生き返る意味
俺はツラナの料理で悲鳴を上げてみんなに笑われて一人でいじけていた。
「そんなに落ち込ま無くても。
教授なんてエルフなのにフゥ君に魔法で負けたのですよ。
ねぇ教授?」
ツラナの言葉に笑っていたケレリスが悲しそうな顔になり。
「ツラナ、折角その事は忘れていたのに。……思い出させないでよ」
「でもフゥ君は魔法神様かその眷族かもしれませんしそれなら魔法が得意なのは必然かもしれませんよ」
ケレリスは研究者の目で俺を見詰めて来る。
「………そんな目で見ないで!」
『魔法神の眷族ね。
それはあるかも』
俺はその日、ラィの眷族の可能性を考えた。
夜中。
俺は夕食のアトンによる胃のムカムカに悩まされていた。
『これは気分の問題なのか?
それとも俺の体質には虫料理は合わないのか?』
俺は荷台の寝床から外に出て夜風に当たっていた。
夜の空には赤い色をしてた月が浮かんでいた。
『改めて見ると本当に赤い色をしてるな!
聖域から出てからずっと月が青い事にやっと最近慣れてきたのにまた代わってこれが次には白くなるんだよな?』
俺はしばらくぼーっと空を眺め頭を空っぽにした。
朝日が顔に当たり目を覚ます。
夜風に当たりながらウトウトしていつの間にか眠ってしまったようだ。
お腹に布が掛けてあり隣にはホチネが寝ていた。
俺がホチネの顔を眺めていると、ホチネは目をパッと開け俺と目が合う。
「おはよう。これ掛けてくれたのホチネ?」
「ああ、うん。荷台が暑くて外に出たらフゥが寝てたからあたしも外で寝ようと思ってね!」
「ありがとう」
「別にいいよ。やっぱり赤月は暑いね。
あたし町で涼しい服を買って良かったんだった!
フゥは服買わなかったの?」
「俺はこの服があればいいや。
後は聖域から持って来た服もあるしね」
「聖域からの服って竜人の服と寝間着だけでしょ?
新しい服買えばよくない?
うん、小さくなったら買おうと思ってたけど小さくならないんだよね。ハハ」
「ハハハ。本当だ!フゥ、このひと月全然大きくなってないわ!」
「笑い事じゃ無いよ!
竜人族は成長速度が早いと思ってたけど俺もそれなりに成長早いでしょ?
他の人族がどの程度か分からないけどね。
でもこのひと月、背が伸びて無いんだよ!
俺ってホビットかゴブリンくらいの背で終わり?」
「かもね。でも魔法神様の生まれ代わりとかならもっと大きくなれるんじゃないの?
エルフ神話に描かれてる絵の魔法神様は背が高かったんでしょ?」
「魔法神はね。でも魔法神の眷族とかかもしれないでしょ。」
「それならケレリスに魔法神様の眷族の背が大きくなるか聞いてみればいいよ!」
「ケレリスに聞くのはなぁ。
なんかなぁ。
俺が魔法神と関係あるって認めたみたいになるでしょ。
それはイヤだな!」
「でもラィは、魔法神様なんでしょ?
それじゃ魔法神様の眷族なんじゃないの?」
「ラィの?
それって眷族って言うのかな?
俺はお使いを頼まれただけなんだけどな」
「お使い?」
「イヤ、何でも無い。
ラィに会わないとハッキリした事が分からないから」
「そう。何か秘密がありそうだけど今は聞かない事にしておくよ!
ただしラィに会えてあたしに話せる時が来たら誤魔化さ無いでキチンと本当の事を話してね!」
「……うん…。
でも俺もまだ自分のやる事が何かよく分かって無いんだ」
「自分のやる事なんて自分で決めたらいいよ!
別に魔法神様の眷族だからって絶対に魔法神の言う事を聞かないといけない訳じゃ無いよ!
あたし達竜人族だって水龍神様の言う通りに生きてるかって言われたらそんな事無いもん。
特に長老達の中にはね!」
「そんなモノかな?」
「そんなモノだよ!」
『自分のしたいようにするか。
それはこの世界で生きていくと言う事か?
前の世界に生き返るのを諦めるって事か?
そもそも生き返って何をする?
あの世界の俺は…………何もしてこなかったんじゃないか?』
俺は生き返る意味を考え始めめていた。
「どうした?」
ホチネは心配そうな顔で俺を見る。
俺の頬には涙が零れていた。
「いや、何でも無いよ。
ちょっと昔を思い出してただけ。
本当、何でも無いから」
俺はホチネの隣から立ち上がり少し離れた場所で日課の水浴びをした。
なんとなく気まずい中、馬車はエルフ領に向けて今日も走る。
荷台で俺は思い切ってツラナに聞いてみた。
「昨日言ってた魔法神の眷族ってどんな感じなの?」
ツラナは少し考えて、
「本当の事は分かりません。
ただいろいろな学説がありますがボクの考えで話すと、エルフ族と竜人族以外の人族は全て魔法神様の眷族と言えると言う事です。」
「そうなの?」
「あくまでボクの考えです。
エルフ族と竜人族も含めて全ての人族が魔法神様の眷族と言う学説もありますし人族と魔物が眷族だとする学説もあります。
更に動物や植物も魔法神様が創られたと言う学説もあります」
「ハッキリして無いんだね」
「そうですね」
「そうだ。動物と言えば前から気になってたんだけど町の外で動物ってあまり見掛け無いよね?」
「そんな事当たり前ですよ!
魔物がいるのに町の外で生きて生ける動物なんてほとんどいませんよ」
「ああそうか、ハハハ」
ツラナに常識外れな事を聞いたようだ。




