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俺とあいつの変わった日常2  作者: 龍聖
第2章 体育祭
12/12

第11話 久しぶりに

2ヶ月ぶりに更新です。僕の活動報告でも言ったのですが、一旦データが飛んでしまいまして、書き直したら最初のと中身が全く変わっていました。困ったもんですね。


みなさんもそんなことが起こらないように気をつけてくださいね。

 入学してからしばらくたったある日の金曜日の放課後のことだ。


「なあ、湊」

「んだよ、蓮」

「お前、どっちの事が好きなんだよ?」

「どっちって?」

「そりゃあ、美緒ちゃんと葵ちゃん」

「あー…。その二人ね…」

「いや、他になんだと思ってたんだよ」


 今日は珍しく美緒と葵が用事があるとのことで蓮と一緒に商店街をぶらついていた。

 俺が蓮と放課後二人になるのも久々だ。最近は葵と美緒と俺の三人で帰っていたし、あの二人に用事なんて基本的になかったので他の奴と帰るなんて選択肢もなかった。


「どっちが好きかと言われると難しいな。二人とも好きだし」

「その気持ち分かるけどな。だとしても、ちゃんと選んでやれよ?」

「わーってるよ」


 いきなり何を言い出すんだ、こいつは。決められるならとっくに決めてるっての。

 のんびりと商店街を歩いていく。夕方に差し掛かり、あちこちから食べ物の良い匂いが漂い、俺らの食欲を誘ってくる。

 ぐう〜と蓮の腹が大きく鳴る。気持ちは分からなくもない。俺だって腹が空いてきた。


「良い匂いしてきたから腹減っちまったぜ」

「分かるよ。俺もそうだからな」

「なあ湊。中学生ぶりにいつもとこのコロッケでも買おうぜ」

「あそこか、久々だしいいぜ。行くか」

「おう、じゃ早く行こうぜ」


 いつものところというのは、俺らがまだ中学生の頃、美緒と蓮と俺の3人で帰りによく立ち寄っていた揚げ物屋のことだ。そこのコロッケは揚げたてで、外の衣がサクッとしていて、中はホロッとしていてとても美味しかった。

 高校生になってからは行っていなかったが、久々だしいいかもと思った。

 揚げ物屋に着くと、いつものおじさんが揚げ物を作っていた。


「おっ、湊じゃねぇか。久々だなぁ」

「久しぶり、おじさん。いつものコロッケ二人分ください」

「あいよ、ちょっと待ってな。ところで、美緒ちゃんはいねぇのかい?」

「ああ、美緒は今日は用事があって蓮と二人だよ」


 そりゃあ残念だとおじさんは少しがっかりしていた。そんなことを言ったおじさんに蓮が突っかかっていくのもいつものやり取りだった。


「蓮はちっとも成長してねーな。湊を見習えってんだ」

「んだと!!少しは成長してるっつーの!」

「うっせうっせ。ほら、コロッケ二人分出来たぜ」

「おっ、サンキューおじさん」

「おう、また来いよ!今度は美緒ちゃんも一緒にな!」


 蓮からコロッケを受け取り、ベンチに座ってからかぶりつく。うん、やっぱりここのコロッケが一番美味しいな。


「やっぱうめえな、ここのコロッケは」

「ああ、そうだな。今度は美緒と葵、それに結衣も連れていくか」

「そうだな。ところで話は変わるんだけどよ」

「ん?なに?」

「あともう少しで体育祭始まるじゃん?湊は障害物か百メートルのどっち出るか決めたか?」

「ああ、俺は障害物かな。たまにはこっちもいいかなって思って」


 俺はいつもは百メートルに出場していたが、今年はなんとなく障害物をやってみたい気持ちだった。何がこうさせたのかは分からないが。

 そして、ふーんと蓮は何か言いたげな表情をした。俺が障害物に出ちゃいけないかよ。


「あと、学年種目って結局なんだっけ?」

「え?あー、大ムカデじゃなかったっけ?」

「中学の時も大ムカデやったよなあ。中学とは何が違うんだろうな」

「さあ、特に何も変わらないと思うけどな」


 コロッケを食べながら、もうすぐ始まる体育祭の事を話していた。


「なあ、湊」

「あ?なに?」


 蓮の顔つきが普段のおちゃらけた感じから真面目な顔になっていた。こういう顔をする時のこいつは大概真面目な話をしてくる時だ。というか、人なら皆そうか。


「大ムカデの時に、誰かがミスって責められるようなことになったら、クラスの雰囲気和ませてやれよ」

「はあ?いきなり何言ってんのお前。気持ちわるっ」

「うっせえな!とにかく、こういうのはクラスの皆から慕われてるお前にしか出来ねー事だからよ。頼んだぜ」

「分かった分かった。そん時は俺がなんとかしてみるよ」

「頼んだぜ、人気者」


 いつも一言だけ多いんだよこいつ。とは思いつつもやっぱりクラスの皆で初めて一致団結して取り組む行事だし、何かあるかもしれないのは分かっているつもりだった。だけど、その時は俺が何とかする。いやしてみせる。

 陽が沈み、辺りはすっかり暗くなり月が見え始めていた。もうこんな時間になってたのか。


「さて、そろそろ帰るか。そろそろ美緒が拗ね始めそうな時間だしな」

「そうだな。…前々から思ってたけどよ、お前の行動基準っていっつも美緒ちゃんだよな」

「はあ?幼なじみなんだから当たり前だろ?」

「当たり前じゃねぇから言ってんだけどな」


 そんなに変ではないだろ。家が隣同士でしかも従姉なんだし、普段から一緒にいることが多くなるから行動基準が美緒になるだけだし。

 住宅街を歩きながら話していると、あっという間にお互いの家に通じる分かれ道に着いた。


「じゃあな湊。俺こっちだからよ」

「おう、じゃなあ。また明日」


 そう言って軽く手を振り見送った。


「ただいまー」


 家に着き、リビングに入ると予想通り美緒が頬を膨らまして拗ねていた。少し可愛いとか思ったけど、それは内緒。


「湊おっそーい!どこほっつき歩いてたの!」

「久々に蓮と一緒にいてな。コロッケ食ってた」

「ずるーい!私も食べたいのに…」

「分かってるよ、今度行こうぜ?」

「…ほんと?約束だよ?」

「ああ、約束だ」


 そうして美緒に指切りげんまんをさせられた。それなら許すと言わんばかりに美緒の顔は微笑んでいた。何時までもこんな時間が続けばいいなと思いつつ、俺と美緒はお互いの親と一緒に夕飯を囲って食べていた。



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