条件提示
「解りました。
私はフゥ君がエルフの森に入る事を長老コアリスの名を以て許可します。
明朝にエルフの森へと一緒に向かいます!」
『向かいますって!決定なの?
俺達の意見や都合は?』
コアリスの勝手な提案にケレリスが止めに入る。
「待て!私達はまだ行くとは言って無い。
まずこちらの条件を全て聞いてからだ」
「条件とは?」
「私達がエルフの森に行く条件だよ」
「『私達』?私はフゥ君を連れて行くと言っただけで貴方達に来て欲しいなどとは言ってませんが?」
「だからその条件の一つがフゥ君がエルフの森に行くなら私達と一緒だと言っている」
コアリスは俺達五人を見て、
「まずケレリスあなたは重要施設への立ち入りは禁止、それが条件よ。
次にゴブリンの元大統領ゴキムロンあなたも重要施設への立ち入り禁止、それとエルフの森の決まりを破った時点で永久追放。
次はケレリスの教え子のツラナあなたも重要施設への立ち入り禁止、エルフの決まりを破った時点で追放。
そして竜人の娘あなたはエルフの森への立ち入り禁止。
以上。
それでは四人は明朝出発ね!」
『全然ケレリスの言った意味を理解して無い!』
「それでは俺はエルフの森へは行きません。
俺とホチネとツラナはパーティーを組んでいます。
ましてホチネとは水龍の聖域からの仲間です。
一緒に行けないのなら俺も行きません」
コアリスは俺の答えに唖然としている。
びっくりし過ぎて何も言えないコアリスに代わりカノリスが話し出した。
「フゥ君、エルフの森へ招待された事を何故喜んでいないの?
エルフ以外がこんなに歓迎されるなんて滅多に無い事なのよ?」
『エッ!俺って歓迎されてたの?
全然そうは思えなかったけど!』
「俺は一言もエルフの森にわざわざ行きたいなんて言った事無いですけど?
俺をエルフの森に招待したいならこっちの条件を全て飲んでと言っているんです。
それなら俺はエルフの森に行っても良いかな?と考えます」
「な、な、なんて無礼な!我等エルフの長老コアリス様の招待を断るなんて!」
エルフの護衛の一人が怒りで震えて叫ぶ。
その言葉にケレリスは首を振り、
「お前達はエルフがそんなに偉いと勘違いしているのか!
エルフなどこの世界の異端の存在。
それがエルフの森を出て解った真実さ。
それが解らないのはエルフが他の種族を下に見ているからだ!」
ケレリスの痛烈な批判にコアリスの護衛の二人は怒りで口をパクパクさせて言葉に詰まる。
その空気を切り裂くようにカノリスが、
「ケレリス様、それは少し言葉が過ぎます。
確かにエルフは他の種族達より長い寿命のせいか他者を上から見る者も多い。
ただそれだけで年長者の知識や経験を軽視して良い理由にはならない」
「知識や経験を軽視?
エルフはほとんどエルフ領からも離れ無いだろ!
離れたとしてもこの町の周りでチョロチョロしているだけだ!
そんなんで知識や経験を得たなんて言って欲しく無いな!」
カノリスも黙らせてケレリスは俺達の条件を話し出す。
「一、フゥ君をエルフの森に連れて行きたいなら私達五人全員一緒に連れて行く事。
二、私達のエルフ領への出入りは本人の自由意志で行われる事。
三、私達のエルフ領での身の安全はエルフ全体で責任を持つ事。
四、リス妖以外のエルフにもこの条件を了承させる事。
五、この条件を了承出来ない場合はエルフ側から二度とフゥ君に接触して来ない事。
六、これはエルフの総意に基づく事とする。
以上だ。
この条件を飲むなら私達はエルフの森に付いて行く。
ただし準備に数日掛かる明日出発は無理だ!」
ケレリスの出した条件を険しい顔で聞いていたエルフ達は、
「少し私達だけで協議をします。」
そう言い部屋を出て行った。
「ケレリス?あたし本当にエルフ領に入っても良いのかな?
竜人族は立ち入り禁止なんでしょ?」
「多分リス妖はそこまで規則には縛られ無いと思う。
だが他が了承し無いだろう。
特にネス妖は保守的で説得は難しいだろうね」
「ならなんであんな条件出したの?」
「それはもしエルフ側がこの条件を拒否した時、次にフゥ君への無理難題を言えなく出来る。
その布石でもあるの。
だから向こうから今回の話しを断らせておきたいのよ。
こっちが断ったのでは無いエルフ側が断った、だからリス妖以外のエルフが何か言って来てもエルフの総意で決まった事に反するのかと拒否出来るようになる」
「ケレリス、いろいろ考えてるんだね」
俺は感心してそう言った。
「それはそうだろう。
この数日この条件をずっと考えていたのだから。
ゴキムロンの見張り番をしながらだよ!
大変だったから!」
『それの大変だったのは条件を考える事?
それともゴキムロンの見張り番?』
俺達が待ちくたびれた頃。
カノリスが部屋へと一人でやって来た。
「あの条件ではエルフの総意を取り付けるのは難しい。
どこか妥協案は無いだろうか?
私達リス妖はあの条件でも問題無いがハス妖とトス妖が反対している」
「ハス妖とトス妖?
ネス妖では無く?」
ケレリスは予想外な事のような顔をした。




