ヒラネスの鞄を調べる
みんなが眠ってしまうそんな結果に、俺は部屋に取り残されたような感じになってしまった。
『ゴキムロンの持っているヒラネスの鞄を調べないの?』
頭に魔法石の言葉が響き俺はヒラネスの鞄に目をやる。
『勝手に人の鞄を見るのは…………』
『平気よ。ヒラネスはこれまでも裏でいろいろな事をして来た要注意人物で、あの鞄にはその証拠があるかもしれないのよ?』
『それなら俺一人の時よりケレリスやホチネが起きてる時の方が手掛かりを見つけられるよ!
俺だけだと何が重要な物か判断がつかないから』
『それは私が判断するわ』
俺は魔法石の言葉を無視して鞄を調べる事をしなかった。
『後で後悔する事になるから!』
魔法石はそう捨て台詞を吐くと静かになった。
みんなが目覚めたのは次の日の朝の事だった。
俺は一睡も出来ないで過ごしていた。
冒険者ギルドの部屋で朝まで放って置かれた。
「お腹空いた!」
ホチネが大声で叫んで起き上がる。
その声にケレリスとツラナも起き出す。
「ハーアーア。あれ?いつの間にか寝ていた?」
ケレリスはあくびをして記憶を辿っていると、ゴキムロンも起き出した。
「ここはどこよ?」
「ゴキムロン、ここは冒険者ギルドの会議室だよ。
昨日鞄を拾って連れて来られただろ?」
「そうだったよ!
鞄、ちゃんとあるよ!」
ゴキムロンはしっかり握られていた鞄に頬ずりしている。
その様子にケレリスがゴキムロンと鞄を見ながら、
「ゴキムロン、鞄の中身を確かめておいた方が良いだろう。
もし、何か悪い物が入っていた時持ち主のせいになってしまうからね」
「ワシは拾っただけだから中身の責任はないよ!
落とした人の責任なのよ!」
「でもその鞄はゴキムロンが自分の物と言ってしまっている。
だから今その中の物の責任はゴキムロンにある事になってしまう。
だから今の内にヤバイ物は出しておいた方が良くないか?
私はそう提案しているの。
そしてヤバイ物かどうか、私が見て判断した方が良くないか?」
「……フゥどう思うよ?
ワシには判断出来ないよ」
ゴキムロンはなぜか俺に聞いて来た。
「ここはみんなで確認した方が良いよ!
ゴキムロンも自分だけやケレリスだけで見るよりも安心するだろ?」
「そうなのよ?
それじゃ、ワシが鞄から一つづつ出して行くから、みんなは見てて気になる物があったら言って欲しいよ!
でもその前にご飯が食べたいよ!」
俺が袋からみんなの朝食をテーブルに出すと一斉に食べ出した。
「やっとご飯食べれたよ。
それじゃ鞄を調べるよ」
そう言うとゴキムロンは鞄を開けた。
テーブルの上に開かれたトランクのような鞄の中身はキッチリと整理されて物が詰め込まれていた。
「これは着替えの服。これは靴。これは魔法石?」
ゴキムロンが鞄から出した物を一つづつ確認して行くと謎の魔法石が出て来た。
みんな一端手を止めて魔法石を見詰める。
「ケレリス、何に使う魔法石か解る?
ヒラネスは指輪の魔法石を昨日もしてたよね?」
「確かにヒラネスは指輪の魔法石を着けていた。
エルフは基本的に魔法石は指輪にしている」
「これは首から下げるネックレスタイプだね。
このタイプは竜人族に多いのかな?」
俺がホチネを見ると自分の魔法石を服の下から出してみんなに見せた。
「そうだね。竜人族は首から下げるのが多いかも。
その魔法石を見せて、竜人族の物か確かめるから」
そう言うとホチネは魔法石を観察仕始める。
ホチネの鑑定がしばらく掛かりそうなので俺達は鞄の中の他に気になる物が無いかを調べる事にした。
あの後鞄の中身に気になる物は見つからず殆どが着替えの服と靴だった。
その他は洗面道具と小型のナイフにいくつかの薬のような物で、その薬はケレリスが見た限りエルフが普通に使う傷薬と痛み止めなど変わった物では無かった。
「これは土竜人の魔法石だね」
魔法石を調べていたホチネが静かにつぶやいた。
「土竜人の魔法石?
持ち主とかは判るのか?」
ケレリスがそう聞く。
「多分魔力を込めれば判ると思うけど。
この魔法石は土竜人の魔力にしか反応しないよ」
その時部屋の扉が開きギルド職員が入って来た。
「え?え?ここで何にしているのですか?」
そう職員は驚いたようにしている。
「いや俺達はここで待つようにと言われてずっと待ってるのですが?」
「いつからいたのですか?」
「昨日の夕方前にはここにいましたよ?」
「そんなに前から!それじゃ昨日はここに泊まったのですか?」
「そうですよ。
誰も何も言って来ないのでずっとここにいましたよ。
エルフ達の取り調べはどうなったんですか?」
「エルフ達ですか?
聞いて来ます」
ギルド職員はそう言うと部屋を出て行った。
「俺達忘れられてたの?」
「そのようだね」
「そろそろ帰りたいよ。
ベッドで寝たいよ。
椅子で寝たから体が痛いよ」




