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ホチネの秘かな計画


 ここ数日俺は悩んでいた。


 『ホチネをエルフの森に連れて行く事が正解なのか?

 俺はラィのお使いを終えたらいなくなる存在。

 その後、この世界がどうなるのか俺には関係無い、そんな風には考えたくない。

 一緒に旅した仲間や助けたり助けられたりした人々擦れ違う程度にしか関わって無い大勢の人。

 もしかしたらこの世界のなにか大切なモノを変えてしまう選択をしてしまう気がする。

 何千年か続くエルフと竜人の関係が…………何かが心のどこかが……刺のように引っかかる。

 この漠然とした不安が何なのか自分でも分からない』



 魔法石はそんな俺を何も言わず静かに観察していた。








 「フゥ、ちょっといい?

 話しあるんだ」


 部屋の前からホチネの声がした。


 俺はベッドから起き上がり扉へと向かう。

 そして扉を開けずにその前で返事をした。


 「何?どんな話し?」


 「開けてくれない?扉。

 二人で話したいから」


 俺はなんとなく何を言われるか想像して扉を開けた。


 ホチネは部屋に入ると部屋の様子を見渡して、

 「やっぱり外に何か食べに行こう!」


 


 

 強引に手を引かれ宿の外に連れ出される事になってしまった。


 ホチネは横に並んで歩きながら何か言いたそうにチラチラ俺の顔を見てくる。


 「何?」


 俺はホチネの行動に焦れったさを感じて少し強めに言ってしまって後悔した。


 ホチネはそれを気にした様子も無く、

 「うん。あのね。あの…………あたしの事…だよね…フゥが悩んでるの。

 …………あたしがエルフの森に行ったら聖域に帰る事になるからって言ったからだよね?」


 「まぁ、うーん。関係はあるけどちょっと違うかな。

 ホチネが聖域に帰っても報告が終わったらまたパーティーは組めるでしょ?

 それよりも竜人族とエルフの関係がこれによって変わった時、何が起きると思う?

 本当に話し合いで仲良くなれるかな?

 逆に更にお互いを憎み合う事になる気がしてる。

 ホチネは聖域を出る時水龍神に何を言われて来たの?

 エルフと接触して来いとか言われてたの?」


 「水龍神様はそんな事言わないよ。

 『旅を楽しんで来い。

 竜人の人生は他の人種より長い。

 それだけに物事を後回しにする事が多くなって空っぽな時間だけが流れて回りに流されて何もしないままで帰って来る、そんな者達を沢山見てきた。

 人に流されててもそれは流される方を自分で選んだ結果だ』

 そんな風に言われて来たよ」


 「それなら何で聖域に帰る事になるの?」


 「聖域に帰る命令を出したのは長老達だよ。

 長老達は聖域の外にも影響力を広げたいと思ってるらしくてエルフと手を組んで何かしたいらしい。

 その取っ掛かりをあたしに………いや、フゥに期待したんだと思う。

 フゥが風魔法を使うって分かった時から聖域の外に出せばエルフが興味を持って接触して来ると噂してたもん」


 「それじゃ俺が聖域から出されたのは最初からエルフに接触させる為?」


 「そうだと思うよ。

 あたしは長老達に『フゥがエルフの森に行く事があった時、絶対に付いて行くように!』って言われたからね。

 そしてお互いの長老達で集まって今後の世界の話しをする会議を開く提案をして来いってさ。

 あたしはその為の使いっ走り!」


 「ホチネはそれでいいの?」


 「あたしの目的は長老達のその話しを利用してラミネが何で英雄と呼ばれていた冒険者を辞める事になったのか切欠のエルフを探し理由を聞く事だから」


 「そんな事考えてたの?」


 「そうだよ。そうしておかないとあたしが英雄になった時同じ事が起きるかもしれないじゃ無い?

 あたしはラミネが誰かに填められたと思ってるの」


 「そうなの?

 何でそう思ったの?」


 「エルフが竜人に魔法を教えてもらいに来るなんてオカシイでしょ!

 しかもわざわざ三日月国まで来る?

 魔法が苦手ならそのエルフはどうやって三日月国まで来たの?

 護衛を雇ったの?

 そこまでしてラミネに魔法を教えてもらいに来る?」


 「それは確かにオカシイ」


 「それにケレリスの前に言ってた言葉、ラミネを知っててそのエルフの事も知っててしかも詳しい話しは秘密だよ!

 絶対何かあるとしか思えない!」



 『ホチネの言う事は確かにその通りだ。

 ラミネが何かの思惑みたいなモノに巻き込まれたのか?最初からラミネを狙った計画なのか?

 俺も気になって来たよ!』





 ホチネと歩きながらそんな話しをしていると後ろから一人のエルフが早足で近付いて来た。


 その足音に俺とホチネが警戒して立ち止まるとそのエルフは俺達の前に回り笑顔で話し掛けて来た。



 「フゥ君ですよね?

 初めまして。

 この度エルフのネス妖から派遣されて来ました『ヒラネス』です。

 よろしく」

 

 そのエルフはそう挨拶の言葉を言うと握手を求めて来た。


 俺は無意識にその手をつかみ握手をする。


 ヒラネスと名乗ったエルフは笑顔の奥に何か確信した顔を覗かせると、

 「今日は挨拶だけで失礼します。

 数日後には他の妖からの代理人も到着するのでその時はよろしくお願いしますね」


 ヒラネスはずっと変わらない貼り付けたような笑顔のまま俺達の前から去って行った。


 隣のホチネはその後ろ姿を睨むように見送っていた。


 

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