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この世界の結婚感


 エルフの森からコアリスが来てから七日。

 俺達は………ダラダラと過ごしていた。


 「ねー暇!なんで魔物狩りに行けないの!」


 ホチネは共用スペースにいつの間にか大きな椅子を買って来て寝転んで愚痴を言っている。


 「それは俺達が近くの魔物を狩りすぎてこの町の冒険者達から苦情が来たから!」


 「エー!魔物が減ったら良いじゃん」


 「魔物が減るのはいいけど冒険者達の仕事が無くなるの」


 「別に冒険者の仕事は魔物狩りだけじゃ無いでしょ?

 商人や旅人の護衛や荷運びなんかもあるよね?

 それに盗賊なんかでも捕まえてくれば良いのに」


 「盗賊なんかって普通はなかなか捕まえられ無いからね」


 「それじゃ盗賊狩りに行こ!

 禁止されたのは魔物狩りだけでしょ?」


 「そうだけど。盗賊は俺達みたいな冒険者は襲わないよ?」


 「俺達みたいな冒険者って?

 このパーティーで冒険者に見えるのってあたしだけだと思うけど?

 フゥもツラナもどこからどう見ても冒険者には見えないでしょ!」


 俺とツラナはお互いを見てお互いに目を逸らした。



 「盗賊狩り、行く?」


 俺はツラナにも聞いて見る。


 「行きますか。

 ボクも実は欲しい物があってお金を稼ぎたかったので」


 「へー、ツラナが欲しい物って珍しいね。

 それで欲しい物って何?」


 ホチネは素直にツラナに聞いた。


 「あの……実は……ボク……婚約者がいまして」


 「こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、婚約者!」


 ツラナの突然の告白にホチネは想像以上の驚きを見せた。


 

 『ホチネ、驚き過ぎ!確かにビックリする内容だけど。

 ツラナに婚約者?

 今年十五歳になるはずだったよね?

 この世界は十五歳で成人だからもうすぐ結婚なのか?』



 「一つ年上の女性です。

 ボクの姉に憧れていてよく姉に付いて回っていたのですが。

 その……ボクが一目惚れをしてしまって……」


 「ツラナが一目惚れ!

 写真とか無いの?写真!」


 「写真?写真ってなんですか?」



 『しまった!写真は無かった!

 この世界、電話みたいな念話はあったりメールみたいにメッセージは送れるのに写真は無いんだよね』



 「写真…はあの……絵?みたいな物?顔が分かるかな?と思って?」


 「顔が分かる物ですか?

 似顔絵はボク下手なので」


 「フゥはどうしてそんな似顔絵なんて見たいの?」


 「どんな顔か気になるから?」


 「そうなんだ。顔ね」


 「エッ!顔、気にならない?」


 「顔?別にならないけど?

 ツラナは?」


 「ボクもならないです」


 「エ?でも一目惚れでしょ?」


 俺は一目惚れで顔を気にならない事に疑問が浮かんだ。



 『これ?またこの世界の常識と違う事言ったのか?』



 「一目惚れで勘違いしたんですね。

 たまに顔に一目惚れする人もいますもね」


 「ああ、そうね。

 俺は顔に一目惚れするタイプかな?」


 『なんとか誤魔化せそうだ』


 「そうでしたかボクは手です」


 「ああ!あたしも!手!

 あたしは槍を握った時の『ギュ』とした感じが好き!」


 「へ、へー。そうか手ね。

 手も良いよね」



 『確かに腕とかに魅力を感じる事は聞いた事あるなぁ。

 でもホチネの槍を持つ手ってほとんど水竜人族限定な感じがする』



 「ネェ?ホチネは槍以外の武器を持つ手はダメなの?」


 「槍以外?」


 「そう槍以外。

 例えば剣とか?」


 「剣?それは土竜人とかって事?」


 「土竜人で無くても良いけどね」


 「フゥ?何か話しが見えないけど?

 何で土竜人とか他の人種?

 結婚の話しだよね?」


 「そうだけど?何か変?」


 「フゥは知らなかったのかな?

 水竜人は水竜人としか結婚出来ないよ。

 水竜人の結婚は聖域で一緒に暮らす相手の事だよ。

 水竜人以外同じ聖域で一緒には暮らせ無いでしょ?

 基本的に聖域に入れるのはその聖域で生まれた人だけなんだから」


 「でもガーネやトンバは?」


 「ガーネとトンバは研修だよ?

 それに水竜人の生活する東区には入れ無いよ」


 「そうか。でもホチネが聖域外の人と結婚して外で暮らすのは考えて無いの?」


 「あたしが外で?

 うーん?相手がいないよ。

 竜人族と結婚してくれる人」


 「そうかな?探せばいるんじゃない?」


 「いないって。竜人族は子供が出来ないんだもん。

 聖域の外の人は子供が欲しいでしょ?」


 「そんな事無いと思うけどね。

 ネェ?ツラナ、どう?」


 「ボクは子供、欲しいです。

 子供が欲しいから結婚するのじゃ無いのですか?」


 「子供が欲しく無くても結婚したらダメなの?」


 「でもそれなら結婚し無くても良くないですか?」


 「子供の為に結婚するって事?」


 「そうですが?

 当たり前じゃないですか?」


 「当たり前なんだ。

 ホチネも?」


 「竜人族は違うよ。

 一緒にいたい人と生活するだけ、男も女も人数も関係無く気の合う人とや政治的な駆け引きで結婚する人もいるけどね」


 「政治的な駆け引き?」


 「そう、長老を自分達の近い人から出したい人達は他の派閥から引き抜く形で結婚を利用するのよ。

 派閥を移る為にね」




 『この世界の結婚感が違い過ぎる!

 それとも俺が知らないだけで前の世界でも同じような事があったりしたのかな?』



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