町の地下に
『変な方向に話しが逸れてツラナの欲しい物が何かを聞いて無かった!』
改めて俺はツラナに何が欲しいのか聞いてみた。
するとツラナは、
「エルフの森と土の聖域の間で取れる宝石です」
「そんな宝石があるの?」
「あるよ。ほらこれ」
ホチネは魔法石に付けている飾りの宝石を見せる。
「アー!これがリュジュエルですか!
とても綺麗です!」
「そう?前から付けてたよね?
俺は普通の透明な石だと思ってたけど?」
「これは土の聖域に研修で行った時に自分で掘って見つけたのよ」
「研修ってそんな事もするの?」
俺は竜人族の研修を具体的に知らない。
ガーネやトンバがミユネと聖域の外の海に行っているのはなんとなく知っていたがそれがどんな研修なのかは、教えて貰えなかたった。
その時は、
『竜人族達にも秘密があるのかな?』
程度にしか思って無かったし自分の魔法の上達が面白い時期だったので他の事はあまり気にしていなかった。
「竜人族の研修は秘密なの。
それはフゥにも教えられ無い。
ただこの宝石を取りに行く行事はレクリエーションも兼ねての思い出作り的な意味合いもある事よ。
きっとフゥを置いてミユネ達も海に行っていた事もあったよね?
それも研修の一環なの」
「まあ仕方ないよ。
俺は聖域でも異質な存在だったと今は分かるから」
『この世界に転生してから周りとはいつも違う目で見られる事には慣れて来ていたなぁ。
聖域で特別扱いされる事が多かったから聖域から出てもみんなの視線を気にして無かった!
俺って相当変わってる?よね。
腕は四本、耳の着いたフードの全身真っ白な服にこの小さな子供のような体格』
「ねぇホチネ、聖域で俺、浮いてた?」
「そうね。浮いてたね!
でも水龍神様の卵から生まれているのはみんな知っていたけど、水龍神様からは大切な預かり者だと言われていたし。
だからみんなフゥの事に関わるのはなんとなく避けて遠目で見る感じになってたのも事実だよ。
何かあった時に誰も責任を取りたく無いからね。
だからフゥが風魔法を使ったのを見られた事はとても大きな問題だったの。
魔法神様が姿を隠してから風魔法を使えるのは極一部のエルフだけだったから」
「それで水龍神も庇えなくなったと?」
「そうだね。長老達は聖域がエルフや外部の人によって変わってしまう事をとても恐れているわ。
歳を取ると急な変化には付いて行けないのも分かるでしょ?」
「それは分かるよ。
それに聖域から出ても俺が変わってる事に気付いたしね。
それに俺にも話せない秘密もあるからね!」
俺は少し戯けてそう言った。
「エー!何?教えてよ!」
「秘密!」
そんなふざけたやり取りで本当に秘密な前の世界の事を誤魔化していた。
ホチネの研修の話しからまた今度は少しシリアスな話しに脱線してしまっていた。
ツラナはその間ホチネの持つ宝石をずっと観察していた。
「ツラナ!そんなにこの宝石を見ててもあげないよ?」
「分かってますよ!
どうしたら手に入るか考えていただけです」
「相当高いわよ。普通に買うと」
「ですよね」
「ねぇホチネ、普通に買うとって事は普通じゃ無く買えば安いの?」
俺はホチネの言葉に引っかかってそう聞いてみる。
「自分で掘ればタダだよ」
「なるほど!ソレさ堀に行かない?
冒険者の仕事として」
「確かに冒険者の仕事には貴重品見を見つけて持って帰るってのもあるけど冒険者ギルドが出来て何千年経ってると思ってるの?
粗方取り尽くされてるの!
解ってる?今の冒険者ギルドが扱ってる依頼の殆どが魔物狩りと護衛なの?」
「それってそもそも冒険者に頼む依頼が魔物関連しか無いの?」
「そうよ!必要な物は町の地下で取れてるの!」
「町の地下?」
「フゥは知らないの?
町の地下は農場になってるのよ!
魔法道具で一日中明るくて気温も一年中一定でそこで作物を作って動物を飼ってるの。
知らない?」
「エェー!知らなかった!」
「イヤイヤ、それならあたし達がいつも食べてる物はどこから来たと思ってたの?
どっかから湧いて来る訳無いでしょ」
「それは……農業の町とかから?」
「あぁ、あの町は特殊でね。
昔からの作り方に拘ってるの。
魔法道具で大量生産された物より高い値段で自然農法としていろんな国に売られるのよ」
「そんな事しても鮮度が落ちない?」
「そこで水竜人の魔法の出番なのよ!
時を止める氷の魔法で鮮度をそのままに輸出してるの。
後は大きな町で雇っている火竜人に氷を溶かして時を戻して貰えば良いからね」
「そこまでして高い食べ物を買う?」
「何かそう言う考え方?
『魔法道具に頼らない自然な物を食べる生き方』みたいなのが一部で流行ってるらしいよ。
お金持ちの道楽だよ。
普通の人はそんな事にお金を掛けてられ無いからね」
『この世界も…………言わないでおこう!』




