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失恋癖旅情探偵と異世界から来た100人の探偵助手!  作者: 夜野舞斗
2人目 神頼りの問題児

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10.茶畑の呪術師(10) 過去を探れ

「結局、何処もかしこも何も証拠なんて無いし、解けないじゃないの!? なんなの、この事件!」


 リヴィアは探索の結果、匙を投げていた。

 辺りには警察も到着して、捜査を進めている。もう蕪木さん達の監視下に置かれて邪魔をされるということもないが。

 迂闊に捜査に踏み込むことができない状態にもなっている。特にこの二人の捜査官。調査中に魔法を使っているところなど目撃されたら、どんな疑いを掛けられるか分からない。前のような通り魔とは違って、今回のある意味猟奇的な事件現場は特に。


「タイムオーバーですかね……」


 アレンの言葉に頷く俺。


「結局、二か月前の事件についてはあやふやなままだし……」


 二か月前の事件の手掛かりがつかめない今。どうしてこの家の当主がお茶塗れにて殺害されなければならなかったのか。

 まだ何とか思考を進めている俺にリヴィアがふとポツリ。


「富貴さんって人が何か知ってれば、話してもらえたのにね」


 その言葉でアレンが目を見開いて、一つ推測を口にした。


「今回の動機を考えると、外の人物に前の事件の思い当たったことを喋られそうになったから……ですよね。と考えると、富貴さんにしか分からない何かがあったってことです?」


 彼だからピンと分かることと言えば。

 親が誰かに恨まれていたのを聞いていたとか。その日の自分の行動とか、だろうか。

 俺が被害者だったら、どんな言葉で犯人を脅せるのか考えてみたいのだけれども。


「……犯人の正体を知っているのなら、こそっと言えば良かったし。あの状態だったら何かメッセージは残せたはずなんだよな」

「となると犯人の情報じゃなく、別のものですね……」


 推理に行き詰って、腕が勝手にぷらぷら動いていた。顔も辺りを見回していた。

 ヒントなんて、ないに決まっているのに。

 リヴィアが話に外れて、また池の方へと向かっているのに気付いた。


「お、おいおい……また池に飛び込む気か?」

「さ、さっきのはわざとやった訳じゃないし! 別に飛び込みたい訳じゃないんだからね!」

「何か凄い感じのツンデレになってるな……」

「べ、別にツンデレじゃないんだから! つ、付き合いたいんなら付き合ってもいいんだからね……! もう言ってるじゃない!」

「どんなデレで分類すればいいんだ……これ」


 そう言えば、お見合いの話にまだ決着がついていなかった。

 連続で起きた事件によって、有耶無耶になってしまっていたが。ハッキリさせないといけないな、と思ったところだったのだ。


「ダメです」

「えっ?」


 異論を唱えたのはアレンだ。きっぱりとしたその態度に対し、リヴィアが警戒心マックスで対抗する。


「な、何よ! まさかシスターの価値観で仕事中に恋愛なんてダメとか言い始める訳!? 恋愛のおかげで仕事が頑張れるっていうこともあるでしょ!」

「そうじゃありません」

「えっ?」

「わたしが好きになったのですから……ここは、年上のわたしに優先してもらうべきなのでは、と」


 今度「えっ!?」と言いたくなったのは俺の方だ。たぶんきっと目が点になって、間抜けな奴に見られていることであろう。

 リヴィアは多少呆気に取られていたものの、すぐに反論を開始していた。


「年上って言っても、仕事じゃほぼ同期じゃない!」

「こっちの世界に来たことに関してはこちらの方が上司です。勉強しているとは言え、常識についてもこちらの方が上です」

「初対面にアタックして相手を困惑させてるシスターの何処が常識人なのよ!?」

「……そもそも信濃さんが常識人ではないのですから、こちらも常識人に拘る必要はないのでは?」


 何故か論争の中で俺まで非常識人扱いされているようで。俺が「えっ?」、「はっ?」、「何処がダメだった?」と呟いている合間にも彼女達の論争は続いていく。


「だったら、私の方が非常識人ですー!」

「あらあら。でもよく考えたら、非常識の人に常識を教えてあげるというのもありなのかもしれませんね」


 俺は「非常識じゃねえぞ」と言いたくなったのだけれども。


「さっきから会話の中に罠をちょくちょく仕掛けるのやめてくれない!?」


 リヴィアの言葉でふと何かに目覚めさせられたような気がした。

 罠を掛ける……?

 二人の恋論争は一旦中止だ。何故にアレンから好意を抱かれているのか、主要人物の死亡シーンがラストに描かれ、次回に続くとなっている漫画位気になるのではあるが。それよりも、だ。

 

「アレン。そう言えば、アレンは畑で働いてたって言ってたよな」

「え……ええ。ここに来る前に」

「ということは、この罠について詳しいか……?」


 俺が示した答えに彼女はこくりと。そう考えれば、二か月前の事件にも色々納得できる考えが思い浮かび上がってくる。

 もう後少し。犯人が何故、お茶塗れにしたのかさえ分かればゴールだ。

 この推理のレースは後もう少し。

 その後押しはリヴィアがやってくれた。


「とにかく、アンタ今から彼とお風呂に入れるの!? 何でもやってあげられるっ位には好きなのよっ!」

「そ、それだぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 まさか、なんてことない会話からヒントが貰えるとは。


「な、何よ……信濃……何がそれなのよ!?」


 リヴィアは驚いたようで。


「信濃様……何か思いついたんです……? あっ、ちなみにそれならば先程わたし達は居間の方で真っ裸になったばかりですので」


 まず、ちなみにで言うことではないし。誤解される説明の仕方でしかない。ツッコミたいのだが。

 リヴィアは自分から裸の付き合いを豪語したくせに顔を真っ赤にして。


「な、な、な、なんて破廉恥な!? 何で会ってから、すぐに破廉恥なことばっかするのよ!?」


 いや、リヴィアも人のことは言えないと思うのだが。

 そうツッコミをしたくなるものの、だ。


「と、とにかくそれよりも、だ。付き合うか付き合わないかは後にして。みんなを集めてくれっ! 推理ショーを始めるぞ!?」


 そう告げた彼女二人はお互いよりも良い結果を見せようと、奮闘し始める。


「じゃあ、私が関係者まとめてひっとらえて、急いで集めてくるから!」

「そんな乱暴はダメですよ。優しく洗脳魔法で引っ張って来ましょうか」

「そんなのあるの!?」

「嘘です」


 嫌な予感しかしない。

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