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ゴキムロン


 俺達は話しあった結果、ゴキムロに一度会ってみようと連絡を取る事にして冒険者ギルドに向かう。

 なぜギルドに向かうかと言うと依頼板の情報にゴキムロンに直接の連絡は出来ず必ずギルドを通す事と注意書きがされていた為である。




 ギルドでは相変わらずやる気の無い受付が座っていて面倒くさ感じに聞いて来る。


 「今日は何のご用ですか?」


 「ギルドの依頼板に護衛の依頼がありますよね?

 それを受けたいと思いまして仲介をお願いします」


 受付の職員は俺達を観察するように見ると、

 「まあいいや。それじゃ、付いて来て案内するから。

 

 後、お願いね!」

 

 その職員はもう一人の受付に声を掛けてギルドの外へ出て行く。

 俺達もその後に付いて外に出て歩いて追い掛ける。



 「あの?どこに向かっているんですか?」


 「依頼者のとこだけど。

 黙って付いて来てね!」


 受付の職員は周りを気にしながら俺達の泊まっている宿に入って行く。


 そのままある部屋の前に立つとノックをして、

 「ギルド長のヒレネスです。

 護衛を務めるパーティーを連れて来ました」


 「信用出来るパーティーだろうかよ?」

 中から声がする。


 「私の印象では信用しても良いと思います。

 彼等も農業の町から逃げて来ていますので。

 ただその理由がゴブリンの盗賊を捕まえた『犯人』としてなのですが。」


 「ハハハ。それは良いよ!わしの護衛にはピッタリじゃよ」


 中から扉が開かれそこには初老のゴブリンが立っていた。




 ヒレネスの後に付いて部屋へと入った俺達をゴキムロンは値踏みするように見て、

 「よし!エルフに竜人、白魔道士ともう一人は?見た事無い種族のよ。

 こんな変わったパーティーなら追っ手の心配は無さそうじゃよ。

 それにゴブリンの盗賊を捕まえたのならあの連中とは無関係だろうしよ」



 「それでは私はこれで。

 お互い私には聞かれたく無い話しもあるでしょうし」

 ギルド長のヒレネスはそう言い残し頭を下げると部屋を出て行った。


 


 「それでは改めて。

 わしがゴブリンの国の前大統領ゴキムロンじゃよ。

 

 娘にクーデターを起こされて命を狙われているよ。


 三日月国の農業の町は人権を大切にしてゴブリンも歓迎してくれると言うデマ情報に騙されて数人の信頼出来る人々と海を渡って来たのじゃよ」


 ゴキムロンは少し悲しそうに語る。


 「確かに自分達の意見に反対しない人々への人権は大切にしているな。

 反対の意見や自分達に都合の悪い事を言う人々には嘘でも脅迫でも更には命を狙って来る事もある自分勝手な人権だけどな」


 ケレリスは呆れたように言うと、

 「アッ!」

 何かに気づいたように口に手を当てる。


 「教授?どうしました?」

 ツラナが心配そうにケレリスを見る。


 「この話しは………エルフが裏で関わっているかもしれない。

 私がエルフの森を出るきっかけになった出来事に似ている気がするよ。

 

 私がエルフの森でいろいろな資料から一万年前の事について調べてエルフにも都合の悪い歴史が分かりそうになった時、一部のエルフから嫌がらせを受けたのだ。

 なのになぜか私が悪者だと嘘の噂を流されてな流している者達も『自分達は正義からしている』と思っていていっそうたちが悪い。

 特に私が友人だと思っていた者達からの言葉は心を蝕む」


 

 『俺も学生時代に……』


 悲しい思い出が蘇りなぜか涙が出てしまった。



 「フゥ?」


 ホチネは俺の変化に気付いたのか心配そうにして抱きしめて来た。


 「フゥも聖域でエルフの血が流れてるとかいろいろ噂を流されてたもんね」



 『そういえば聖域でも同じような事があって追い出されるようにしてこの国に来たんだった』



 「ヘヘ。そうだったね」


 俺は照れ笑いで涙を誤魔化す。




 

 俺の涙に部屋の空気が重くなりそれを変える為にツラナの提案で外食をする事にした。


 外食と言えばあの店だといつもの定食屋に向かう。

 

 ゴキムロンも顔を隠し、ホビットに近い格好をして外に出掛ける。





 「久しぶりの外食じゃよ」

 ゴキムロンは町中を歩きキョロキョロと辺りを見て嬉しいそうにしている。


 俺達は店に着くと料理を注文したがゴキムロンは悩んでなかなか決められ無い。

 結局三品のおかずを頼みワクワクしているのが伝わる。


 

 「いつからこの国にいるんですか?」

 俺はそんな外食を喜ぶゴキムロンに聞いてみた。


 「この国には去年の白月に舟で渡って来たよ。

 最初は農業の町に助けを求めて住まわせて貰っていたのよ。

 だが娘にそそのかされた者達が次々海を渡って来たのじゃよ。

 するとなぜかわしを追い出そうとして来たのじゃよ。

 だからわしは逃げるようにして先月この町まで来たのじゃよ」


 厨房をジッと見ながら俺の質問に答えているとすぐにテーブルいっぱいの料理が並び美味しそうに食べ始めた。


 「こんな美味しい魚料理は始めてじゃよ!」



 ゴキムロンは途中から変装の為に被っていたフードが取れて顔が見えているのも気にし無いで料理を頬張っていた。

 

 

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