2015年3月20日の私
3月20日(金)の私 ―――ウエディングドレスと私―――
「今日試着する分揃えときました」
昼休みのドレスの森で、玲ちゃんが10着ほどのドレスを用意して私を待ち構えていた。
「今日もこんなに着るの?」
「ちなみに明日の分もあります」
ものっすごく可愛い笑顔で大きな瞳をきらきらさせる玲ちゃんに、私は『こんなにたくさん試着しなくてもいい』なんて言えない。ああ、玲ちゃんは本当に可愛くて天使みたいな女の子!今なら私は三井くんの気持ちがよくわかるわ。
「じゃあ、さっさと着ようか」
私は腹をくくって試着室へ。
「どう?」
今日は昨日の決定通り、どれもこれも白いドレス。
「んー、次着てみましょう」
「玲ちゃん、これもいいと思わない?」
次々ドレスを試着している間にも、花村さんがさらに追加でドレスを持ってくる。花嫁さんって、こんなにドレスを試着するものだっただろうか?
「そうねぇ、マーメードラインっていうのもいいわね。背が高くて細いから」
「これなんかほんとに人魚姫みたい!」
「いや、男としてはやっぱりこういう思いっきりドレスって感じのが」
「白もいいが、ブルーも捨てがたいな・・・」
「アンティークな雰囲気もいいですけどね」
花村さん、玲ちゃん、藤堂、主任、三井くん・・・ドレスを試着した私の目の前で5人は頷きあって、手に手に自分好みのドレスを持っている。
「ねえ、昼休みがあと10分しかないって知ってる?っていうか、フロント、どうなってるの?」
私も藤堂も主任もここにいるって・・・フロントは・・・?
「やべぇ!じゃあ、明日はこれ着てくださいね!花村さん、これ、キープで!」
現役時代バリバリのスポーツマンだった藤堂はそのスピードのままフロントへ全力疾走していった。
「藤堂‼走るんじゃなーい!」
「主任、叫ばないでください!」
ドレスの森に通い詰める私の一週間は、こんな具合で過ぎていった。




