ヒーローは遅れて現れる
「ユーグリット嬢、わけを聞こうか。どうして君がアリシアに襲いかかったのか。僕が納得できる理由を教えてくれ」
そう私を抱き寄せるエドモンド様の声はとても固く、その場の空気の温度が一気に下がった気がした。初めて聞く声の低さに私は震える。
「大丈夫だよ」
私の様子に気づいたエドモンド様が柔らかい声で私に話しかける。彼の顔を見ればいつも見る顔で、私は思わず安堵する。
「ユーグリット嬢、僕の質問に答えられないのか?」
「いえ……そんなことありませんわ……」
先ほど襲いかかってきた人物とは思えない態度を見て、私は彼女の切り替えの速さに感動する。彼女はこちらの様子を見て俯いたあと、涙を流しながら言った。
「それは……!アリシア嬢が私をいじめていたのでやめていただくよう話していたのです……!」
「本当かい?アリシア」
「ありえません」
発言に被せる勢いで私は即座に否定する。そもそもこの話し合いは彼女から呼び出されたから来たのであって、あ、そうだ。
「でしたら後ろにいるメリューさんに聞いてみましょう」
「なっ」
「本当に?いるのならでてきてくれないか?」
「はい、おります」
背後からメリューさんが現れる。メリューさんと目が合うと彼女はにこりと微笑んだ。
「そもそも、この話し合いはカタリナ嬢がアリシアさんに東屋に来るようにと言ったからです。来ないと平穏な学園生活は送れないものと思いなさいという脅し文句も言われたそうです」
「へぇ……」
エドモンド様の周りが一気に下がる。本来見えないはずの吹雪が吹き荒れている気がした。思わず身を震わせる。
「つまりユーグリット嬢がアリシアに話したいことがあったから今話していた、と」
「はい、そうです」
「それでなにか腹ただしいことがあったから襲いかかったと」
「そうですね、いくつか気になる発言もありましたが……」
「というと?」
「アリシア嬢が転生しているのではないかと思っていたそうです」
「転生?」
二人で話が進んでいく。私はその様子を黙ってみることしかできなかった。カタリナ嬢はおろおろした様子で私たちを見ている。
「ふむ……」
エドモンド様は考える仕草をしたあと、私の顔を見る。えっと……これはどういう状態……?
「わかった、あとでアリシアと話し合ってみるよ。話してくれてありがとうメリュー嬢」
「エドモンド殿下のお力になれて光栄です」
メリューさんが一礼し、東屋を後にする。その背中を見守っていると、エドモンド様に声を掛けられた。
「行こうか」
「え、でも……」
「彼女は僕の質問に答えられないようだし、これ以上話す気はない」
あ、これだいぶエドモンド様お怒りかも。見たことないからちょっと新鮮……って思うのはよろしくないよね。
「ユーグリット嬢、これ以上僕たちに関わるのはやめていただきたい。では」
エドモンド様は彼女にそういうと、私を連れて東屋をあとにした。
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