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前世を思い出した我儘王女は心を入れ替える。人は見た目だけではありませんわよ(おまいう)  作者: 多賀はるみ


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「――以上をもって、入学の挨拶とさせていただきます」


 今日の私の一番の仕事はこれで終わり。

 あとはクラスへ行って時間割を決めて寮に行くだけね。


 クラスは成績順に分けられていて、アリサ様もカリナ様も一緒のAクラス。Aクラスは成績上位20名からなっている。

 お兄様もエドワルド様も三年間このAクラスだったし、卒業はお兄様が首席、エドワルド様が次席で卒業された。

 私も気を抜かず頑張らなきゃ。


 教室に入ると一瞬、シン、と静まり返る。ざわざわと雑談があちこちで交わされ始めたけど、みんな私を意識しているのが分かる。

 そうよねー、王族が同じクラスなんだもん。しかもこんなに美少女(笑)がいるんですもんね、そりゃぁ意識するわよね。

 【学園内では皆平等に】という理念があるからね、いつ、誰が私に話しかけるのか様子をうかがっているみたい。


「ミリアリア様、代表挨拶さすがでした」


「ありがとう」


 真っ先に話しかけてきたのはカリナ様。それを皮切りに、初めまして、子爵家の~です。とか、特待生の~です。とか、まぁ普段ほとんど話さないような子たちから沢山自己紹介されてしまった。


 いや、これからクラス全体で自己紹介すると思うけど……でも、良かった。私の昔の噂のせいで、遠巻きにされるなんてことはなさそう。

 むしろ、ちょっと馴れ馴れしすぎる男子生徒がいるけれど。

 それ以外は良い人達そうで、安心したわ。






 ふぅ、入学初日の日程をこなして寮の部屋で一休憩。私は王族だから、専用の個室を与えてもらっている。男女別の寮だから、お兄様が使っていたお部屋とは違うけれど、とても豪華なお部屋ね。

 ライザが既に荷解きしてくれていたから意外と快適だわ。

 伯爵位まではそれぞれ爵位に応じた個室が与えられているけれど、それ以外の人達は二人で一部屋なんですって。

 あと侍女を連れてきていいのは侯爵位までの人だから、カリナ様はちゃんと自分の身の回りのことが出来るか不安だとおっしゃっていた。

 ちなみに、アリサ様は王族入りがほぼ内定しているから、特例で侍女を連れてきていいことになったそうだ。


 ライザは結婚してもそのまま私の侍女をしてくれているから学園にも一緒に来てくれた。リックは大丈夫かしらとちょっと心配していたけど、ご心配なく、私も護衛で学園にいますからって。あ、学園にもやっぱり護衛は必要なのね。王族って、思っていた以上に窮屈かもと今更ながら思う。


 学園生活は思っていた以上に楽しい。クラスの方達も、最初のご挨拶の時みたいなグイグイ来る感じはなくなって、適度に仲良く出来ている。【学園内では皆平等に】なんてあるけど、実際はある程度は弁えないとね。

 だけど、たった一人だけずっと馴れ馴れしい男子生徒がいる。

 ケント・ブルー公爵子息。この国に三つある公爵家の一つの嫡男だ。学園の中で私の次に高位だけれど、それにしたって馴れ馴れしい! この間なんか、あなたの綺麗なその瞳に吸い込まれそうだ。とか気持ち悪いこといいながら肩を抱こうとするものだから、思っきし足を踏んづけてやった。綺麗な瞳って言うけど、私の目って誰よりも小さいのによく分かるわね。まったく、王女に対して何やってんじゃい。

 はぁ、同じ公爵家嫡男でも、エドワルド様とは月とスッポン。とにかくタイプじゃないのに、自分に惚れない女性はいないとばかりに近寄ってくる。

 だから『お父様ったら心配性で、私に男性が近づかないか秘密裏にたくさん護衛を学園に配置してらっしゃるの。何かあれば手足の一本なくしてもいいって命令されていたから、お気をつけてくださいな』って嘘八百を言ったら、近寄らなくなって一安心。


 私はね、エドワルド様のことを諦めていないの! 少しでも変な噂が立たないように注意してるんだから、無闇に近づかないでほしい。


 アリサ様とカリナ様との会話は恋の作戦会議がほとんど。だから、三人で会話をするときは魔法をかけて周りには知られないようにしている。


「申しわけありません。まだあの女の尻尾をつかめなくて……結婚するまでは用心深いようでボロを出さないんです」


「仕方がないわ、でもあの方は二年も辛抱強くないはず。必ずどこかで何かやらかすわ。それまで地道に情報を集めましょう」


「「はい、お任せください!」」


 カリナ様は人懐っこい性格を活かして、どんな方ともお話しが出来てしまう。最初は距離を取られていた相手でも、あっという間に仲良くなるの。そのお陰で、沢山の人から色んな話しを聞き出してくれる。

 アリサ様は宰相の娘ということもあって、手腕が凄いのもあるけど、多分おおやけにはなっていない宰相の諜報員を使って私に情報をくれる。

 いや、そんな大事にしなくても……とは、思ったけどありがたいので何も言わない。でも、申し訳程度に『宰相はこのことご存知なのかしら』と伺うと、『むしろお父様から許可をいただいています』って。

 うそーん、あのお堅い宰相が私の恋愛事に協力してくれるなんて! なんか恥ずかしいんだけど。


 お父様とエイガ公爵と宰相は仲良いからね、宰相は何度かエイガ公爵に『エドワルドくんの婚約はまだ早いのでは?』って、遠回しにもっとリンダ嬢を調べろよ的な事を言ってあげたのに『リンダ嬢はとても素晴らしい子だから他の者と婚約してしてしまう前に急がないと』って、せっかくの忠告を聞いてくれなかったらしい。

 はぁー、エイガ公爵夫妻は自分たちの容姿の良くないところばかりを集めてしまったようなお顔のエドワルド様を心配しすぎる面がある。

 怪我とかそういうのはそのうち治る! って心配されないのに、容姿に関することについては敏感で周りが見えていないフシがある。

 だから、あんなに私のことをエイガ公爵家の嫁にどうですかってプレゼンみたいなことをしても、真に受けない。


「そういえば、ブルー公爵子息もやっと大人しくなりましたね」


「ええ、今まで本当に鬱陶しかったものね。これで安心だわ」


「それでも気をつけてくださいませ。あの男、お父様情報では既に四人の隠し子がいるそうですよ」


「なにそれ!!」


「気に入った若いメイドを無理やり自室や近くの部屋に連れ込んで、騒げば家族がどうなっても知らないぞと脅していたんだとか。おまけに、子どもができたと分かるとあっさり女性と子どもを捨てるそうです。それをブルー公爵は揉み消しているそうですよ」


「最低!!! 女の敵じゃない」


「ですから、既成事実など作られないようにミリアリア様は常に誰かといてください」


「でも、流石に王族の私にそんな無理矢理なことしないのではないかしら」


「いいえ、頭のおかしい殿方は何をするか分かったものではありません。カリナ様もお気をつけてくださいね」


 アリサ様のあまりの剣幕にコクコク、と私とカリナ様は頷いた。





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