しょうもない死に戻り
刺されて死んだ。けつまづいて死んだ。壁にたたきつけられて死んだ。川に落ちて死んだ。たんすの角に小指をぶつけて死んだ。石畳の目が多すぎて死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。
急になんなんだよ。死にたくねえよもう。
いっそ魔法少女になってこのループを抜け──ると、正体がバレて厄介なことになるからそれもできない。ままならないものである。
ただ、このまま死に続けるわけにもいくまい。
ループが無限である保証すらないのだ。
なら、死なないくらいに強くなればいい
魔法少女であることがバレない程度に、魔法少女の力を使うことができるようになれば。あるいは別の力を開花させれば。
幸いまだ、時間はありそうだ。
俺は空から落ちてきた隕石に潰され死ぬと、宿屋でまた目を覚ます。
「むにゃ……」
ハンゾウの音速の寝相を食らう前に宿屋を出て、扉の前で練習を開始する。
「ピューラ・リミテ!」
わずかに体がピンク色に光ったような──
ただ強くなった感じはしないな。
「ピューラ・リミテ・リミックス!」
うーん、不発。
どこからか飛んできたデス鳩(人を差し貫いて殺すのが趣味の鳩)を回避し、練習を再開する。
「ピューラ・リミテ!」
ここまではうまくいくんだよな。
せまってきたナイフを持った男に、
宿の扉に刺さっていたデス鳩を差し向ける。
「ピューラ・リミテ・リミックス!」
お、ちょっと力が張る感覚があるような。
上から落ちてきた植木鉢を拳を突き上げ破壊。
「ピューラ・リミテ・リミックス!」
だいぶ力が張ってきたような。
デスすねこすりを回避(毒のトゲがある、人懐っこい猫みたいなモンスター。早朝に湧く)
「ピューラ・リミックス!」
体がピンクの光に包まれ、魔法少女の姿になる。
「あっ、しまった!解除!」
解除と同時に教会の鐘が飛んできて、俺を押しつぶした。
そしてまた目が覚める。
「くそ、惜しかったな──」
経験は積めている。力も身についてきている。
いい感じだ。
いい感じなのだが。
「むにゃ」
油断した。ハンゾウの寝相により俺は天井に突き刺さり、死んだ。




