ケレリスの研究発表?
ラィの説明を聞き、俺のお使いが終わった事を知りって安心感と達成感そして生き返る事でみんなと別れる寂しさを思っていた。
そんな俺の思いとは別にケレリスはラィと話したくてうずうずしている。
「あの、ラィ様!あのラィ様は魔法神様なのですか?」
ケレリスは我慢出来ずに質問をぶつけてしまう。
ラィはケレリスの方を向くと、
「このエルフはフゥとどんな関係なの?
信用出来るのか?
それと一応ここにいるみんなの素性を聞いてからこの後の話しをしたい」
ラィは周りを見回すと俺に目を向ける。
「俺から紹介した方が良いのか?」
「そうだな。
その方が良いだろう。
フゥから見てどのくらい信用出来るかも聞きたい」
「それじゃまずホチネ」
「ホチネは知ってるから次ね」
「そう?それならケレリス。
ケレリスは三日月国で研究者をしている。」
「それだけ?」
「後何かある?
ああ、前に冒険者をしていてラミネともパーティーを組んでいたそうだよ」
「いやいやフゥそんな説明では私の事を知ってもらえない!
自分で自己紹介します!
私、ケレリスはエルフの森で白月に生まれ歴史の研究を始めました。
しかし研究資料の事で長老達と揉めてエルフ領を出て世界各地を冒険者と研究者として旅をし、今は三日月国で研究成果を教え広めようとしているところですがフゥ君と出会いゴブリンの元大統領ゴキムロンを護衛中です。
そして私の研究は魔法神様が歴史の中でどのような活動をされて来たかを解明する事です!
更に………………」
ケレリスはラィに向かって自分の思いを語り続けた。
一時間以上話し続けたケレリスにラィも疲れたように、
「ケレリスあなたの事は分かりました。
次の方の紹介を聞きたいです」
そうラィに言われて、
「それなら次にこのツラナを紹介します!
ツラナは私の教え子で…………」
ケレリスはツラナの紹介を始めた。
『ツラナって教え子の子供で正式には直接の教え子では無いはず?
ケレリスはどうしてもラィと話したくて仕方ないのか?』
更にしばらくツラナの説明が続き、それが終わってゴキムロンの話しを始めるケレリス。
ケレリスの話しが終わったのは空が暗くなった頃だった。
ケレリス以外のみんなはそれぞれ別の事をしていて早々にゴキムロンは食事に行きたいとホチネと出掛けてしまった。
ツラナはケレリスの話しをラィと一緒に聞いていた。
俺はと言うと最初はツラナの隣で眠くなるのを我慢していたが途中から記憶が無い。
夕方ホチネとゴキムロンが二度目の食事に出掛けると言いだした時俺は目を覚ます。
ツラナに後で聞いたところによるとケレリスの話しは今のこの世界の国の話しからラィの知らない混血の加護の話し、それとエルフ達が関わってきた種族間の戦いの歴史と今までの研究成果を発表するかのような勢いで続けられていたようだ。
『ケレリスは自分の研究成果を誰かに聞いてもらいたかったのか?
教え子達に話しても仕方ないのかだろうし、エルフ達には話せない内容もあるようなので今まで発表する人がいなかったのだろう』
今日の夕食は外に食べに行く事にして宿を出た。
それはラィが一緒に食事をしようとすると屋台でしか出来ない為だからだ。
「猫の姿は不便だよね」
俺の何気ないつぶやきにラィは、
「そうだ!だからお前の役目が重要なんだ!」
「俺のお使い?あれは終わったみたいに朝言って無かった?」
ケレリスが俺達の会話に興味津々の様子で聞き耳を立てている。
「その話しは後でな」
この日屋台はいつになく込んでいるようだった。
俺達五人と一匹は比較的周りと離れた席に座り料理を注文した。
料理が運ばれて来て食べようとした時少し酔った雰囲気のエルフ達が近寄って来た。
その内の一人は前日ヒラネスと一緒にいたエルフでゴキムロンにいきなり酒を掛けて来た。
「お前が盗んだヒラネスの鞄返せよ!」
「盗んで無いのよ!拾ったのよ!」
「ゴブリンの言葉なんて聞くエルフなんかいないからな!
この下等種族が!」
周りにはエルフ以外も居たが誰も何も言わない。
「それはおかしい。
ゴブリンを下等種族と言うのはエルフの驕りだ!」
ケレリスが絡んで来たエルフ達に反論するとエルフ達は笑いながらケレリスの肩を小突く。
「お前はエルフの歴史を勉強して来なかったのか?
神から直接命を与えられた俺達エルフとその他の種族が同じ訳無いだろう?」
「…………それは……昔はそうだったかもしれないが今の時代そんな事は無くなっている話しだ。」
「だからお前達みたいなエルフはダメなんだ!
俺達が神の手様を集めてこの世界を……」
酔ったエルフは口を抑えられて連れて行かれてしまった。
「いいか!ヒラネスの鞄を返せよ!」
捨て台詞を吐いてエルフ達が帰る。
「エルフ至上主義の連中は質が悪い」
黙って聞いていたホチネは、
「竜人にも同じような考え方をする者がいる」
「確かにエルフと竜人は他の種族と違うからな。
アイツらの方が正しいとも言える」
ラィはそう静かにつぶやいた。




