雷と共に降るモノ
エルフ達の事を見に行ってくれたギルド職員が申し訳なさそうなジュンケンを連れて部屋に戻って来た。
「すまん。君達の事を忘れていた」
「ハ?」
俺達はキョトンとした視線をジュンケンに向ける。
その視線にジュンケンは頭を下げるだけだった。
ジュンケンの説明によると俺達は昨日の内に宿に帰っているものだと思っていたらしく、ヒラネス達から聞いた内容と俺達の話しを今日にも比べてどうするか決めるので、宿に帰って休んで欲しいと言われた。
俺達は疲れた体で宿への道を歩いている。
「結局あたし達は何のためにあの部屋で待ってたんだろう」
ホチネがつぶやく。
「それは忘れられてただけだからね」
俺がホチネにそう返すとケレリスが首を横に振った。
「エルフの事だ私達をあそこに一晩おいておくのが何かの目的があったとも考えられる」
「考え過ぎじゃない?」
「そうかもね、フフ」
ケレリスは自嘲気味に笑う。
その日は宿に着いて早めの昼ご飯を食堂で食べると各自部屋で眠ってしまった。
翌日共用の部屋に集まったみんなの所にジュンケンが訪ねて来た。
ジュンケンはエルフからの訴えを伝えて来る。
「ヒラネスはゴキムロンに荷物を返すように訴えている。
その代わりお金を払う用意があるそうです」
「ヒラネスは鞄の中身の何にを返せと言っている?」
ケレリスはジュンケンに訪ねる。
「鞄の中身と言うより鞄全部を返せと言う感じだ」
「鞄の中身が無くなっていると後から言われてもこちらとしては困る。
最初から入っていない物が無くなったと言われて私達のせいにされてもな」
「そうですね、後で確認してみます」
その時外から大きな雷が落ちる音が響き町が一瞬震えた。
俺達もその音に話しを止めて外に出る。
町の道には人々が出て来ていてそれぞれ不安を口にしていた。
「何か光る物が落ちた!」
「町の近くに雷が落ちた!」
「雷じゃない!黒い物が降って来た!」
町中にはいろいろな噂が飛び交っている。
そんな騒がしい朝の空にこっちに向かって来る一つの影があった。
その影は翼を羽ばたかせて俺達の前に降り立つ。
その影は翼のある猫だった。
「ラィ!」
俺は思わず叫ぶ。
ラィは俺達を見回すとゴキムロンに目を向けた。
「フゥ、お前は以外にも使える奴だな!」
そう一言口にするとラィはゴキムロンに近付いて行く。
そしてラィがゴキムロンの左脇に飛び付くと、二人?の体が光り出した。
「何だ!」
「何!」
「眩しい!」
周りは騒然となり光りはどんどん強くなり辺り一面真っ白な世界が広がる感じになった。
数秒間みんなの視界を奪って光りは収まって行った。
だんだん収まった光りの中心にラィとゴキムロンの姿が現れる。
「あれ?何か変なのよ?」
ゴキムロンは元に戻ったはずの自分に違和感を感じていた。
「手?神の手様が無いのよ!」
ゴキムロンは道の真ん中で上着を脱いで自分の腕を確認する。
確かに前に見た神の手が無くなっていた。
そしてなぜかラィの六本ある足の左側の一本に腕輪が着いていて、首輪に飾りも着いていた。
「ラィ!お前足が六本あったのか!」
俺は驚いてそう叫んでしまった。
「足が六本とは失礼な。
手が四本で足は二本だ!
お前と同じだろ」
『俺、ラィの事よく見てなかったな!
ラィの足が六本だって事にも気付いて無かった。
まあラィとしては手が四本なのか。
腕が四本で俺と同じだと、本当は猫じゃ無くて人の形なのか?』
「ここでは目立つ。
話しは部屋に帰ってからにしよう!」
ケレリスが俺達を部屋に促す。
周りの人々が喋る猫に魔物の疑いが掛かる前に俺達は部屋に引き上げる事にした。
部屋には俺とホチネ、ケレリス、ツラナ、ゴキムロンが入りそれにジュンケンも付いて来ていた。
「ジュンケン、今は私達だけで話さないといけない事が出来た。
今日は一端帰ってくれ」
ケレリスがジュンケンに帰るように言い部屋を強引に追い出す。
ジュンケンは納得いかない顔を見せたが素直にギルドに帰って行った。
部屋ではラィを囲む形で話しが進もうとしていた。
「ラィ様?」
ケレリスはラィを見詰めると何と呼んで良いのか自信なさげに様付けで呼びかける。
「ラィ、説明してくれ」
俺はラィの正面に座りテーブルの上のラィを見る。
「説明と言ってもな?
ここで話せる内容とお前だけにしか話せない事があるからな?」
「話せない事は後で聞くからみんなに話せる事だけでいいから話してくれ」
俺の言葉にラィは首の鈴を一つ鳴らすと話し出した。
「何を話そうか?
…………まず、水龍神の所にお前を迎えに行ったら居ないと言われて、お前の世話係のシイバ?と言ったかソイツに聞いたのらホチネに聞くと言われ、エルフ領との国境の町に居ると説明されて国境の町に行ったら、どこを探しても見つからず、私がこの世界に居ない間に国の形が変わっている事を知って飛んで来た。
そしてフゥが私のお使いの一つをしていた事に感心した。
そんなところかな?」
『ラィの説明を聞く限り俺のお使いは終わったのか?』




