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前世を思い出した我儘王女は心を入れ替える。人は見た目だけではありませんわよ(おまいう)  作者: 多賀はるみ


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 エイガ公爵家のメイド達に引き渡されて、お風呂場で綺麗にされている間、悪いことばかり考えてしまって何も覚えていない。

 どうしよう、襲われたのが未遂だったにしても攫われてしまっては周りからは傷物として見られるのかしら。

 そしたら、せっかくエドワルド様と婚約出来たのに解消なんてことになるの?

 でも、そうよね……傷物の令嬢を嫁にするなんて嫌よね。エドワルド様はお優しいから、嫌だなんて言わないでしょうけど、きっと本心では嫌なのかもしれない。

 エドワルド様にそんな態度を少しでもとられたら、立ち直れない……ここは、私から婚約解消を願い出たほうがいいのかしら……せっかく、ここまでこぎ着けたのにー!


 そんな最悪なことばかり考えていたら、いつの間にか綺麗さっぱり洗われて身支度も整えられていた。

 あら? 私、いつの間にドレスまで着せられてたの? しかも、サイズがぴったりだし好みのドレスじゃない?

 なんて思いながら、エイガ公爵家の部屋に通されたら、両親とお兄様がいて抱きしめられた。


「ミリー、あぁ、無事で良かった。どこか怪我はないか? 魔物の森に攫われたと聞いて、気が気じゃなかった」


 家族にもちゃんと連絡がいっていたみたい。それにしても全員で来るとは。


「お父様、お母様、お兄様。私は大丈夫です。怪我もありません。エドワルド様が助けてくださいました。それにリックも。お父様、学園の方針でリックは教室には入れなかったのです。どうか、リックには罰など与えませんように」


 うん、ここ大事。リックは私の専属の護衛騎士なのに、私を危険にさらしたとしてなにか罰があったらどうしようと思っていたから、先手を打つ。


「話しは聞いている。今まで魔物に会ったこともないのに自分で志願して魔物の森へ行き、ましてや初めてで魔物を倒したと。しかし、ミリーの護衛としてついていながら、危険にさらした事には間違いない。何もなしという訳にもいかないのだ。三ヶ月の減給とするが、ミリーをあの森から助け出してくれた褒美をそれなりに取らせる形にしよう」


 まぁ、それが一番妥当なとこかしら。


「エドワルドくんにももちろん褒美は出すから、期待していてくれ」


「私は自分の婚約者を助けに行ったまでですから」


 ドキーン。お父様達に抱きつかれて気づかなかったけれど、エイガ公爵家の皆さんもいらっしゃるじゃない!

 それに聞きました? 奥さん! 『自分の婚約者を助けに行ったまでです(キリッ)』って。キリッは、私の妄想だけどね。

 でも、それにしたって私のことをちゃんと婚約者として見てくれていたってことよね。う、嬉しい。


「私のことなら、本当に大丈夫ですから、三人とも公務に戻ってくださいな」


 いや、でも、とか、心配だからとか、まだ居座ろうとしてる。ほら、公爵家の使用人の方々が王族が全員大集合してて緊張しているじゃない。さあ、早く帰った帰った。私はこれからエドワルド様と、大事な話があるの! それにさっきから、魔法で作られた連絡鳥がひっきりなしに来ているわ。今日は、隣国の大使が来る予定だったはずだから、宰相から催促されているわよ。

 三人は後ろ髪を引かれながらも、何かあったらすぐに教えるようにと言って城に戻っていった。


「皆さん、私の家族がお騒がせいたしました。それに私の捜索隊を準備していてくださったとか。ありがとうございます」


 エイガ公爵家の方々に謝罪とお礼を。すると部屋にいた使用人の方々は、感激されたようで滅相もございません! 嫁いでこられる日をお待ちしておりますって、言ってくれた。まぁ、エドワルド様に婚約解消されなければね……


 エドワルド様に今、大丈夫ですか? と、公爵邸のお庭に案内された。

 さあ、覚悟を決めるのよ。エドワルド様にどんなお話しをされても、受け入れましょう。





「お体は本当に大丈夫ですか?」


 お庭を案内されて、ベンチに腰掛けるように促される。


「ええ、大丈夫です。あの、それでお話って……」


「あぁ、はい。その、アリサ嬢から聞いた話しについてなのですが」


 あー!!! そうだった! アリサ様、いったい何を話されたのかしら。


「その、七歳の頃より、私のことを好いてくれていたと聞きまして……」


「あの、はい……そうです」


 やばい。もしかして、そんな昔から好かれていたなんて……粘着質な女は嫌だとかいう話かしら。


「今まで申し訳ありませんでした」


 ガバっと頭を下げて、謝罪をされるエドワルド様。え? どこに謝罪されるところが?


「私は今までミリアリア様の同情から親しくしていただいていたのだと思っていました。それで、前に想いを告げていただいた時には、お言葉を信じずに流してしまいました。今になって好意を無下にしていたのだとやっと気づいたのです。大変、申し訳ありませんでした」


 またもガバっと頭を下げるエドワルド様。


「お顔を上げてください。えっと、そんな昔から好意を抱いていたなんて、私が粘着質な性格で気持ち悪いとかではないですか?」


「まさか! そんな幼い頃から俺のことを好きでいてくれたなんて嬉しさしかありません」


「今回の事件のせいで私が傷物だと噂されるかもしれません。それで私との婚約を解消したいとか思っていらっしゃいませんか?」


「そんなこと思うはずがありません! 俺は……ずっとミリアリア様の事が好きだったのだと思います。ミリアリア様が俺の事を好いてくれるはずがないと最初から諦めて、ずっと自分の気持ちにブレーキをしてきました。ミリアリア様にお慕いしていると告げられた時、自分に自信がないばかりに無下にしてしまって本当に申し訳ありません。婚約の話しを進めるときも、解消を前提にお話ししてすみません」


 よ、よかったー。婚約解消はなさそう。自分からも提案しなくて良かった!


「改めて言わせてください。ミリアリア様の事を愛しています。俺と結婚してください」


 ひ、跪いてのプロポーズ! 凄い、嘘でしょ。そして、まさかのエドワルド様からの愛してる! 破壊力が凄すぎる!

 これって、夢じゃないよね? 思わず、自分の頬をつねってしまった。


「ど、どうされました? やはり、プロポーズするなら花束や宝飾品がなければ嫌でしたか?」


「花束や宝飾品がなくても嬉しいに決まってるじゃないですかー」


 エドワルド様が不安そうにされたので、思いっきり抱きつく。さすがエドワルド様。鍛えているだけある。跪いている体勢でいきなり飛びついたのにグラつきもしない。

 少し、はしたなかったかしら? なんて思ったけど、エドワルド様の今までに見たことない、嬉しそうな恥ずかしそうなお顔を見たらはしたなくったっていいじゃない! と、自分の行動を正当化した。

 はぁー、イケメンの笑顔、最強!


 そう感慨にふけっていると、今までの私の努力のあれやこれやを思い出したら勢い余って、エドワルド様のほっぺにキスをしてしまった。キャッ。

 痴女じゃありませんから! 婚約者との可愛い触れ合いですから! と、自分に言い訳する。


 エドワルド様は一瞬何が起こったのか、分からなかったみたい。しばらくすると、ボンッと顔を真っ赤にして、口だけアワアワしながら固まった。

 こんなエドワルド様を見るの初めて!


「うふふ。もしエドワルド様が今度遠慮をして、私との婚約を解消しようとしたら、お父様に私の初めてをエドワルド様に貰っていただきましたって言っちゃいますからね」


 ふふふ、と冗談混じりに言えば、我に帰ったエドワルド様にそのような事は絶対にありませんから、陛下に言ってはいけませんよって、私の鼻をちょんってつつかれた。

 あまーい。何この空気、あまーい。エドワルド様って、意外と可愛いところがあるのね。また新発見。どんどん好きになってしまって、鼻血が出ないか心配だわ。





 そして、実はそんなやり取りをこっそり見ていたエイガ公爵家の皆さんは涙を流していたとかいなかったとか。




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