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エルフの小者


 エルフの三人は揉め始めてお互いに何か押し付け合っている。


 そんな中ここは比較的に町の西門の近くと言う事もあり魔物狩りや依頼の帰りの冒険者が遠巻きに集まって来てしまった。


 その光景に三人のエルフは更に揉め始める。


 「どうするの?

 人知れずこっそりあの子の実力を確かめて長老達に認めて貰う計画だった筈でしょ!

 もうこんなに人が集まっちゃったら意味無くない?」


 「そんな事分かってるよ!

 それより長老達から揉め事を起こすななんて連絡あったか?」


 「そんな連絡まだ駆け出しの俺達に来るかよ!」


 「このままあの子に何かしたら後でマズい事にならないか?」



 どうやら三人はエルフの長老達からの使いとかでは無く点数稼ぎの駆け出し冒険者だったようだ。



 しかし回りに集まった冒険者達は俺とエルフの姿に揉め事の予感を期待しているようで、


 「決闘か?」


 「何で勝負するんだ?」


 「あの子槍持っているし、槍と剣じゃないか?」


 「いやいや、魔法神様の関係者らしい子とエルフだぞ!

 魔法対決だろ!」


 「あー、あの子が最近噂の魔法神様の眷族なの?」


 「そうそう、あの子凄い魔法使うらしいよ」


 「あんなまだ小さい子なのに?」


 「いや、小さくても魔法神様の眷族だぞ!

 どんな魔法使うか見てみたいよな!」


 「そうだよな!

 オイ!エルフ三人で揉めてないで早く闘ってあの子の凄い魔法を使うところ見せてくれよ!」


 「そうだ!そうだ!」


 「「「そうだ!そうだ!」」」



 何故か回りに集まった冒険者達は俺の凄い魔法とやらを見たいらしい。



 「マズいぞ。凄い魔法を使うって!」


 「オイオイ、凄い魔法って!俺はまだ死にたくないぞ!

 お前がこの計画を思い付いたんだからお前が闘いに行けよ!」


 「嫌だよ!お前がどうせ大した事無いって言ったんだぞ!

 それよりお前!お前が一番魔力強いんだからお前が行けよ!」


 「私?私はお前達に付いて来ただけだから闘う気最初から無いよ!

 私はこんな計画には最初から反対だったんだから!」


 「今更何言ってんだよ!

 そんな事一言も言って無かっただろ!」


 「それは二人があんまり盛り上がってたから。

 水を差すのは悪いと思って敢えて何も言わなかったんだよ!」



 三人のエルフの言い争いは終わりそうに無い。



 『よし!いいぞ!このままケレリスが来るまで揉めて時間を潰せ!』


 俺達は心の中でそう思っていた。




 

 「オイ!何集まってる!」


 門の方から現れたのはケレリスに連れられたカノリスの姿だった。


 カノリスはまず回りに集まった冒険者達に解散を命じ続けて三人のエルフ達の所へ行き小声で何かを言った。


 三人のエルフ達はカノリスの言葉を聞くと俺達に近付いて来て、

 「済まなかった。今日の事は無かった事にして忘れて貰え無いだろうか?」


 頭を下げてお詫びを言う。


 俺はケレリスが頷くのを見て、

 「まあ、何か誤解があったのかな?

 今日の処は何も無かったと言う事で」


 俺の言葉に安堵の表情を浮かべ、

 「ありがとう」

 一言言うと三人は町に帰って行く。



 回りに集まった冒険者達も、

 「何だよ!」


 「凄い魔法見れないの?」


 「エルフと魔法神様の眷族の決闘なんて一生に一度見られるかって事だったのに」



 「解散だ!早く町に戻れ!」


 カノリスの言葉で渋々と町へと帰って行った。



 その場に残ったのは俺達とケレリス、カノリスだけになった。



 『カノリス、流石に副ギルド長だな』



 「何でこんな事になった!」


 カノリスは何故か俺達にも怒りをぶつける。


 「俺達はただ魔物狩りから帰って来て待ち伏せされてただけだよね?」


 「そうそう、あたし達は絡まれただけだから!

 エルフの中ではフゥの事何て説明してあるの!

 カノリス!あんたからちゃんと二度とこんな事が無いようにエルフの行動を見張るか全員に勝手な事するな!って言って措きなさいよ!」


 ホチネはカノリスより怒って見せる。



 「ああ、今回は済まない。エルフ達には自重するようにと言っておく。

 お前達も自重してくれ」


 カノリスは苦虫をかみつぶしたような顔で帰って行った。



 

 カノリスがいなくなってケレリスは笑い出した。


 「竜人族に言い負かされて悔しそうだったな。ハハハ。

 それでこっちからは手を出していないんだよな?」


 俺達が頷くと。


 「それなら良い。

 変に怪我とかさせて言い掛かりとか言われても面倒くさいからね」


 

 ケレリスの助けで今回は何事も無く済んだようだ。





 今日の収獲物を換金所に持って行き換金とギルドポイントを貰って宿に帰って来た。

 


 「待ち伏せとは油断してたね。

 コアリス長老が来るまでは何もして来ないと思ったのだよね。

 甘かったわ」


 ケレリスは自分の考えが甘かったと反省していた。


 「手柄目当てに勝手な事するのはどこの世界にもいるからね」


 「まあね。今回は小者の勝手な行動だったから良かったけどこれがエルフの森からの命令だったらと思うと逃げる準備も必要になるなか」


 ホチネの一言にケレリスは頷いた。


 「コアリス長老との話し合いが上手くいかなかった時の事を考えておく必要があるね」





 この夜、俺達はいろいろな万が一を想定して計画を立てた。



 『コアリスが話しの通じるエルフだと良いけど』


 俺は心の中で祈るのであった。



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