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エルフ領国境の町に到着


 その後、俺達は順調にエルフ領へと進んで行った。


 順調と言ってもあれから毎日のように虫料理を食べる生活が続いている。

 

 なぜか俺とホチネに馬車の操縦を教えると言う建前で俺の操縦している時間が虫の魔物を取る時間となっていた。


 二日に一度の俺の料理当番の時は虫料理以外を出す事にしているが、それ以外は何かしら虫の入ったモノが一品は出る。


 俺も虫料理に少しづつ慣れていったのか最近は胃のムカムカもしなくなってきた。


 




 そして漁業の町を出て十二日目。

 馬車の操縦にも慣れた頃、俺達はエルフ領との国境の町にたどり着いた。



 町に入った瞬間俺は驚くそこは今までの町とは全然違った雰囲気の街並みが広がっている町だったのだ。



 「建物が全部木に埋まってる!」


 この町に入って最初の俺の印象だ。


 「ああ、帰って来た!

 この町はエルフ族の生活様式になっているからな」


 ケレリスは懐かしそうに辺りを見回してそう言った。


 「町に着いたなら早速ご飯なのよ!

 珍しい美味しいご飯はどこやよ!」


 ゴキムロンは馬車から降りるとまた勝手に食べ物屋を探して走り出した。

 ホチネがはぐれないようにその後ろ姿を追い掛けて行った。


 ケレリスとツラナは先に宿を取って馬車を預けて来ると言って俺も降ろして行ってしまった。



 『どうするかな?

 ゴキムロンとホチネを追い掛けるか?

 それとも冒険者ギルドでこの町での狩りの登録をしておくかな?』



 悩んだ末、俺は冒険者ギルドに向かった。

 悩んでいる間にゴキムロンとホチネを見失なったからな訳で選択肢が無かったのだが。




 この町は北と南に分かれいる。

 町の北側は中立国の自治区だが南側は既にエルフ領だ。

 そして冒険者ギルドは北側にある。


 


 俺が冒険者ギルドの扉を開けると中には沢山のエルフの姿があった。

 受付の職員の半分近くがエルフで冒険者もエルフが多い。


 俺は入り口近くでその光景をボーッと眺めていた。


 「オイ!あれ、見てみろ!」


 一人のエルフが俺を見て驚く。

 それに釣られ一斉に俺へと視線が集まった。


 「魔法神様?の格好しているのか?」


 「なんて罰当たりな!」


 「まだ子供だろ?親は何を考えているのだ!」


 エルフ達は俺の姿が魔法神の姿とそっくりだと気付いて口々に非難の声を上げる。



 「ちょっと君!

 奥へ来なさい!」


 俺は職員の一人に腕を掴まれると建物の奥へと連れて行かれた。






 「君は?この町の子?では無いよね」


 この職員はエルフでは無かった。


 「今日、この町に着きました。

 旅の途中です」

 

 「いくら旅の途中でもこの町で魔法神様の格好をするのは感心しないな!

 フードに耳まで付いているし!

 エルフにとって魔法神様は妖精神様と並ぶ信仰の対象なんだから!」


 「そう言われても町に入ったばかりだし魔物が出る場所ではこの服じゃないと攻撃を受けた時不安なんだよ」


 「攻撃を受ける?君は冒険者なのかい?」


 「そうです。この町にしばらく滞在する予定なので狩りをするたの手続きを冒険者ギルドにしに来ただけですけど」


 「君、一人?他の仲間はいないの?」


 「パーティーは俺ともう一人いますけど護衛対象を見ていると思います。

 ああ、そうだ!ゴキムロンの護衛で来たんですけど。

 ここまでの護衛の報酬を貰えますか?」


 「ゴキムロン?確かにこの町に来る予定になっていると聞いているが少し到着が早くないか?」


 「そうですか?途中の漁業の町で数日間滞在してたので遅くなったと思ってたのですけど」


 「いや、漁業の町のギルドから十二日前に出発したと連絡があったはずだったぞ。

 我々の予定では後三日はかかると思っていたのだが?」


 「ああ、それなら俺達、街道の休憩広場では泊まらずに明るい内は移動していたのでそれで着くのが早まったのでしょう。

 普通に進めば十四、五日かかると聞いていますから」


 「そうかそれならまあいい。

 それで肝心のゴキムロンさんはどうした?

 本人を連れて来なければ護衛達成にはならないだろう」


 「ゴキムロンなら、食堂かどこに行きました。

 ちょっと待っててください。

 今、仲間に連絡しますから」



 俺は魔法石でホチネに念話をする。


 「フゥ、丁度良かった!

 今、ゴキムロンと屋台にいるんだけどゴキムロンがお金持って来なかったって嘘吐いて自分のお金を出そうとしないのよ!

 あたしもカードしか持って来てないしお金持って来て!

 場所は魔法石に送るから」


 ホチネとの念話が切れると屋台の場所が魔法石に送られて来る。



 俺が魔法石から顔を上げてると苦笑いを浮かべたギルド職員がこっちを見ていた。





 ギルドでお金を下ろした俺はさっきのギルド職員を連れて二人の待つ屋台へと向かう。


 そしてこの人は只の職員では無くこの町の冒険者ギルド長『ジュンケン』だった。




 俺が屋台に着くとゴキムロンとホチネのテーブルには考えられないくらいの空の皿が積まれていた。


 

 「爺さん、どんだけ食ったんだよ!」


 「わし一人じゃないのよ!

 ホチネも食べてたのよ!」


 「あたしはそんなに食べてないわよ!

 ゴキムロンがほとんど食べてた!」


 二人がにらみ合っている。



 「もういい!それで?いくら払えばいいの!」


 俺はホチネから受け取った請求書を見て横にいるジュンケンにそれをそのまま渡す。


 「これはゴキムロンの食事代だからギルド持ちだよね?」 


 エッ!と言う顔をして請求書を見て更に驚いた顔になり頭を抱える。


 

 『ゴキムロンの食事代の請求書ってまだまだ俺の袋に入ってるからね!

 後でそのお金も貰わないと!』



 俺は笑顔でジュンケンを見た。


 

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