんだ。システムが音だけを出してその波長に共鳴するキーとなる人間を探したのかもしれない。」
健一はゆっくりと話しを続けた。
「どんつくの音を発生し、キーの役割を果たすことができる人間を見つける。そして建て御柱の日、通信システムが始動し、キーはどこかへ伝送されるんだ。システムのコントローラが信玄の棺である可能性が大きいね。」
「どうして、純一が選ばれたのかな。」
「たまたま信玄血縁の俺と涼子が結婚した事で、純一は潜在能力がさらに増幅されたんだろう。もしかすると純一こそシステム起動に必要なマスターキーかもしれない。最近の御柱の記録には光を見た記録は残ってないから、信玄が死んでからはキーを発見する事ができなくて、作動する事がなかったんだろう。」
「それがこの間の御柱で偶然始動してしまったというわけね。」
「信玄が死んでからだって、この地方に血縁者の子供が出現した時代はいくらでもあったと思うよ。でも純一のようなマスターキーとなる子供はそうそう出現しなかったんだ。」
「じゃあ、三年後の次の御柱の時に純一は帰ってくるかもしれないじゃない。」
涼子は喜びを隠しきれずに純一に尋ねた。
「今までの話しはすべて想像だけどそんなに見当外れじゃあないと思うんだ、だとすると。」
「何が問題なのよ。」
「キーだよ。」
「あっ、そうか。純一がいなくなっちゃったからシステムを始動できないかもしれないんだ。」
「だからね、涼子。」




